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『がんばれ!! タブチくん!!』配信と小栗旬と故西田敏行さんの知られざる“接点”

『がんばれ!! タブチくん!!』配信と小栗旬と故西田敏行さんの知られざる接点の画像1
西田敏行(写真/Getty Imagesより)

 10月17日に虚血性心疾患で俳優の西田敏行さんが亡くなったことを受け、西田さんが声優として出演していた劇場版アニメ『がんばれ!! タブチくん!!』が、11月16日午後9時からアニメ制作会社、トムス・エンタテインメントの公式YouTubeチャンネルで配信されている。

 同映画は、1979年11月に公開された、阪神で活躍し、当時は西武に在籍していた元プロ野球選手・田淵幸一氏をモデルにした、いしいひさいち氏の野球4コマギャグ漫画が原作。

 主人公・タブチ役の声優候補には故渥美清さんらの名前も挙がったが、最終的に西田さんが抜擢されたという逸話もある。

「福島県出身ながら子どものころから“虎党”として知られる西田さんに白羽の矢が立った。タブチ役を演じたことから、モデルである田淵氏と長く親交を続け、西田さんが二代目局長を務めていた『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)に田淵氏が顧問としてゲスト出演したこともあったほどです」(スポーツライター)

『がんばれ!! タブチくん!!』は第1作公開翌年の80年5月はゴールデンウイーク映画として『がんばれ!! タブチくん!! 第2弾 激闘ペナントレース』、同年12月には正月映画として『がんばれ!! タブチくん!! 初笑い第3弾 あゝツッパリ人生』が立て続けに公開されたが、同映画の製作にはあの大手芸能事務所、トライストーン・エンタテイメントの会長の山本又一朗氏が携わっていたことでも知られている。

 芸能ジャーナリストの竹下光氏は語る。

「山本さんといえば綾野剛さんや田中圭さん、木村文乃さんら数多くの人気俳優が所属する『トライストーン・エンタテイメント』を設立して長年社長を務め、昨年6月に小栗旬さんに禅譲して自身は会長に就任しました。映画プロデューサーや脚本家としても知られており、実写版『ベルサイユのばら』や近藤真彦さんと中森明菜さんが共演した『愛・旅立ち』など多数の映画を製作しています」

 現在は芸能界最大の業界団体である一般社団法人「日本音楽事業者協会」の理事も務めるなど、芸能界でも広く知られた存在である山本氏も関わった『がんばれ!! タブチくん!!』だが、当初は別の作品の製作費の補填を目的に作られたという。

 当時を知る映画業界関係者はこう明かす。

「元々、山本氏はジュリーこと沢田研二を主演に起用した映画『太陽を盗んだ男』(79年公開)をヒット作にしようと意気込んでいた。ところが、製作費がどんどんかさんだことで、確実にヒットが見込める別の作品を並行して作り、その収益で同映画の費用を賄おうと考えた。それが『がんばれ!! タブチくん!!』だったわけです」

『太陽を盗んだ男』は沢田演じる主人公のさえない理科教師が、自ら製造した原子爆弾で政府を脅迫する男の孤独な闘いを鋭い風刺とパワフルな演出で描き、現在もカルト的人気を誇る異色のアクション映画だ。

 もっとも、日本を代表するグループ・サウンズのザ・タイガースを経て、当時ソロ歌手として絶大な人気を誇った沢田を主演に据えたものの映画ファンには受け入れられず、興行収入は惨敗に終わる。

「後に、山本氏はインタビューで“『がんばれ!! タブチくん!!』がなかったら、『太陽を盗んだ男』の製作で僕は億を超える負債を背負い込み、立ち上がれなかったかも知れない”と振り返っている。そんなヒット作の主演を張った西田さんは山本氏にとっても恩人と言える存在でしょうし、後に『トライストーン・エンタテイメント』を設立することもなかったかもしれません」(同映画業界関係者)

 山本氏から同社の社長の座を受け継いだ小栗も、天国の西田さんに感謝しているはずだ。

大山ユースケ(ライター)

1990年、千葉県生まれ。某大手メディアに勤務中の複業ライター。得意ジャンルはお笑いと酒。

おおやまゆーすけ

最終更新:2024/11/18 09:00
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