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日刊サイゾー トップ > 海外  > トランプ氏「切り札」は末息子のバロン君

「切り札」はバロン君 身長2メートルにもなった末息子にトランプ氏が期待するもの

ドナルド・トランプ(写真/Getty Imagesより)

 米大統領選は最終盤に突入し、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領がデッドヒートを繰り広げている。米有力紙ニューヨーク・タイムズの集計によると全国世論調査の平均値(10月21日現在)では、支持率でハリス氏が1ポイントだけトランプ氏を上回り、8月初旬以降のリードをかろうじて維持している。

 選挙のたびに勝利政党が入れ替わる「スイングステート」と呼ばれる激戦7州(ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、ノースカロライナ、ジョージア、ネバダ、アリゾナ)は依然として大混戦で、勝敗の行方は全く予測できない。

 そんな中、トランプ陣営が最終盤の「切り札」と位置づけているのが前大統領の末息子のバロン君だ。トランプ前大統領の在任中、ホワイトハウスで無邪気な姿でファーストレディーのメラニアさんに手をつながれていたあの男の子だ。

 トランプ前大統領は3回結婚した。バロン君は現夫人のメラニアさんとの間の唯一の子で、現在18歳だ。前大統領に現代の若者(ジェネレーションZ)の生活動向を教えるなど、若年票の取り込みのためのアドバイスをしているという。

 バロン君は今年9月、ニューヨークのマンハッタンにあるニューヨーク大学に入学した。スターン・スクール・オブ・ビジネスに在籍し、MBA(経営学修士)をめざす。

 入学の日には白のポロシャツ、黒のズボン、アディダスのトレーナーというラフな姿で大学に現れ、ニューヨークのメディアが動向を報じた。

 バロン君は私人でプライバシーにかかわることは公表されていないが、フロリダ州の高校卒業時の身長は6フィート7インチ(約2メートル)あったと地元メディアが報じていた。ニューヨーク大学に入学した際には6フィート9インチ(約2メートル5センチ)だと報じられ、「夏休み中に2インチ(約5センチ)も大きくなったのか」と、インターネット上などで話題になった。米プロバスケットボールのスーパースター、レブロン・ジェームズ(2メートル6センチ)並みの長身はひときわ目を引く存在だ。

 ただ、バロン君は性格が内気で、人前で表情をあまり見せない。メラ二アさんの教育方針もあり、これまで表に出てくることもなかった。

 ところが今年7月9日、フロリダ州マイアミで開かれたトランプ前大統領の集会にバロン君は珍しく姿を現した。「バロンコール」が巻き起こり、父親ばりに拳を高く上げ、親指を立てて会場の歓声に応えた。

 壇上にいた前大統領は「こんなことをしたのは初めてだよね。兄貴たちよりも人気があるようだ。これについて、もっと話さないとならない」と目を細めながら話していた。

 トランプ前大統領とメラニアさん、バロン君はフロリダ州の住人だ。この日の集会は、地元での支援者サービスだと当初はみられていたが、そうではなかった。

 この集会から約1カ月後、トランプ政権時代に大統領補佐官を務めたミック・マルバニー氏が保守系メディアで、前大統領が若年層での支持拡大のためにバロン君からアドバイスを受けていることを明らかにしたのだ。

 それ以降、バロン君の拳の突き上げは、トランプ陣営のマスタープランの一部であったと多くの政治アナリストが分析している。

 米国の若者は左傾化が進み、トランプ前大統領は若年層での票獲得に苦戦している。ハーバード・ケネディ・スクールが9月末に明らかにした世論調査では、18~29歳の有権者の支持率ではハリス氏がトランプ氏を32%も離して、圧倒的にリードしている。

 若年層の票は、これまでの大統領選でも当落に大きく影響を与えている。前回の大統領選でバイデン大統領がぎりぎりで当選できたのも、最終盤で若年層の票を呼び込めたからだ。

 デッドヒートの中でトランプ前大統領が、不人気の若年層対策に力を入れるのは最終盤で最もやらなければならない課題である。

 ここにきてトランプ前大統領は、ソーシャルメディアのインフルエンサー、アディン・ロス氏と対談したり、人気ユーチューバーのローガン・ポール氏のポッドキャストに出演した。いずれも背後にバロン君のアドバイスがあるとされている。

 一方で大統領選の最中も目立つことを避けてきたメラニアさんが、10月に自叙伝を出版した。世間から遠ざけることで守ってきたバロン君のことについても多くを記載している。

 シャイであまり表情をみせないバロン君については、反トランプ派のタレントが、バロン君は「自閉症」ではないかとSNSに掲載したことがあった。これによってバロン君がいじめに遭ったという。

 メラニアさんの自叙伝については、メラニアさんが中絶の権利を擁護することを明らかにしているため、夫に反旗を翻したかのように日本では伝えられているが、実態は反対で、夫を勝たせるための戦略の中に、しっかりと組み込まれた出版だった。

 米国には王族がないため、ケネディ家やブッシュ家のような政治家一族がもてはやされる傾向にある。勝っても負けても「大統領選は今回限り」と表明している前大統領が、トランプ家を「華麗なる一族」にしたいと考えてもおかしくはない。

 年齢的には若すぎるが、バロン君の急速なメディアへの露出は、トランプ前大統領の後継問題に結びつく可能性もある。

言問通(フリージャーナリスト)

フリージャーナリスト。大手新聞社を経て独立。長年の米国駐在経験を活かして、米国や中南米を中心に国内外の政治、経済、社会ネタを幅広く執筆

ことといとおる

最終更新:2024/10/22 22:00
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