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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『おむすび』橋本環奈が全部ウソ

『おむすび』第25回 主人公・橋本環奈の「感情の爆発」が全部ウソになる

橋本環奈

 NHK連続テレビ小説『おむすび』も第5週「あの日のこと」が終わりました。このドラマはオリジナル脚本ですが、震災の描写については綿密な取材を行ったことが公表されています。

 その情報の通り、被災者の方々のセリフにはいちいち気持ちが乗っていたと思います。震災翌日に避難所におむすびを届けに来た女性、一家が糸島に帰ることになったとき、その背中を押した市役所職員、そして、中学生の娘を失った父親。このあたりは取材ベースのセリフなんでしょうね、胸に迫るものがありました。

 それ以外は、迫るものがありませんでした。

 第25回、振り返りましょう。

■ふりだしに戻る

 今回はパパ(北村有起哉)の回想シーンからスタートです。高校入学と同時に髪を染めてギャル化した結ちゃんの姉・アユが警察のお世話になり、帰宅するとさっそくパパのお説教がスタート。ろくに聞いていないアユのポケベル(ポケベルだよ!)が鳴りますが、パパはそのポケベルを取り上げ、「うざい」と言われて手を上げそうになります。

 結局パパはアユを殴ることはなく、アユはそのまま2階の部屋へ上がっていくわけですが、ここでも演出の甘さが露呈していました。

 これまでも、何度も登場人物の行動に気持ちが乗っていないシーンがあったのですが、アユはパパに取り上げられて食卓の上に置いてあるポケベルをそのままにして台所を去っていくんですね。こういうとこなんです。絶対、持って行くんだよ。このときのアユの心象表現として「パパの話は聞く気がない、それより友達との連絡が大事」という心の動きを表したいところなのに、ポケベルを置いてっちゃう。雑にやってんなと思わされるシーンです。

 そんなこんなで米田家では糸島フェスの打ち上げが継続中。結ちゃん(橋本環奈)の幼なじみである陽太(菅生新樹)がカッパ(佐野勇斗)に対抗心を燃やしていたり、書道部の恵美ちゃん(中村守里)が陽太に女を出して「送ってよ」とか言ってたりというワチャっとしたシーンがあって、今度はハギャレンがアユに「ハギャレン続けたい、アユさんの許可が欲しい」と直談判。アユは「勝手にしろ」「うちはニセモノ」とか言って取りつく島がありません。

 階下では、泥酔したパパが騒いでいます。涙ながらに「アユは自分のせいでグレた」「結まで不良になった」などと周囲に訴えます。これを盗み聞きしていたアユは壁の向こう側で涙、結ちゃんもハギャレン一同に「ギャルやめる」と宣言するのでした。

 なんだか、ふりだしに戻った感じです。

■相手によって態度や言うことを変える人は信用できません

 今回も顔面アップショット多め、セリフ少な目で「私の気持ちは見る側で察してください」というムーブをかましてきた結ちゃん。最後の最後で「ギャル辞める」というアクティブなアクションを起こしましたが、どうやらパパの気持ちを慮ってのことのようです。

 パパは「結まで不良になった」と言いました。だからギャルをやめるということだとしたら、とんだダブルスタンダード、二枚舌としか言えないのよ。

 ちょっと前に、天神でホンモノのカツアゲ不良ギャルにからまれたとき、結ちゃんはこのドラマで初めて感情を剥き出しにして「ハギャレンは不良じゃない」と訴えました。「大切な友達だ」と。

 そうしてパラパラも練習して、フェスでは一緒に踊って楽しい思いもさせてもらって、見たことがない景色を見せてもらって、打ち上げではおまえが感傷に浸っている間もめんどくさいおじいちゃん(松平健)や酔っ払いのおじさん連中の相手も機嫌よくこなしてくれて、頃合いを見計らって帰ってくれるというこれ以上ない思いやりを見せてくれたハギャレンに「パパが不良だと言っている」から三下り半を突き付ける。

 人の心がないんか、と思いますよ。

 天神で不良に言ったのと同じことを、パパに言いなさいよ。酔いがさめるのを待って「パパは誤解している、あの子たちは不良じゃない、大切な友達だ」って、なんで言えないのよ。

 これまで結ちゃんが激高したのは二度。一度はその天神の不良ギャルに対して。もう一度はアユにハギャレンをバカにされたときでした。その二度ともが、今回の「やめる」という宣言でウソになってしまっている。ついでに、フェスでの満面の笑みも「ギャル楽しいぃ~♪」という発言もウソになっている。

 登場人物の感情の爆発にウソが混じるという事態は、ドラマにとって致命的だと思うんですよ。じゃ、いつのどの発言を信用したらいいのよ、って話です。

 たぶん、段階として「結ちゃんは自分の気持ちに素直になれない」という時期を描いているからこういう揺らぎが生じているんだと思うんだけど、それにしても結ちゃんのギャルたちの人格を軽視した態度と周囲への感謝のなさは目に余るところです。

 というわけで、次週は「うち、ギャル、やめるけん」だそうです。「やっぱりやめたくない」とか言い出すのかね。ホントに少しは相手の気持ち考えてね。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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最終更新:2024/11/01 17:00
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