【24年秋ドラマ】『若草物語』第5話 創作者の創作ドラマが創作しないと、途端に「フツー」になる
#若草物語
恋愛や結婚に興味のない脚本家志望の女性が恋愛ドラマの脚本作りにかかわることになって悪戦苦闘しつつ、周囲の状況や自身の心境の変化を仕事に反映させていく様子を描いたドラマ『若草物語 ─恋する姉妹と恋せぬ私─』(日本テレビ系)も第5話。
今回はそんな主人公と、幼なじみの男性との友情と恋愛についてのお話でした。
振り返りましょう。
■いわゆる「男女の友情は成立するか」という
大御所脚本家・大平かなえ(筒井真理子)に弟子入りし、プロット作りに勤しんでいるリョウ(堀田真由)。作業はまずまず順調のようですし、お師匠の機嫌を取りつつ楽しく働いています。
この日は、ドラマに出てくる男女の関係が友達から恋愛に変わる瞬間を描いた回を制作中。友情から恋愛への変化をリョウは「もったいない」と言いますが、大平かなえは「男女の友情なんて、欺瞞に満ちてるのよ。ちょっと茶々が入ったくらいで崩れちゃう」と、取りつく島もありません。人は恋愛でしか走らないと言う師匠に、リョウは「友情でも走る、メロスも走った」と言い返すなど、いつもの調子なのでした。
そんなリョウと幼なじみのリツ(一ノ瀬颯)は、子どものころからずっとリョウを好きな気持ちを隠して、友達として付き合ってきました。高校時代、放課後にリツとリョウが勉強していたところをサッカー部に「付き合ってんだろ」「避妊しろよ」などと冷やかされたことをきっかけに、一時疎遠になった2人。リョウはサッカー部も許せなかったし、ヘラヘラしてたリツのことも許せなかったようです。
そして9年後に偶然再会し、すっかりほとぼりも冷めたので以前のように仲良し友達に戻った2人でしたが、リツは今でもリョウのことが好きなようです。でも、リョウのことをよく知っているからこそ、恋愛関係に発展させようとはしていない。
そういう状態の2人が、本当にめちゃくちゃお互いを大切に思っていて、何に優先してでもお互いのために動くのだ、という関係性が今回はじっくり時間をかけて描かれました。
昔も今もリョウにとってリツは誰よりも大切な友達。
昔も今もリツにとってリョウは愛している相手。
それを、ステキなエピソードを通して語りつつ、ラストには2人に酒を飲ませ、駅前のベンチで酔ったリョウがリツにもたれかかって眠ってしまう。寝顔を見ながら、リツはリョウの手を握る。果たして、2人の友情はどうなってしまうのか!? というお話。
■1文字も書いてない
冒頭で、リョウという女性が「周囲の状況や自身の心境の変化を仕事に反映させていく様子を描いたドラマ」と書きましたが、今回は全然仕事してません。脚本もプロットも、1文字も書いてない。
結果、もうめちゃくちゃフツーのドラマになってましたね。男女の友情が成立すると思ってる女と、それを理解しつつも思いがあふれちゃう男。
そういうのを、駆け出しのクリエイターがどんな風に創作に落とし込んでいくのかというところを楽しんできたので、今回はあんまり見どころがなかったです。ここまでの4話は比較的、1話ずつエピソードのケリをつけてきてたんですよね。構造としては1話完結型に近い形で進んできましたが、今回は「前後編の前編」という感じ。とはいえリツが手を握ってきたというのはリョウにとっては大事件なはずですので、次回以降、リョウの創作にどう影響してくるかはけっこう楽しみです。
あくまで、ちょっと腕に覚えがあるからピンピンにトガっていた脚本家志望の若者がいっぱしのプロになっていくドラマとして、今後も追いかけたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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