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阪神タイガース・大山悠輔がFA宣言を決断、不動の4番流出危機でも虎ファンが冷静な理由

阪神タイガース・大山悠輔がFA宣言を決断、不動の4番流出の危機でも虎ファンが冷静な理由の画像1
阪神タイガース・大山悠輔(写真/Getty Imagesより)

 プロ野球は長いオフに入り、FA市場が本格化。今オフ最注目の大山悠輔(阪神)がFA宣言して、野球ファンの関心を集めている。大山は2023年に全試合で4番に座り、チームを日本一に導いた正真正銘の大黒柱。すでに巨人が調査に乗り出し、争奪戦になるのは必至だ。

「大山は通算8年で137本塁打のパンチ力にまず目が行きますが、特筆すべきは出塁率。選球眼が良く、昨年は99個の四球を選んで出塁率は4割を超えました。ここ2年はファーストしかやっていませんが、サードと外野もできます。球場が狭いチームなら30本打っても不思議ではなく、欲しいチームはいくらでもあるでしょう」(週刊誌スポーツ担当記者)

 阪神は4番が固定できない時代が長く、“生え抜き”“国産”でフルシーズン4番を打った選手は、虎フィーバーに沸いた1985年の掛布雅之まで遡る。しかし、阪神ファンはパニック状態かと思いきや、ネットの声は、

「今まで頑張ってきて得た権利」
「他球団の評価を聞いてみたいという思いは湧いてきて当然」
「各球団の話をよく聞いて、悔いのない決断をすればいい」

と、概して冷静だ。阪神ファンといえば12球団きっての熱烈さで知られるが、なぜこんなに“余裕”なのか? フリーのスポーツ記者は、ファン心理についてこう推測する。

「これまで阪神は片岡篤史、金本知憲、新井貴浩、糸井嘉男、西勇輝など、FAで他球団から遠慮なく主力選手を獲りまくってきました。もちろん阪神からFAで出ていった選手もいますが、獲得した選手に比べると遥かに小粒。そういった後ろめたさがどこかにあって、“ウチが獲られる側に回っても仕方ない”という心理が働いているのではないでしょうか」

 FA市場は自由競争で、FA宣言した選手には全チームがアプローチできるが、どこか不公平感があるのは事実だ。一方では、こんなシビアな指摘もある。阪神ファン歴40年以上のベテランスポーツジャーナリストは、大山についてこう語る。

「大山はここ数年、常にクリーンアップを打ってきましたが、3割30本100打点を1度もクリアしたことがなく、打撃タイトルは2023年の最高出塁率だけ。優勝した昨年は全試合で4番に座りながら78打点というのは少なすぎます。阪神という超人気球団のレギュラーなのにオールスターに2回しか出ておらず、侍JAPANにも長らく呼ばれていない事実が、彼の実力を示す何よりの証拠。チームには森下(翔太)や前川(右京)といった若手が育っているので、“大山は出ていってもイイや”と思っているんでしょう」

 そうなると大山の処遇はどうなるのか。前出のスポーツ担当記者は争奪戦の展開をこう予想する。

「戦力として考えれば、広島、ロッテ、西武あたりは喉から手が出るほど欲しいでしょうが、大山の今年の年俸が2.8億円(推定)なので、交渉ラインは最低でも年4億円。巨人とマネーゲームでは勝てませんし、正直言って割高感もあります。となると巨人と阪神の一騎打ちですが、巨人にはポジションの問題がある。

大山はファーストもサードもできますが、そこには岡本和真と坂本勇人がいるので、一人はベンチに回ることになる。大山をレフトに回す手もありますが、それだと阿部慎之助監督が目指す機動力野球とは程遠いチームになりますね。大山は関東出身で、もともと巨人ファンだったようですが、巨人だとレギュラーは怪しい上に甲子園で猛烈なプレッシャに晒されるのは確実。結局は残留するような気がしますが……」

 東京ドームならホームランは増えそうだが、史上初の「虎の4番→巨人の4番」が生まれるかどうかはまだまだ微妙な状況だ。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2024/11/16 12:00
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