【24年秋ドラマ】『あのクズを殴ってやりたいんだ』第4話 “衝撃のラスト”は演出ミスかミスリードか
#あのクズを殴ってやりたいんだ
過去にキズを持つ妖艶な元プロボクサー・海里くんを玉森裕太が演じているドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)も第4話。今回は、そんな海里くんの過去がサクサクと語られました。
前回まではミステリアス妖艶ボーイの海里くんにちょっとドギマギでしたけど、こうやってはっきり語られちゃうと、なんだか普通のオトコに見えてしまいますね。普通のかわいいオトコ、普通のドラマ。そんな感じ。
振り返りましょう。
■しおりんの性悪女役いいね
さて、あのクズこと海里くんを殴ってやるためにボクシングを始めた主人公の市役所ガール・ほこ美(奈緒)でしたが、その思いとは裏腹にクズに沼りかけていたところ、トレーナーのゆいさん(岡崎紗絵)とクズが抱き合っているところに遭遇。思わずその話を盗み聞きしてしまいますが、どうやらラブな関係ではなく、ゆいさんは海里くんを心底、心配しているようです。
その場面が思い出されてボクシングの練習にも集中できないほこ美。しかし、会長からゆいさんが7年ぶりに試合のセコンドに入ることになったという話を聞き、ほこ美は朝のランニング中のゆいさんを急襲。笑顔で並走し、お手製のおにぎりを差し出すなどして距離を詰めることに成功。ゆいさんは、海里くんの過去についていろいろお話ししてくれました。
いわく、家出少年だった海里くんは有望選手だった平山大地(大東駿介)に拾われる形でジムに入門。2人は兄弟のように練習に励んでいましたが、平山大地は飛躍を求めて別のジムに移籍したんだそうです。しばらくして、その平山大地と海里くんの試合が組まれることに。それは2人も望んだ対戦だったようです。
試合は一進一退の攻防からラストラウンド、海里くんのカウンターが決まり、追い打ちの左アッパーで平山大地はダウン。結果は判定に持ち越されましたが、そのダメージが元で平山大地は亡くなってしまったとのことでした。それから7年、海里くんは平山大地の母親に“償い”としてバイト代のすべてを仕送りしながら、クズ生活を送っているのだそうです。
その話を聞いたほこ美は、ますます「殴ってやりたい」という気持ちの持っていきどころに悩んでしまいます。
ゆいさんは海里くんに「そろそろ自分の人生を生きてほしい」との思いから、自分がセコンドに入る試合のチケットを手渡します。海里くんはそのチケットを手に会場まではたどり着くものの、やはり試合を見ると吐き気を催してしまう様子。
それでも、無事にセコンドとして勝利を収めたゆいさんが一歩踏み出したことをねぎらって見せる海里くんでしたが、一方で試合に感動し、ボクシングに本格的に目覚めたほこ美には「俺はここで人を殺してる、こっちは入ってくんな!」などとナーバスに言い放つのでした。
あと、ほこ美と仲良しだと思っていた同僚の撫ちゃん(玉井詩織)が、わりとしっかりほこ美を嫌ってることも明らかになりました。しおりんの性悪な感じ、いいですね。
■花束を踏みつけたのは誰だ
ところで、海里くんは会場入りの前に平山大地のお墓にお花を供えているのですが、そのお花を何者かが踏みつけるシーンがありました。踏みつけた側の主観カメラでの映像だったので犯人は“隠し”になっていますが、今回のラストは、その踏みつけられたお花からのカットで、ジムの会長(渡部篤郎)が険しい顔でお花を見下ろしているシーンで終わります。
お花を踏みつけたのは会長だったのか!
という、どう見てもそういう演出なんですが、それだと話が全然つながらないんだよな。このドラマはルールに則ったボクシングの試合における事故で選手が亡くなるという事態を「亡くなっていない側が償うべき」という考え方で物語を作っています。それ自体はもう文句言ってもきりがないからいいんだけど、その考え方でいえば、会長は平山大地を「殺した側」になる。その会長が、「殺した張本人」である海里くんが備えた花を踏みつけるって、ちょっと辻褄が合わなすぎるんです。
どうにもおかしいなと思って、花踏みつけの主観シーンをもう一度見直してみたら、犯人は会長ではなく海里くんの同居人で、海里くんと一緒にクズ生活を送っている悟(倉悠貴)なのでした。それなら、まあ話は通じるけど、同系色のパンツと靴だし、これはミスリードなのか、単なる演出ミスなのか、すごく気になっちゃった。
いずれにしろ、海里くんが「殺した」ことを「事故」ではなく「殺した」としてドラマを動かしていくようなので、ちょっと距離を置きつつ眺めたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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