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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『ライオンの隠れ家』テーマに回帰

【24年秋ドラマ】『ライオンの隠れ家』第6話 複雑なサスペンスを経てASD青年との「家族の絆」というテーマに回帰

柳楽優弥(GettyImages)

 ASDの青年・みっくんを演じる坂東龍汰のお芝居が大評判を呼んでいるドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)も、後半戦となる第6話。

 前半は、みっくんと兄・ヒロト(柳楽優弥)が穏やかに暮らしている家に突然、超やんちゃな小学生の男の子・ライオン(佐藤大空)が現れ、ドタバタしながらその生活に変化を与えていくハートウォーミングホームコメディを描きつつ、同時並行でライオンがこの家に現れたバックグラウンドを、リニア利権やDV疑惑、裏家業の謎の男なんかが登場するハード目のサスペンスで描くという、かなり難解なことをやってきましたが、ここにきてようやくストーリーラインが1本に合流しつつあります。

 振り返りましょう。

■何を置いても、おかっぱライオン

 前回、ライオンとママ・愛生(尾野真千子)の再会を身を呈して阻止したのは、ヒロトの同僚である牧村さん(齋藤飛鳥)でした。もう何がなんだかわからないヒロトでしたが、謎の白い男・X(岡山天音)がヒロトを呼び出し、今回のコトの全容を伝えます。

 いわく、自分は愛生からの依頼で愛生とライオンこと愁人くんの偽装死を画策していた。愛生と愁人は夫の橘祥吾(向井理)からDVを受けており、戸籍を捨てて母子2人で新たな人生を歩むことを決めていたのだそうです。

 その計画半ば、愛生がテンパって犯してしまった窃盗のために警察に捕まってしまい、計画は頓挫。しかし、愛生はプランBを発動させ、せめて愁人だけでも逃がすために警察に「自分が息子を殺した」とウソの証言をしています。

 これが「母による子殺し」と報道されますが、DV夫の祥吾は「愛生が愁人を殺すわけがない」と確信。愁人の居場所をあぶり出すためにその顔写真をマスコミに公開し、行方を追います。

 Xから話を聞いたことで、ヒロトは愛生が迎えに来るまで、みっくんと2人でライオンを守ることを決意。とりあえずさまざま衣装を買い込み、公開されている写真と同じ髪型をしているライオンの髪の毛を切ってあげるのでした。

 不器用に、ライオンの髪にハサミを入れるヒロト。出来上がったのは、世にもかわゆいおかっぱライオンなのでした。うわ、かわゆ……って、思わず言っちゃったもんね。

 絆を深めた3人が翌朝、あいかわらず牛乳をこぼしたどうしたと大騒ぎしているところに、ずっと事件を追っている週刊誌記者・工藤楓(桜井ユキ)が訪ねてきたところで、次回へ。

■謎らしい謎はすべて解かれた

 かなり思わせぶりに説明されてきたサスペンスパートですが、今回でおおむね謎は明らかになりました。これにより、ライオンの身柄を押さえたい祥吾の手からライオンを守るヒロトという構図が確定し、次回は3人で船に乗っているシーンもあるようですので、どうやら逃亡劇、3人のドタバタロードムービーという趣になっていくのかもしれません。

 このドラマには2人の脚本家がクレジットされています。おそらくは、ASDの青年とやんちゃ坊主によるホームコメディと、リニア利権とDVがからんだサスペンスパートで分業していたということだと思うんですよね。それくらい、この2つのストーリーラインにおけるニュアンスはかけ離れていたし、散漫な印象があった。ヒロトが2つのストーリーに参加しなければならないので、行動の合理性に疑問符が付く場面も少なからずありました。

 現状、このドラマの最大の魅力はやはり坂東龍汰のASD青年であって、今回も夕陽の色をカラーチャートに当てはめてみたり、ライオンにシマウマのパジャマを買ってきて、動物博士の視点からそのメタファーを滔々と語ってみたりと、実に細やかにみっくんの魅力が演出されています。

 ロードムービーの醍醐味は、その人物の本性や本音、本心が明らかになっていくことにあります。これまで、平穏であることを最優先してきたヒロトとみっくんという兄弟がライオンという闖入者によって生活をかき乱され、さらに家を出ることで不安定になるはずです。そうなったとき、ヒロトも見たことがないみっくんが現れるかもしれないし、それでもヒロトは対応していくしかない。

 ここに至り、「家族の絆が試される」という作品のコンセプトが鮮やかに浮かび上がってきたと感じます。これまで「もっと3人のシーン見せろ」と言い続けてきたわけですが、3人をロードムービーに連れ出してくれそうな次回からの展開はかなり期待できると思います。

 たぶん、すごくおもしろくなる。楽しみです。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

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最終更新:2024/11/16 15:00
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