『おむすび』第20回 祝祭シーンの多幸感と「感情の揺れ」が無視される展開
#おむすび
NHK朝の連続テレビ小説『おむすび』も第20回。「うちとお姉ちゃん」というサブタイトルのついた第4週が終わりました。
第3週までは全然お話が進まなくてかなりしんどかったわけですが、この週はようやくおもしろくなってきたなぁという感じ。今回は、差し当たっての目標だった糸島のお祭りでのパラパラショーが描かれています。
振り返りましょう。
■お祭りは楽しい
お祭り当日、いよいよハギャレンの出番がやってきました。この広い会場でギャルの服装をしているのは結ちゃん(橋本環奈)を含めてハギャレンの5人だけ。当然、浮きまくってますし、ハギャレンが舞台に登場しても観衆のみなさんはドン引きです。
そんな空気はどこ吹く風なのが現総代のルーリー(みりちゃむ)です。元気よく「ミュージックスタート!」と声をかけると、結ちゃん以外の4人は満面の笑顔でパラパラを踊り始めます。
客は引いてるし、振りも間違えるし、いまいち乗れない結ちゃんでしたが、仲間たちに「笑って!」と促されているうちに調子が出てきます。中盤からはノリノリで踊りまくり、そのテンションに引っ張られるように客席も熱を帯びてきます。
2曲目が始まる頃には手拍子が鳴り響き、みんな笑顔に。結ちゃんが「絶対見に来て」とギャル文字でメールを送った姉のアユ(仲里依紗)も顔を出し、盛り上がってこそいないもののそのパラショーの一部始終を見届けるのでした。
ライブシーンで演者が白けた観客を盛り上げていく場面って、やっぱり楽しいんだよな。いろんな作品で何度も見たことがあるシーンですし、これやっとけばお話が盛り上がるという定番ではありますが、『おむすび』でもきっちり気持ちよくさせていただきました。
ハギャレンは結局、優勝こそ逃したものの会場の心をつかみました。そして、生中継のカメラに向かってメンバー募集をかけることにも成功。お祭りへの出演はこれ以上ない結果となったのでした。
しかし、舞台上でおじいちゃん(松平健)とパパ(北村有起哉)に、ハギャレンのメンバーであるムスビンが結ちゃんであることがバレてしまい、さぁ大変。さらに憧れの風見先輩(松本怜生)に清楚すぎる彼女がいることまで発覚し、またいつものようにシケた顔で海を見つめる結ちゃん。
そこにカッパ(佐野勇斗)が現れ、「いつも寂しそうな顔をしている」と話しかけると、結ちゃんは「たぶん、あの日から……1995年、1月17日……」と阪神・淡路大震災の日付をつぶやき、次週へ。
■パパの気持ちは……
そりゃいつも寂しそうな顔をしてるのは震災のこともあるんだろうけど、今あなたが寂しそうな顔をしていたのは風見先輩に彼女がいたことがわかったからだよねえ。
「風見先輩に彼女がいたの……ギャルとは正反対の清楚系……」
って言ったら話が進まないのはわかるけど、ちょっとした感情の改ざんが行われているんです。こういうズルはどうしても引っかかっちゃう部分ではある。
あと、ムスビンの正体が結ちゃんだとバレた場面、あの瞬間にもっとも大きな感情の揺れが生じているのはギャル大嫌いのパパのはずなんだけど、あっさり画面から退場させられてしまっている。
これも『おむすび』ではしばしば起こっていることで、その瞬間にいちばん話を聞いてみたい人がドラマから蔑ろにされることが少なくないんです。これもけっこう、ストレスになる要素ではある。
と、まだ全ノリできる感じではないですが、来週は震災編のようなので、いろいろ明らかになっていくのでしょう。今週の「最初からギャルじゃなかった」というアユの発言で、だいぶお話自体には興味が出てきました。がんばれ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事