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【24年秋ドラマ】『ベビわる』殺し屋から朝ドラのヒロインへ…髙石あかり、卒業へのカウントダウン

【24年秋ドラマ】『ベビわる』殺し屋から朝ドラのヒロインへ…髙石あかり、卒業へのカウントダウンの画像1
『ベイビーわるきゅーれ 』Blu-ray

 裏社会の殺し屋から、NHK朝ドラのヒロインへ。ガールズアクション映画『ベイビーわるきゅーれ』(2021年)で注目を集めた髙石あかりが、2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』で小泉八雲の妻・セツをモデルにしたヒロインを演じることが発表されました。各芸能事務所の若手精鋭女優たち2892人がひしめくオーディションからの大抜擢でした。

 低予算インディーズ映画『ベビわる』から応援してきたファンはうれしい反面、推している子が表舞台へと去っていくような一抹の寂しさも感じているのではないでしょうか。日米合作による髙石あかり初の単独主演映画『ゴーストキラー』(園村健介監督、阪元裕吾脚本)の公開が控えているとはいえ、しばらくは血まみれ姿の髙石あかりとはお別れすることになりそうです。

 伊澤彩織とダブル主演している深夜ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(毎週水曜 深夜1時~、テレビ東京系)も残すところ、あと3話のみ。髙石あかり、殺し屋からの卒業のカウントダウンを最終回まで追っていきたいと思います。

組織への順応=洗脳

 高校在学中から殺しに手を染め、高校卒業後も殺し屋業を続けているガールズアサシンコンビの杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)。殺し屋協会のジョブローテーション制度によって、ちさと&まひろはコンビを一時解消し、別々の部署でお仕事中です。

 営業部へと配属されたちさとは、慣れないデスクワークに苦戦中です。『ベビわる』第1作ではメイドカフェ、『ベビエブ』の第2話では居酒屋バイトにうまく順応できたちさとですが、殺しのセールスにはなかなか馴染むことができません。

 超体育会系の山下部長(後藤剛範)が率いる営業部は独特の社風です。「おつかれさま」というのはNGで、「お元気さま」と言わなくてはいけません。思考が現実をつくるからだそうです。なんか、ヤバい系のセミナーハウスみたいです。

 そんないかがわしい職場にもかかわらず、天使のような純真キャラのちさとは、懸命に順応しようと努めます。しかし、「お元気さま~」と口にするたびに、ちさとは逆に精気を失っているように感じます。組織への順応=洗脳ではないでしょうか。

 新しい職場に溶け込もうとして自分をすり減らしていくちさとを見て、どこかで見た光景だなと感じた人もいるはずです。孤軍奮闘するちさとは、実社会に出て初めての職場で働き始めた自分自身の姿だと思います。新人だから仕事ができないのは当然なのですが、先輩社員は自分の新人時代を忘れてシビアに接します。

 一見すると優しそうな先輩社員の栗原(小島藤子)ですが、ちさとが電話でのセールスに失敗すると、「すみません、すみません」と謝るちさとに拳銃を突きつけます。

「普段から謝罪を使い慣れちゃうと、本当に謝りたいときに効果なくなるから~」

 笑顔を浮かべながら、謝るちさとに拳銃を突きつける怖い先輩です。数千万円単位の契約が飛び交う特殊な職場のパワハラは、尋常ではありません。

 ちさとは第7話で実家の両親から「あまり危ないことはしないでよ」と釘を刺され、人情派の山下部長からは「親に孫を見せるのが、いちばんの親孝行だ」と諭されています。優しい言葉が、ちさとを余計に追い詰めていくことになります。

死亡フラグか、ミスリードか?

 一方のまひろも、「おつかれさま~」どころか、生きるか死ぬかギリギリの状態です。監査部の日野(柄本時生)のもとで働き始めたまひろは、命がいくつあっても足りません。ミスを犯した殺し屋たちを、粛清するという危険な任務です。しかも、今までまひろをサポートしてくれていたちさとはおらず、日野はまったく信用できないため、ひとりで粛々と業務を行うしかありません。まひろのローンバトルが続きます。

 何度も死にそうな目に遭うまひろに対し、日野は「やめたくなった?」と冷たく尋ねるだけです。監査部にいたから、日野はこんなに冷たい性格になったのでしょうか。それとも、もともとの性格なのでしょうか。多分、答えはその両方でしょう。

 日野によると「一緒に仕事していた仲間を粛清しなくちゃいけないこともある」そうです。まひろとちさとが、いつか戦うこともありうるということです。不吉な死亡フラグが、またしても立てられました。単なるミスリードであるといいのですが。

 第9話のラスト、まひろは殺し屋協会のマネージメントを請け負う須佐野(飛永翼)から、日野自身が粛清対象であることを告げられます。異動して間もないとはいえ、直接の上司を殺害するという厄介な極秘ミッションをまひろは負うことになります。

現実世界でも岐路に立つ髙石あかり

 今夜放送の第10話では、鉄壁のコンビネーションを誇ってきたちさまひの関係にヒビが入ることになります。ちさとは営業部の人間関係に疲れ、磨耗しています。まひろに菓子パンを買って帰る心の余裕さえも失っています。まひろも、上司殺しの計画を誰にも漏らすことができず、孤独に悩みます。

 劇場版第2弾『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(2023年)までは、スタントパフォーマー出身の伊澤彩織がアクションパートの中心になっていましたが、現在公開中の第3弾『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』では、髙石あかりも見事な殺陣を披露しています。コミカルな演技に加え、シリアスな芝居もでき、表現力に幅があるのが髙石あかりの魅力です。しかも、まだ21歳で、俳優として伸び盛りの時期にあたります。

 将来が約束された新しい仕事を優先するのか、それともまひろとのこれまでの友情を守るのか。揺れ動くちさとの内面を、現実世界でも大きな岐路に立つ髙石あかりがどう演じていくのかがクライマックスの見どころとなりそうです。

 残すところ、『ベビエブ』も3話のみ。まひろは日野との対決が、ちさとはパワハラ気質の営業部全体との闘いが待ち構えています。裏社会の殺し屋から、朝ドラのヒロインへと華麗な転身を果たす髙石あかりの殺人パフォーマンス、そして当面は封印されることになるちさまひのラストバトルを、しっかりと目に焼き付けたいと思います。

最終更新:2024/11/06 12:00
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