大学駅伝3冠を目指す国学院が“台風の目”に…“渋谷の地味な大学”が受験戦線台頭の予感
#国学院大学
秋の到来を告げる大学駅伝で、国学院大学が盤石の強さを見せている。10月に行われた出雲駅伝で5年ぶり2度目の優勝を飾ると、11月3日の全日本大学駅伝も制して2冠を達成。年明けの箱根駅伝でも優勝候補の本命に躍り出て、悲願の3冠が見えてきた。これに伴い、受験の勢力図でも国学院が俄然、存在感を発揮しそうだ。
「大学スポーツの中でも箱根駅伝は注目度が別格。2日間にわたり7~8時間も放送される中継は平均視聴率が20%を超えるお化け番組で、そこで大学名が連呼される広告効果は計り知れません。開催時期が受験シーズン直前なので、駅伝に力を入れて人気と知名度アップを図る大学は多い。
今や常勝軍団となった青山学院はその筆頭ですし、ここ数年は立教も駅伝部門を強化して箱根の出場権を獲得。国学院も2010年代に入って本格的に強化を進め、箱根優勝に手が届くレベルのチームを作り上げたことで、当然志願者は増えるでしょう」(週刊誌スポーツ担当記者)
受験直前に大学名を耳にすれば、受けてみようと思う受験生が現れるのは当然だ。そうなれば大学の思惑通りだが、国学院には他の大学とは違う特徴がある。受験雑誌の編集を手掛けるフリーの教育ライターが言う。
「国学院は地味なイメージがありますが、文学部は文句なしの名門。卒業後に国語教師の道を歩む人は多く、それで名前を知っている学生は多いでしょう。一方、国学院には神道文化学部があり、日本全国に散らばる神主を多数輩出している。そういったことから、大学名が全国に知られている強みがあります。
また、大学のレベルが分かりにくいのもポジティブな要素です。大学受験界には早慶上、MARCH、日東駒専、大東亜帝国といったグループが存在しますが、国学院はどのグループにも属していません。偏差値だけでみればMARCHと日東駒専の間ぐらいですが、教師や神主のイメージから“賢そう”“マジメそう”という印象は強い。実際、落ち着いて学びたい人にはピッタリの大学です」
それ以外にも人気上昇を後押しする要素はある。
「近年の大学のトレンドは都心回帰。1970年代から80年代にかけて、都心の手狭なキャンパスを離れ、郊外の広大なキャンパスに移転するのが流行りましたが、近年は青山学院、東洋大学、中央大学法学部など、都心回帰の傾向が顕著です。その点、立地という点で国学院は圧倒的に強い。
最近ようやく積極的にアピールするようになりましたが、国学院大学のメインキャンパスの最寄り駅は渋谷です。多数の路線が乗り入れる巨大ターミナル駅が最寄りなら通学の便は最高ですし、いちいちどこかへ行かずに遊んだりバイトができるのも嬉しい。勉強と遊びの両方を充実させたい昨今の学生のニーズに適っています」(同上)
さらに来年には、知名度アップに一層貢献しそうなイベントも控えている。
「大学駅伝シーズンは通常なら箱根駅伝で打ち止めですが、来年は3月に万博開催記念の『エキスポ駅伝』が開催されます。これは史上初めて大学生と実業団の対決が実現するレースで、すでに駅伝2冠の国学院は必ず出場校に名を連ねるはず。これで善戦すれば、いよいよ大学の名声が高まるのは確実で、千載一遇のチャンスです」(前出・スポーツ担当記者)
にわかに追い風が吹いてきた名門・国学院。関係者はこの状況をどう捉えているのか。現在、国学院大学で教壇に立つ教授(50代/男性)は、こう話す。
「基本的におとなしくてマジメな学生が多い大学です。渋谷駅から大学に向かうルートが途中まで青山学院の学生と同じですが、二手に分かれる場所で、男女問わず華やかな子はもれなく青学方面に行きますね。あと、“国学院あるある”といえば、国士舘に間違えられること。大東亜帝国の“国”は国士舘ですが、国学院だと思っている人もいて、そう言われるのをすごく嫌がります。国学院は最近、野球にも力を入れていて、プロで活躍している選手もたくさんいますが、あまり出身大学をアピールしている印象はないので、箱根駅伝で優勝してくれるのを楽しみにしています」
少子化が加速する中、厳しさを増す大学の受験戦線新潮流はこうしたところにも表れているのだ。
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