米国在住ヘンリー王子はまな板の鯉 トランプ新政権の初仕事は不法移民の強制送還 牙を剝くのか
#ヘンリー王子
ヘンリー王子とメーガン妃の移住先はカナダかポルトガルか。大統領選で当選したトランプ前大統領から「特別扱いしない」と明言されていた米国在住の王子夫妻の「国外退去」の可能性が現実味を帯びてきた。王子夫妻はポルトガルに不動産を購入し、次の準備を着々と進めている模様だ。トランプ新政権の最初の仕事は、不法移民の強制送還だといわれており、トランプ大統領の2期目の就任式が行われる来年1月より前、早ければ年内にも、王子夫妻は決断を迫られることになる。
ヘンリー王子とメーガン妃は2020年1月に王室を離脱し、米カリフォルニア州モンテシートに移住した。メーガン妃は米国の市民権を持っているが、ヘンリー王子は外国人のため米国居住にはビザが必要で、移住にあたって取得した。ビザの種類は明らかにされていないが、外交官や政府高官らが持つ特殊なA1ビザではないかといわれている。
移住の際、ヘンリー王子のビザ取得について、米国内ではとりたてて大きな反響はなかったが、2023年1月にヘンリー王子が出版した回顧録が、王子の首を絞めてしまった。
回顧録『スペア』でヘンリー王子は、17歳の時に複数回、コカインを吸引したことなど麻薬遍歴を告白している。コカインだけではなく、マリファナやサイケデリック・マッシュルームなどいくつかの麻薬に手を染めたことがあると記している。
この告白に首都ワシントンにある名門の保守系シンクタンク、ヘリテージ財団がかみついた。
米国当局にビザを申請する場合は、申請者には過去の麻薬使用歴を届け出ることが課せられている。もし、ヘンリー王子が回顧録にあるような麻薬使用歴を届け出ていれば、通常ならビザの発給が認められない可能性が高い。ヘンリー王子が正直に届け出ていないか、届け出ていても特別な扱いがなされてビザが発給された可能性があるとして、ヘリテージ財団はヘンリー王子のビザ発給についての連邦政府の記録の公開を求めた。
この問題についてトランプ前大統領は選挙戦中、政治討論会やメディアの取材に「バイデン政権はヘンリー王子に甘すぎる」「私は王子を守るようなことはしない。彼はエリザベス女王を裏切ったのだから」「(大統領選に勝利すれば)ヘンリー王子を特別扱いはしない」との発言を繰り返した。
ヘリテージ財団が連邦政府を相手取ったヘンリー王子のビザ発給をめぐる裁判で、コロンビア特別区地区裁判所のカール・ニコルズ判事は9月23日、「国民はヘンリー王子の入国記録の開示に強い関心を持っているわけではない」として、非公開のままにするべきだとの判決を言い渡した。
判事は「他の外国人と同様に、ヘンリー王子も自分の在留資格についてプライバシーというものがあり、ヘンリー王子のプライバシーの重要性は国民の関心を上回っている」と説明している。
しかし、トランプ前大統領が大統領選で圧勝したことで、ヘンリー王子に有利に働いた判決の「効力」は事実上、吹き飛んでしまった。
ヘリテージ財団マーガレット・サッチャー・フリーダムセンター所長のナイル・ガーディナー氏は、ヘンリー王子の薬物使用についての広範囲かつ継続的な報道は、ヘンリー王子の入国を許可する際に適切な審査や手続きが行われたのかどうかの疑問を投げかけている、と主張してきたが、トランプ新政権下では、ヘリテージ財団の主張が政界の正論となる。
初当選した2016年と敗れた2020年の過去2回の大統領選と違い、トランプ前大統領は今回、初めて総得票数で相手候補を上回った。その勢いで不法移民の強制送還に真っ先に取り組む。
トランプ前大統領は急ピッチで新政権人事を進めており、11月11日には、早々に国境管理の責任者を決めた。「泣く子も黙る」移民税関捜査局(ICE)の局長代理を務めたトム・ホーマン氏である。トランプ前大統領はホーマン氏に「国境の皇帝」として移民問題の実務のほぼ全権を託す。
ホーマン氏は強制送還の手順として、犯罪者や安全保障上の脅威となる人物から始め、次に犯罪にはかかわっていない不法滞在者に移っていくとしている。
ヘンリー王子がビザ申請時に虚偽の申請をしていれば、最悪の場合、犯罪と判断される。そうなればヘンリー王子が第一段階での「国外追放」の対象となる可能性も出てくる。
トランプ新政権がヘンリー王子を移民問題の「見せしめ」として扱うこともあり得る。ホーマン氏は不法移民の子どもたちを親から引き離すやり方で世論の批判を浴びながらも、厳しく取り締まったことでも有名だ。メーガン妃と引き離しての「国外追放」などという衝撃的な対応も考えられる。
刻一刻とトランプ新政権の誕生が迫る中、ヘンリー王子夫妻はポルトガルのリスボンから南に約80キロのメリデスに470万ドル(約7億2000万円)で不動産を購入したという。英連邦のカナダなら優しく受け入れてくれるというのが一般的な見方だが、ポルトガルが移住先として急浮上してきた。
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