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【24年秋ドラマ】『ライオンの隠れ家』第2話 詰め込みすぎて窮屈な脚本に「坂東もっと見せろ」な気分

柳楽優弥(GettyImages)

 平穏に暮らしている自閉スペクトラム症(以下、ASD)の青年・みっくん(坂東龍汰)とその兄・ヒロト(柳楽優弥)の家に、突如舞い込んできた不思議な男の子・ライオン(佐藤大空)。その3人の奇妙な暮らしを描くハートウォーミングホームコメディかと思ったら、がぜんサスペンスみを帯びてきたドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)の第2話。

 なんだか謎をバラバラにばらまいていて“考察系”と呼ばれる方々の話題になってやろうという下心が見える気もしますが、振り返りましょう。

■謎の白い男が謎すぎる

 とりあえずライオンを家に置くことにしたヒロトですが、やっぱり実の親のことを知らないままではいられません。前回、ライオンの持っていたスマホを通して「じゃあ、あとはよろしく」というメッセージを送ってきたアカウントに連絡を取ると「ソフトクリームの広場で鐘のなる頃に」という返信が届きます。ライオンの仕草から、どうやらこの子が自分の姉・愛生(尾野真千子)と暮らしていたことは間違いなさそうですし、このメッセージもおそらく姉からのものでしょう。

 ASDなので生活のルーティンが崩れるとパニックを起こしてしまうみっくんとライオンを連れて、土曜日の日課である図書館を訪れたヒロト。そこで見つけた絵本から遠い記憶がよみがえり、メッセージにあった「ソフトクリームの広場」の場所に思い当たります。

 ライオンをみっくんに託し、ひとりでソフトクリームの広場に向かうヒロト。その場に姉は現れませんが、何やら謎の白い男(岡山天音)の気配が。白い男は、ヒロトが偶然出会った同僚の牧村さん(齋藤飛鳥)と一緒にいたことで接触を中止し、「最後の堤防」へと誘導します。

「最後の堤防」については、ヒロトには心当たりがありました。姉と最後に会った堤防、自転車で去っていく姉を見送ったあの場所に間違いないでしょう。ヒロトは牧村さんに車で堤防まで送ってもらいますが、そこにも姉も白い男も現れませんでした。

 ちょうどそのころ、みっくんはライオンとはぐれてバスの中でパニックに。警察のお世話になっているらしく、ヒロトは牧村さんに署まで送ってもらいました。そこでバイバイして家に帰った牧村さんに、白い男が接触してきて……今回は白い男の話はここまでで保留。

 一方、警察でみっくんと合流したヒロトは改めてライオン探しに。すると、例のスマホにブランコの写真が送られてきます。そのブランコの色を正確に記憶していたみっくんが場所を割り出し、無事にライオンと再会した兄弟。

「ライオンはプライド(群れのこと)に戻りました」と、みっくん。面倒は見切れなかったけれど、群れの一員として認めていたのですね。

 家に帰ると、テレビからは山奥で見つかった女性の衣服から「橘愛生」という女性の血痕が見つかったというニュースが流れています。「橘愛生」という女性は、息子の「橘愁人」と一緒に行方不明になっているのだとか。

 試しにライオンを「愁人」と呼んでみると、ライオンは元気よく返事をするのでした。

 という、謎だらけのお話。あと、何者かがライオンの大切なぬいぐるみにGPSと盗聴器を仕込んで追跡しているという情報もありましたね。

■欲張るなぁ、もう

 前回、このドラマについて「広げた風呂敷がでかい」と書きましたが、第2話でもちょっと欲張りすぎだし焦りすぎ、詰め込みすぎという印象が強いです。

 今回、ヒロトがみっくんにライオンを託して単独行動に出るわけですが、どう考えても「みっくんにライオンの面倒が見られるわけないだろ」と思ってしまうんですよね。パニックを起こして2人がはぐれることが目に見えてる。もう少しみっくんとライオンの間での信頼関係を作ってからじゃないと、このヒロトの行動がすごく無責任で無謀なものに見えてしまう。

 あと、演出面でも、ソフトクリームの広場でヒロトの背後に迫る女性の足元を映して延々と引っ張るサスペンス演出が入ったりしていましたが、これもCMまたいだりしてしつこかったし、山梨で事件を嗅ぎまわる記者(桜井ユキ)と情報屋のスナックママ(入山法子)のくだりもうるさかった。

 総じて、2話目にしては登場人物が多すぎるんです。多すぎるし、その誰もが何を考えているかわからないので、考えるのが面倒になってくる。“考察系”の人に媚びてると感じるのはこういうところです。

 逆説的に、もっと3人のお芝居を眺めていたいということなんだと思うんですよね。ヒロトとみっくんとライオン、この3人がめちゃくちゃいいお芝居をしているし、あと定食屋のでんでんと齋藤飛鳥くらいでしばらくお話を回しておいて、回を追うごとに謎が追加されていく形だと見やすかったと思うんですけど、一気にみんな出てきてそれぞれが謎を突き付けてくるので、すごく窮屈なストーリーになってると感じます。

 たぶん、特に坂東龍汰のASD芝居が、作り手側の想定を超えてしまっているのだと思う。サスペンスはいいから坂東もっと見せろ、となってる。それだけ、坂東くんがすごい仕事をしているということなんですけれども。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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最終更新:2024/10/19 15:00
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