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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『おむすび』主役橋本環奈が無理

『おむすび』第29回 このギャル設定で、主役が橋本環奈であることに無理がある

橋本環奈

 NHK連続テレビ小説『おむすび』も第29回。今回は、謎に伏せられていた元カリスマギャルの姉・アユ(仲里依紗)のいろいろが本人の口から語られました。アユ、トークショー回です。

 その内容以前に、とりあえず「語られた」というだけで、なんだか安心してしまいましたね。アユについてはわからないことが多すぎて、さらにここ数日でわからないことが積み重なっていったので、かなりストレスになっていました。

 まずは少しわかってよかった。振り返りましょう。

■そうだったのか! とはならない。

 過労で倒れた結ちゃん(橋本環奈)は、おばあちゃん(宮崎美子)のスープを飲んで、にわかに復活。心配して駆け付けてくれたアユのお話にも、ようやく耳を傾ける気になったようです。

 アユは、自分がギャルになったきっかけやカリスマとして君臨するまでの過程などなどを結ちゃんに話して聞かせます。

 まずは、急に帰ってきて、家族会議で「一家で神戸に引っ越そう」と言い出した理由について。

 震災で亡くなった親友・マキちゃんのお墓参りに行きたいから、なのだそうです。1人ではどうしても行けなくて、みんなとだったら行けると思うから。

 だから、一家で神戸に引っ越そう。

 えーと、引っ越さないと参れない墓ってなんだろう。ここで言うお墓参りって、1年のうち数カ月はマキちゃんのお墓の周りをぐるぐる巡礼するとか、そういう行為なんだろうか。それかマキちゃんの御霊は88個くらいに分裂して神戸の各地に分散して奉られていて、その霊場をみんなで巡ったりするのかな。まあ、そんなわけないんですけど、なんでこんなのが通るんだろうって単純に疑問なわけですよ。「一家で神戸に引っ越そう」の理由が「みんなでマキちゃんの墓参りをしたい」って言われたら、おかしいだろって思うじゃん、普通。なんで通るの、これ。

 もう見直すのも面倒なので、アユは「神戸に行こう」って言っただけで「引っ越そう」とは言ってないのかもしれないけど、明らかにあの会議のテーマは「神戸への移住」でしたからね。実家の畑をどうするかとか、神戸で床屋をやりたいけど新規オープンには開業資金がかかるとか、そういう話をしてましたからね。だから今回の「マキちゃんの墓参り」は伏線を回収したのではなく、過去のシーンと矛盾してるというだけですからね。

 ほんで、ギャルになったのもマキちゃんがそうしたかったからだと言う。

 マキちゃんが「高校出たら東京でギャル雑誌のモデルとかやってみたい」と言っていたという回想シーンがあります。それをもって、このドラマはアユが高校初日に金髪で登校して退学になったことも、天神のゲーセンでカツアゲされているヤンキーをしばいたことも、カリスマとして担がれてもそれを拒否せず徒党を組んで街を闊歩していたことも、全部「マキちゃんならそうするはず」と決めつけています。

 こっちは、話としちゃ通ってはいる。プロットに齟齬や矛盾が発生しているわけではない。でも、無理筋ですよねえ。マキちゃんのセリフを極端に拡大解釈しているし、もしマキちゃんがイケイケのハギャレンみたいなギャル像を語っていたのであれば、回想シーンの描写不足です。いずれにしろ、通ってはいるけど失敗してる。

 あとなんだっけ、現役ハギャレンが米田家の朝食時に勝手に上がり込んできた無礼さと、アユ=大女優のくだりを「大女優って言ったのは付き人」「うわさを広めたのはおじいちゃん」と予防線を張っててセコいなと思ったけど、まあそれはいいや。

■アユが簡単に成功しすぎてるんだよな

 お話として、結ちゃんの「6歳時のトラウマ」を物語の中心に持ってきちゃったことで無理が生じてるように思うんです。

 今回のアユの告白、細部も大筋もむちゃくちゃだと思うけど、道理はわからんでもないんです。中学生が震災で親友を失って、その遺志を継いでギャルになる。構図自体は美しいし、ドラマチックでもある。

 そのアユが半強制的に糸島に連れてこられて、マキちゃんが言ってたようなギャルになろうとするけど、本来マインドがギャルじゃないから苦悩する。パパは反対するけれど、仲間たちとのステキな出会いや元スケバンであるママ(麻生久美子)の理解もあって、徐々にギャルとして暮らす楽しさを日々実感していく。最初はマキちゃんのコピーでしかなかったけど、アユはアユなりのギャルに目覚めて、自立したひとりのギャルとしてカリスマになっていく。そうしていつしか、親友の死を受け入れていく。どうしても行けなかったお墓参りも、カリスマになったときに行ってたらいいんですよ。ギャル姿で、お墓の前で「マキちゃん、ありがと。マキちゃんがなりたかったギャルって、こんな感じかな?」なんて手を合わせてたら、けっこう泣けちゃうと思う。

 この震災時の設定から導き出される物語のテンプレートって、こっちなんだよな。どう考えても主役はアユなのよ。

 結ちゃんはアユに向かって慟哭しながら「マキちゃんのことも私だって悲しい」とか言ってたけど、アユのほうが悲しいに決まってんだから。

 今回はそんな感じです。明日も見ます。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

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最終更新:2024/11/07 18:00
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