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日刊サイゾー/川上高司氏インタビュー

石破茂首相のブレーン・川上高司内閣官房参与が語る“日本一わかりやすい”米大統領選挙報道の見方

日米関係はどうなる?

石破茂首相のブレーン・川上高司内閣官房参与が語る日本一わかりやすい米大統領選挙報道の見方の画像6
石破茂総理大臣(写真/Getty Imagesより)

――国民が気になるのはトランプ氏が大統領になったときです。これこそ、あまり報道されませんが、日米関係はどうなるのでしょうか?

川上 ようやく日本が独立できます。というのも、トランプ氏は「アメリカ・ファースト」を掲げているため、日米関係もNATOも米韓関係も、どうでもよいのです。彼が政権を握っていた当時は、日本も安倍晋三元首相で馬が合ったため関係も良好でしたが、もう同氏もいないため、日本に対しても厳しい姿勢を取るでしょう。つまり、日本はこれまでのようにアメリカからの支援を受けられなくなるため、日本独自の外交政策を展開しなければならなくなります。

 そこで、防衛力の抜本的強化という議論になるわけですが、そのためにはアメリカだけではなく、中国、ロシア、北朝鮮とのパワーバランスを上手に取る必要があります。そうなったときに、日本にチャンスが来るはずです。日本が「真の独立国」となって、主導権を握ることができます。

 それから、今の日本の上空は85%が“アメリカの空”です。土地もかなりの面積を米軍基地が持っています。ハッキリいってこれは異常。そのため、米軍基地を減らしていって、「普通の国」にならなくてはならない。いよいよ自分たちの戦略で外国勢力から、この国を守る必要があるのですが、トランプ氏が大統領になることで、それが初めてできる環境が整うことになります。

――前出のハリス氏の「戦争を継続させる」とは反対に、日本から米軍が撤退する可能性もあり得ると……。そう考えると、民主党政権下だと常に戦争は起きているのですね。

川上 トランプ氏がいうように、民主党政権は戦争をするんです。バラク・オバマ氏だってリビアやイラクのISILと戦争を行いました。そして、今もパレスチナ・イスラエル戦争に介入していますよね。

 戦争をしている間は一部の産業、つまり兵器産業には金が回りますが、それ以外の産業に旨みはありません。しかし、トランプ氏は政治をビジネスとして見ているため、ディール(取引)をして戦争を止めようとしているのです。

――やはり、ビジネスマンだった頃の手腕に、今も自信があるのでしょうね。

川上 ただ、やっていることと言うことが派手なため、悪目立ちしているのは確かですよね。昔ながらのいわゆる「棍棒外交(自国の武力を背景にして他国に要求を飲ませる外交方針)」で、戦争を止めようとしています。

――大統領だったのに女性スキャンダルで有罪の評決が下るなど、嘘みたいなこともありますが、それでも政策は手堅く考え、感覚は研ぎ澄まされているのでしょう。

川上 そう、トランプ氏の感覚は非常に鋭い。2020年の大統領選挙で彼は「バイデンが大統領になったら、彼は戦争を始める!」と言い放ったのですが、「さすがだな」と思いました。というのも、実際にバイデン氏はロシアを引き込むために、ウクライナ侵攻を許してしまいました。パレスチナ・イスラエル戦争のベンヤミン・ネタニヤフ首相のケースは少し複雑ですが、結局アメリカはイスラエルを応援しています。そのため、あのときのトランプ氏の発言は正しかったのです。

――「トランプ氏が大統領になったら、戦争の危機が……」と懸念されていますが、実は彼自身が戦争を引き起こしたことはないのですね。その辺を日本のメディアは報道せずに、ハリス氏を持ち上げています。

川上 日本はアメリカ追随であり、バイデン政権の傘下にありました。そのため、民主党に批判的な発言をする者は、政界でもテレビのコメンテーターでも弾かれたのです。そのバイデン政権も終わりを迎えつつありますが、その後任にはハリス氏が控えています。そうなると、引き続き日本は、民主党政権の傘下に入るため「ハリス氏が勝つだろう」という主張が通るわけです。

 しかし、先の自民党総裁戦で石破茂氏が総裁、そして第102代内閣総理大臣になり、自民党も大きく変わりました。そして、仮にアメリカでトランプ氏が大統領として復活を遂げた暁には、先に述べたようにこれまでとはまったく違う日米関係が出来上がるでしょう。

石破茂首相のブレーン・川上高司内閣官房参与が語る日本一わかりやすい米大統領選挙報道の見方の画像7
川上高司氏

川上高司(かわかみ・たかし)
1955年、熊本県生まれ。元拓殖大学教授、中央大学講師、日本外交政策学会理事長。大阪大学国際公共政策博士。ジョージタウン大学留学(指導教官はレイ・クラインCIA副長官)、アメリカの研究所(フレッチャースクル研究所研究員、ランド研究所客員研究員)で勤務。帰国後、中曽根世界平和研究所研究員、中央政策研究所所長、海部総理の政策秘書、防衛省防衛研究所の主任研究員、その後、北陸大学教授から拓殖大学海外事情研究所所長を経て現職。その間、外務省の国際問題研究所客員研究員、神奈川県庁参与、参議院外交防衛委員会客員調査員、『News Bird』(TBS)の特別キャスターも務めた。2024年10月1日から、石破茂内閣の外交安全保障担当の内閣官房参与として官邸入り。

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最終更新:2024/10/22 12:00
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