【24年秋ドラマ】『ベビわる』TV史に残るガンフーアクション! ルサンチマンを爆発させた社畜と新章の始まり
#ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!
すごいことになりました! TVドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(毎週水曜 深夜1時~、テレビ東京系)の先週(10月9日)放映された第6話。殺し屋コンビの杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)が参加した殺人合宿は、衝撃の結末でした。もし見逃した人がいたら、TVer かU-NEXTで急いでチェックしてください。
伝説の殺し屋・宮原(本田博太郎)の10年ぶりとなる復帰仕事「風林火山」ですが、宮原はターゲットに手を下すことができませんでした。自分の手を汚せなくなった宮原は、代わりにAI搭載の爆撃ドローンを使って、ターゲットの家ごと吹っ飛ばしてしまいます。殺し屋としての美学を、かけらも感じさせないやり方でした。
殺し屋協会でマネージメントをしている夏目(草川拓弥)は、新人時代に宮原の薫陶を受け、6年間にわたって「風林火山」の準備を進めてきました。「これからはAIを相棒にする」という宮原の言葉を聞き、夏目はショックを受けます。宮原に今までさんざん尽くしてきたのに、彼は一度もパートナー扱いを受けたことがありません。
「フード理論」では、食事を不味そうに食べる人もアウト
精神錯乱した夏目は、殺し屋協会から来た先輩職員らを皮切りに、合宿に参加していた銃器プランナーの武井(天木じゅん)らまで全員射殺します。そして、夏目の怒りを甘く見ていた宮原も、あっけなく処刑されます。社畜のルサンチマンが核爆発したのです。合宿所の2階で帰り支度をしていたちさと&まひろだけは、難を逃れることができました。
ダメ上司に仕えてしまった部下の悲しい反乱です。阪元裕吾監督によると、イ・ビョンホンがホテルの有能マネージャー兼殺し屋を演じた『甘い人生』(2005年)をイメージしたそうです。いくら仕事の能力が高くても、上司選びを誤ると悲惨な目に遭うことがありありと描かれています。『ベビわる』が社会派ドラマだなと感じる一面です。
先週のコラムで「フード理論」に従えば、食べ物を粗末に扱った悪党は残念な末路が待っている……と触れましたが、その通りの結果になりました。恐るべし「フード理論」。ちなみに夏目にとって最後の食事となったのは、ストロング系の缶チューハイとカルボナーラでした。夏目はせっかくのカルボナーラを不味そうに缶チューハイで押し流していました。「フード理論」的には、これもアウトでしょう。
知り合いが死んだような目で食事をしていたら、気をつけたほうがいいかもしれません。
ハイレベルなアクションが可能になった秘密
殺し屋協会に所属するメンバー同士での殺し合いは禁じられています。その禁を破った夏目を、現場にいたちさと&まひろが粛清することになりました。ここからはTVドラマ史に残る、超絶バトルシーンです。ガンアクションに格闘技/カンフーを交えた「ガンフー」の世界です。キアヌ・リーブス主演のハリウッド映画『ジョン・ウィック』(2014年)ばりのガンフーが深夜ドラマで繰り広げられます。これはもう事件ですよ。
予算も撮影日数も限られているTVドラマで、ここまでハイレベルなアクションを可能にしたのは、劇場版『ベビわる』三部作に続く園村健介アクション監督らアクション部の貢献が大です。現在劇場公開中の『ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ』を観ると、ハイレベルなアクションが可能になった具体的な秘密が明かされています。
池松壮亮が最凶の殺し屋としてちさまひと激突するシリーズ第3弾『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ!』(公開中)のロケ現場に密着した『ドキュベビ』ですが、スタントパフォーマーでもある伊澤彩織はもちろん、アクションの習得にも貪欲な髙石あかりも、身体能力がとても高いことがわかります。
それに加え、撮影現場ではスマホがフル活用されています。リハーサル時からキャストの動きをスマホの動画機能で撮影し、すぐその場で本人も交えて動画をチェックします。映像的に修正すべき点を、本人たちはしっかりと理解し、本番の撮影に挑んでいたわけです。
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