トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『おむすび』第24回 カリスマギャルの爆誕を主体ではなく「現象」でしか描けない弱さ
『おむすび』「現象」でしか描けない弱さ

『おむすび』第24回 カリスマギャルの爆誕を主体ではなく「現象」でしか描けない弱さ

橋本環奈

 主演の橋本環奈にわりと派手なスキャンダルが飛び交っている31日に放送されたNHK朝の連続テレビ小説『おむすび』の第24回。震災を経て、結ちゃん(橋本)の姉・アユ(仲里依紗)がギャルデビューした経緯が明かされました。

 まあ、あんまり明かされてないのだけれど。振り返りましょう。

■ギャル≒不良なのー?

 米田家で行われている糸島フェスの打ち上げは大盛り上がり。みんなでホークスの応援歌を歌ったり、ハギャレンがそれに合わせてパラパラしてたり、福西のヨン様ことカッパ(佐野勇斗)もメガネかけてヨン様のモノマネしてたりと、実に楽しそうです。

 そこに帰ってきたのが、フェスの実行委員長だった結ちゃんパパ(北村有起哉)。とりあえず駆け付け1杯だけ付き合いますが、すぐに結ちゃんを台所に呼び出し、事情聴取です。

 あのギャルたちとはどこで出会ったのか。毎週末、天神に集まっていたのは書道部の自主練じゃなかったのか。結ちゃんは口ごもり、ママ(麻生久美子)が何とかとりなすという、いつもの光景となっています。

 今回はパパの回想から、震災パートへ。

 糸島に家族を移住させ、ひとり神戸に残って復興の手伝いをしているパパ。仲間たちも仮設で商売を始めており、自分も家族を神戸に呼び戻して床屋を復活させたいと言いますが、おじいちゃん(松平健)の強硬な反対に遭い、結局糸島で農家をやることに決めたようです。

 小学校に上がった結ちゃん(磯村アメリ)はイジメに遭ったりもしていますが、ヒーロー陽太の登場でなんとか楽しい日々を送れるように。一方、震災で親友のマキちゃんを亡くしたアユは中学にも行かず、引きこもっています。マキちゃんからもらった安室奈美恵のCDを聞いたり、ギャル雑誌を読んだり。

 そんなアユも高校受験を迎え、無事、糸島の高校に合格。入学初日となりましたが、家族の前に現れたアユは金髪で、制服の着こなしもギャル風味。ギャルとして高校に通うと誓ったようです。

『おむすび』初回で、結ちゃんの高校入学の日が描かれていました。みんなヒヤヒヤしながら結ちゃんが階下に降りてくるのを待っていたのは、これだったんですね。

 結局アユは初日から高校に親を呼ばれ、そのまま退学。通信か何かに通うことにしたようですが、今度は天神で傷害事件を起こしてしまいます。ゲーセンの順番待ちでトラブルになり、相手を突き飛ばしてケガをさせたのだとか。

 そうしてアユの「ギャルデビュー」は「不良デビュー」として描かれ、激しく後悔するパパの様子を映し出して、次回へ。

■語らないねえ、実に語らない

 何度も、何度もこのドラマの説明不足について不満を述べてきたわけですが、アユのギャル化についても明確な動機は語られませんでした。

 引きこもり中にマキちゃんの遺品であるギャル曲のCDを聞き、ギャル雑誌を読んでいた。マキちゃんは元気いっぱいで性格の明るい女の子でしたが、ギャルではなかったし、ギャルへの強烈な憧れを語っていたわけでもありません。

 物語としては、アユはマキちゃんの遺志を継いでギャルになった、という流れなのですが、そこに説得力が全然ない。後に九州を牛耳ることになるカリスマ爆誕の瞬間を描くシーンのはずなのに、ここでも視聴者に行間を察することを強いる「察しろ病」が発動している。

 全部、あるんだろうなと思うんですよ。アユがギャルになった真意も、傷害事件を起こした理由も、ちょっと前に語られたおじいちゃんがパパの学資を使い込んだ理由も、なんかあるんでしょう。

 こうやって後回しにするのは、もう脚本家の手癖だと思っちゃうしかないんだけど、それにしても「小出し」が弱い、伏線が弱いんだよな。アユがどんな顔でブリーチ剤を買いに行ったかとか、金髪になった鏡の中の自分をどんな顔で眺めていたとか、覚悟くらいは見せてほしいんですよ。覚悟を見せて、その覚悟の裏に何があったかを後回しにするならいい。アユのギャル化の瞬間を主体ではなく「現象」としてしか描けなかったところに、やっぱり『おむすび』というドラマの弱さを感じた次第です。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

どらまっこあきちゃん

記事一覧

Twitter:@dorama_child

https://note.com/dorama_child

最終更新:2024/10/31 23:23
ページ上部へ戻る

配給映画