銃撃犯とされた山健組組長に無罪判決、山口組分裂騒動への影響必須!?
#六代目山口組 #神戸山口組 #五代目山健組
10月31日、神戸地裁。殺人未遂と銃刀法違反罪に問われた六代目山口組五代目山健組の中田浩司組長に対し、丸田顕裁判長が言い渡した判決は、無罪であった。これにより、中田組長は5年もの勾留期間を経て、社会へと帰還したのである。
事件は今から遡ること5年前の2019年8月、六代目山口組と神戸山口組の抗争が今よりも激しかった頃に起きたものである。神戸市中央区で六代目山口組三代目弘道会傘下の組員が銃撃され、その後、防犯カメラにスクーターを運転しながら発砲する男の姿が映っている映像が拡散された。この事件の実行犯として逮捕されたのが、当時神戸山口組の中枢組織であった五代目山健組の中田組長であった。
裁判員裁判で審理されたこの事件の争点は、銃撃を実行したのが本当に中田組長本人であったのかという点にあった。中田組長は無罪を主張したが、検察側は防犯カメラの映像を追跡・分析し、その日の服装などから中田組長が実行犯であるとして、懲役20年を求刑した。
「検察側の主張はあくまで状況証拠からの推認で、防犯カメラの映像も不鮮明で中田組長を犯人だと断言できる証拠はありませんでした。それでも有罪判決が下る可能性は高いと見られていました。それでも、わずかながら無罪になる可能性があると言われ始めたのは、裁判長が丸田裁判官だったからでしょう」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
というのも、四代目山健組内部で起きた殺人事件で、殺害を指示したとして組織犯罪処罰法違反・組織的殺人罪に問われた四代目山健組若頭(当時)に対し、2012年に丸田裁判長が神戸地裁で無罪の判決(第二審で有罪)を言い渡しているからだ。
刑事訴訟における無罪判決は、一審において1パーセントにも満たないとされる中、丸田裁判官は数多くの無罪判決を言い渡してきている。
「刑事裁判における原則に『疑わしきは罰せず』というものがある。証拠が十分でない場合は罪に問わないというものだが、実際にはほとんど適用されていないのが実態です。特にヤクザが被告であればなおさらです。しかし丸田裁判官は、ヤクザの大物組長であったとしても平等に『疑わしきは罰せず』の原理原則を大前提として審理する稀有な裁判官と言えるでしょう」(業界関係者)
そうして下された中田組長への無罪判決。中田組長が拘束されている間に、五代目山健組は中田組長の命のもと、神戸山口組を離脱し、その後六代目山口組に復帰している。今回、中田組長が社会復帰したことで、今なお続く山口組の分裂問題に何らかの影響が及ぶことになるのだろうか。前出の業界関係者はこう話す。
「五代目山健組が神戸山口組を離脱する際、一部の幹部らは神戸山口組に残留し、現在に至っています。その理由として、神戸山口組に残って中田組長の帰りを待つためだとされています。それに対して、五代目山健組は残留組員らに対して絶縁や破門という処分を下しています」
なぜ一部の組員はそのような行動を取ったのか。先の関係者が続ける。
「中田組長が勾留され社会との直接的な意思疎通が遮断されていた中、神戸山口組からの離脱を命じたとされるためです。つまり、中田 組長の耳に入る情報と、実社会の動きに温度差が生じていた可能性があり、その中で下された命令が絶対的なものと感じられなかったのでしょう。しかし、社会復帰した中田組長はこの間の状況を直接把握できるわけです。そうした背景を踏まえると、中田組長の意思次第で神戸山口組に残留していた組員が神戸山口組を離脱する動きを見せてもおかしくない状況です」
もしこの推測が正しければ、神戸山口組の組織力はさらに低下する可能性がある。六代目山口組体制の是正を目指して設立され、同組織と対立してきた神戸山口組が今後存続していく意義が、改めて問われることになるのかもしれない。
(文=山口組問題特別取材班)
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