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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『全領域異常解決室』JKが制服で祠ブレイク

【24年秋ドラマ】『全領域異常解決室』第2話 「JKが制服で祠ブレイク」その画面の強さと動機の弱さ

藤原竜也(GettyImages)

 オカルトに科学のメスを入れましょう的なコンセプトで始まったドラマ『全領域異常解決室』(フジテレビ系)も第2話です。

 前回は「神隠しとシャドーマン」をテーマにメスを入れましたが、そのメスたるトリックの根幹が「モザイクスプレー」という架空のひみつ道具だったことから大いに興を削ぎましたが、今回は「祠破壊とキツネツキ」です。

 ちょっと前からSNS上でにわかに「祠ブレイク」なる界隈がバズっていたりして、なんともタイムリーなテーマです。逆に、ドラマ側が事前に仕掛けたバズだったら大したものだなと思います。

 では、振り返りましょう。

■祠、壊してしまったのですね

 舞台は名門お嬢様女子高。少し前から、この学校では集団失神事件が続発しているのだそうです。現場は校舎全域にわたり、生徒の7割が失神を経験している。後の検査では生徒たちの身体に異常は見られないという不思議現象で、この高校の理事長が総理大臣と懇意だったことから、内閣直属の全領域異常解決室(以下、全決)にお仕事が回ってきました。

 ちなみに今回も、世の中を騒がす「ヒルコ」から犯行声明が出ています。

 全決の興玉(藤原竜也)と小夢(広瀬アリス)が捜査に訪れると、いろいろとオカルティックな事実が明らかになります。2カ月前に、生徒会長だった生徒が原因不明の飛び降り自殺をしている。1カ月前には、絶大な人気を誇っていた歴史のイケメン先生がパソコンとスマホ以外のすべての私物を残して消息を絶った。学校の一角にあった祠が破壊されている。その祠の下には昔、井戸があって、祠は井戸を埋めて作られたものだった。

 そこらへんの情報から、興玉はこの連続集団失神事件を「キツネツキ」の仕業だと断定。生徒の前でその説を発表します。

 すると、その話を聞いていた生物のキモ杉こと山杉先生(林泰文)がグギギとか言い出して失神。興玉の「キツネツキ」説を裏付けるように祟られてしまいました。

 祠を壊してはいけないし、井戸も簡単に埋めてはいけない。そういうことをすると、祟りに遭う。

 ここまでが、今回のオカルト要素でした。前回、今回を見るにつけ、『全領域異常解決室』というドラマではこのオカルトの種明かしをドラマの主軸に置いていくようです。

■犯罪がちゃんと情念に導かれている

 ミステリーの楽しさには2段階あって、まず謎解きの辻褄が合う納得感と、それに伴う爽快感がほしいところです。「そういうことだったのか!」という驚きと感心を得るために、私たちはミステリーを見ている。その上に、事件の魅力というものが乗っかってくると、満足感が上積みされることになります。

 犯人や関係者の情念、人間のどうしようもなさ、優しさや思いやり、そういう情念に導かれた犯罪だったかどうかでミステリー作品の評価は大きく左右されることになります。

 この『全領域異常解決室』では、この「事件への情念の乗りっぷり」については非常に強く意識されているように感じます。今回はキモ杉とイケメン先生を対比させた上で「こういう人が、裏では実はこう」を2つ用意して、マジメで健気な女子高生を軸に反転させているわけですが、キモ杉の真意が明かされた場面にはなかなかのカタルシスがありました。

 一方の謎解きの辻褄に関してですが、今回は「集団失神がなぜ起こったか」を、井戸を埋めたときに入れておいた竹筒の「息抜き」を、祠を壊したときに抜いてしまい、それによってメタンガスが発生したということにしていました。

 全然詳しくないので当てずっぽうで印象だけ言いますけど、逆じゃね? と思うんだよな。息抜きを抜いたから地下でガスが充満して爆発したとかならわかるんだけど、埋めたからガスが出て人がたくさん失神するって、そんなことあるのかしら。まあこれはホントに知識がないので的外れだったらすみませんけど、前回の「モザイクスプレー」の件があるので、ちょっとまだこのドラマの科学的解決を信用できないところではあります。

■動機と信心の関係

 あと、あの女子高生が祠を破壊したのはマジで意味不明でした。別に大してそういうのを信じてた人じゃないのに、「守ってくれるって言ったじゃん!」とか叫びながら祠を蹴り壊している姿は、かなり怖かったね。目の前で人が死んだから錯乱して、動転して、ということにしたいのだろうけれども、「祠を壊してしまった」が大きなモチーフなわけですから、その行為そのものの動機はもっと確固たるものであってほしかったと思います。事件において「祠が壊されない可能性」を残してほしくなかった。

 これがこのドラマの難しいところで、達観している興玉は別にして、それ以外の登場人物が「どれくらいオカルトを信じているか」が、かなり行動原理に影響してくることなんですよね。今回でいえばキモ杉はゴリゴリに信じているのはわかるんだけど、祠蹴り壊し女子高生はそうじゃなかったはずなんです。キモ杉に話を聞いただけで、「へえー、そうなんだ」くらいの感じだった。その彼女が急に祠を壊したからビックリしちゃうわけです。あれだけヒステリックに祠に当たるということは、逆説的に祠のパワーをめちゃくちゃ信頼していたということになっちゃうので。

 ただし、制服で祠ブレイクするお嬢様女子高生という風景はめちゃくちゃ強かったので、このへんの理由付けもオッケーになっちゃってる部分はあるんですよねえ。

 と、そんな感じですが、全然悪くないです『全領域異常解決室』。今回はヒルコに関係ありそうなミステリアス巫女も出てきたし、次回以降も楽しみですよ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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最終更新:2024/10/17 10:00
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