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【24年秋ドラマ】『嘘解きレトリック』第6話 鈴鹿央士がメロすぎる!? チート能力を振りかざさない慎ましさ

松本穂香(GettyImages)

 知らなかったんですが、最近では「メロメロになっちゃう」ことを「メロい」というらしいですね。また日本語が乱れておる! なんてどっかから怒られそうですが、「キモい」とか「グロい」とかはすっかり一般的な言葉になってきてますし、「エモい」も定着してきてますし、いずれ「メロい」も普通に使われるようになるかもしれません。

 そういうわけで、主演の鈴鹿央士がとことんメロかったドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)第6話。振り返りましょう。

■今回は特に事件はありません

 前回と前々回で横溝正史チックな大ネタのミステリーを持ってきた本ドラマ。嘘を見抜けるという探偵助手・鹿乃子(松本穂香)の能力が存分に発揮され、鮮やかな解決となりました。

 こうなってくると、探偵・左右馬(鈴鹿)と助手・鹿乃子の名コンビが次はどんな難事件を解決するのかという期待を抱いてしまうところですが、今回は何やら冒頭からスローペース。何か、こちらの期待とは違うことが起こりそうな予感はありました。

 物語は、探偵としての左右馬に憧れる令嬢・千代さん(片山友希)と鹿乃子が道端で拾った小さな手鏡の持ち主を探すお話。田舎の人形屋敷で人が死んだ直後に持ってくるにしては、ずいぶんと小さな事件です。千代さんと鹿乃子が「少女探偵団」を組んで持ち主を探り当てますが、この持ち主がついた嘘を鹿乃子が見破ったことで事件はもうひとつ展開していきます。

 持ち主だった若い男は、この手鏡が「母の形見だ」と嘘をつきました。千代さんと鹿乃子が甘味処であんみつとところてんを楽しんでいると、そこにやってきたご婦人が「ひったくりに手鏡を盗まれた」と話しているのを耳にします。鹿乃子は、男が嘘をついていたこととご婦人が語った手鏡の特徴から、男がひったくり犯であると断定。しかし実際には、ご婦人が盗まれた手鏡にあったとされる「TATUE」という彫り文字が男の持っていた手鏡には入っておらず、男の手鏡はご婦人から盗んだものではないことが明らかになりました。

 2人して、男に謝罪する少女探偵団。男は笑って許してくれましたが、鹿乃子は自分の「嘘を聞き分ける能力」が冤罪を生む可能性に思い当たり、その能力が人を傷つけてきた過去を思い出してひどく落ち込むのでした。

 一度は能力を封印し、ひとりで生きていくことを決意した鹿乃子。そんな鹿乃子を丸ごと受け入れてくれたのが、この町の探偵・左右馬でした。しかし、「嘘を聞き分けることができる私だからこそ、見えないものがある」と悟った鹿乃子は、探偵助手の仕事を辞めることを決意します。

 ひっそりと左右馬に別れを告げ、ひとり川べりに座り込む鹿乃子。そこに般若の面をかぶった左右馬が現れます。

「般若の顔は嫉妬と恨み」とか言いながら、鹿乃子が昼間、あんみつを食べていたことにひとしきり悪態をついたあと、話を聞いてくれる左右馬。鹿乃子は改めて、能力によって人を傷つけたくないから、探偵助手の仕事を辞めると言います。左右馬は「わかった。君は僕のところ以外で働いた方がいいのかもね」と言ってその場を去りますが、鹿乃子には、その左右馬の言葉が嘘であることがわかってしまいます。そして、左右馬が鹿乃子に見破られることをわかった上で、この嘘をついたことも。

 追いすがる鹿乃子を、左右馬は優しく諭します。

「ほらね、人を傷つけるのがそんなにつらい人が、傷つく人を放っておけるはずないよ。観念しなさい」

「あのね、嘘が分かる君に見えないものがあるなら、嘘がわからない僕には、それが見えるんじゃない? だから、一緒にいればいいんだよ」

 めっろ。

■能力を振りかざさない慎ましさ

 噓が分かるという探偵にとってこれ以上ないチート能力を登場させながら、このドラマはその能力が決して万能ではないということを念入りに語ります。

 人にはない能力や個性がおおむね有益ではあったとしても、ときに人を傷つけることもあるし、自分自身が傷つくこともある。それでも、鹿乃子は「嘘が分かってしまう」という能力から逃れられないから、受け入れて生きていくしかない。ひとりで抱えきれないなら誰かと生きていくしかないし、理解者がひとりでもいれば生きていける。

 探偵における「嘘が見抜ける」という一見メリットしかない能力において語られるそうした真理は、短所や持病、障害に悩む人たちにも共通するものでしょう。

 このドラマでは、その能力を振りかざさない慎ましさによって登場人物の感情に普遍性を獲得しています。「嘘を見抜ける」というトンデモ設定を、人が当たり前に抱えるそれぞれの悩みや苦悩に落とし込んで共感を呼ぶことに成功している。

 ところで、「メロメロ」という言葉は江戸時代の浄瑠璃では「めそめそ」に当たる表現として使われていたそうですね。それが明治に入ってからは、炎が燃える「めらめら」に転じたのだそうです。それが、人に夢中になる現在の「メロメロ」になった経緯はまったくもってよくわかりませんが、「めそめそ」が「めらめら」になって、自分自身に「メロメロ」になれるような、そんな人生になったらいいですね。今回はそんな感じで。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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最終更新:2024/11/12 13:00
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