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『室井慎次 敗れざる者』、孤軍奮闘の柳葉敏郎とあの俳優の“怪演キャラ”

『室井慎次 敗れざる者』、孤軍奮闘の柳葉敏郎とあの俳優の怪演キャラの画像1
柳葉敏郎(写真/Getty Imagesより)

 1990年代末から00年代にかけて人気を集めた『踊る大捜査線』シリーズの12年ぶりの再始動作品として、俳優・柳葉敏郎演じる室井慎次を主人公にした『室井慎次 敗れざる者』が10月11日から10月13日までの「国内映画ランキング』(興行通信社調べ)で初登場1位を獲得した。

 劇場版2部作の前編となる同映画、警察官を辞めて故郷の秋田へ帰り、犯罪被害者、加害者の子供たちの里親として平穏な日々を送っていた室井だが、猟奇殺人犯・日向真奈美(小泉今日子)の娘の日向杏(福本莉子)が室井の前に現れたことをキッカケに、彼のまわりに再び事件の影が迫りくるといったストーリー。

 公開初日から3日間の成績は観客動員が25万1000人、興行収入は3億6100万円。祝日となった14日までの公開4日間での累計成績では、動員34万5000人、興収4億8900万円を記録した。

 12年ぶりのシリーズ新作となった今作だが、主人公・青島俊作役の織田裕二、ヒロイン・恩田すみれ役の深津絵里は出演していない。

「それもあってか、柳葉は一部メディアのインタビューで今作について、『ファンの方には申し訳ない部分もありますが、僕は今作を“踊る大捜査線”シリーズとは思ってないんです』と話しているが、当たらなかった時のための“予防線”を張っているようにも思えます。室井が主人公の05年公開のスピンオフ映画『容疑者 室井慎次』はまだシリーズがブームの渦中だったので38億8000万円の興収を記録しました。しかし、今作は現状を見るにそこまでのヒットは望めなさそうです」(映画業界関係者)

 もっとも、公開3日間の興収や観客動員としては申し分ないとの見方もあり、今後の動向が気になるところだが、織田や深津といったかつてのシリーズの主要キャストが不在の中、存在感を放っているのが真奈美役の小泉だ。

 芸能ジャーナリストの竹下光氏は語る。

「小泉さん演じる真奈美はシリーズ史上最悪の猟奇殺人犯として劇場版で存在感を放ちました。初登場は98年公開の劇場版第1作『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!』。webサイト『仮想殺人事件ファイル』の運営者で、遺体の腹を切り裂き、胃にくまのぬいぐるみを詰め込む猟奇事件の犯人として登場し、自ら湾岸署に乗り込み、逮捕後に湾岸署の地下に拘束されている時に青島刑事から副総監誘拐事件の犯人像をプロファイリングにより言い当てるなど知能の高さを見せつけます。その後の劇場版シリーズにも登場し、とくに『THE MOVIE 3』では最大の黒幕とも言える存在に。劇中で不気味な存在感を放つ真奈美のサイコな演技は観る者に強烈なインパクトを残し、小泉さんの俳優としての評価をさらに高めたと言ってもいいでしょう」

 シリーズのプロデューサーを務める亀山千広氏は、かつて小泉起用の理由について「可愛くてちっちゃい女の子なのに実は怖い、というのが狙い。そんなタイプをできるのは小泉さんだけと思った」と説明。

 サイコスリラー映画『羊たちの沈黙』(1991年公開)で名優のアンソニー・ホプキンスが演じた猟奇的殺人犯の女性版と位置付けていることを明かしていたが、映画ライターもこう話す。

「80年代からアイドルして活躍し、映像作品で次々と主演、ヒロイン役をこなして芸能界の王道を歩んでいた小泉でしたが、『踊る』の真奈美役の“怪演キャラ”ですっかり新境地を開拓。劇場版ではなくてはならない存在になりましたね」

 先日公開された11月公開の後編『室井慎次 生き続ける者』の最新予告&ポスタービジュアルでは不気味な笑顔を浮かべ、怪しい動きを見せていた娘の杏とガラス越しに対面する真奈美の姿も見て取れるが、母娘が一体何をたくらんでいるのか何とも気になるところである。

 劇中の室井にとっては何とも厄介な存在の真奈美だが、織田や深津がいない今作で孤軍奮闘する主演の柳葉にとっては、小泉は何とも心強い共演者と言えるだろう。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2024/10/21 09:00
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