『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』サブタイトル決定の裏にあった物語
#沖田臥竜 #インフォーマ #INFORMA
10月15日『インフォーマ』シリーズの新キャストとして、SUMIRE、兵頭功海、豊田裕大、山田孝之、渡辺いっけい、安井順平が『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』(ABEMAにて11月7日より放送開始)に出演することが発表された。SUMIRE は池内博之演じる鬼塚拓真の部下・二階堂を演じ、鬼塚の指示に従って敵をなぎ倒していく。兵頭功海もまた二階堂同様に、鬼塚の部下・優吉を演じる。山田孝之はバンコクでマッサージ店を営んでいるトビオを演じ、渡辺いっけいは都内の高級住宅街の一軒家で妻・和美と二人暮らしをしており、今回は木原と三島が壮大な情報戦に巻き込まれていくきっかけとなる〈闇バイト殺人事件〉の被害者の中本を演じる。安井順平は“インフォーマ”との面会を条件に、三島に与党幹事長の不正献金のやりとりを記録した音声データの提供を約束するヨシダを演じる。そして豊田裕大演じる小峰朝陽は“21 歳のフリーター”“警察官僚の息子”という情報だけが明かされており、木原と三島にどのように関わっていくのだろうか——。 無限に広がる「インフォーマ」ワールドの生みの親、沖田臥竜氏による特別エッセイは、意味深なサブタイトルと愛すべき(?)スタッフにまつわる物語である。
「闇を生きる獣たち」という副題は150案の中から決められた
どうだろうか。ここのところ毎週ある『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』の情報出しに、ワクワクしてもらっているだろうか。案ずるなかれである。こんなものではない。2年前の『インフォーマ』が生み出した熱狂を再び甦らせ、超えにきたのだ。期待してもらって結構である。11月7日から作品はスタートするが、最終回まで目を離さず見ていてほしい。最後には「こう来たか」と、きっと唸ってもらえるだろうから。
さてジョニー……失敬。彼の話をすると長くなるので今回はよそう。でも、私がありきたりの番宣コラムをここで書いてもつまらないだろう。なので私にしか書けない角度からひたすらに突き進みたいと思う。
私自身がいちばん最初に映像メディアに露出したのは、8年前だろうか。ABEMA PrimeというABEMAの情報番組であった。そこからの広がりは大きく、ABEMA Primeの出演を見たフクから、映画の監修依頼のTwitterのDMが届いたのが映像業界の仕事のスタートだった。その映画が『ヤクザと家族 The Family』で、同作の監督が藤井道人監督、プロデューサーがジョニー、助監督のチーフがゲンさん(『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』逢坂元監督)、フクは助監督のサードを務めていた。
続くハリウッドドラマの監修もABEMAを観た助監督からの連絡があった。その繋がりで今、撮影中のNetflixオリジナルドラマの監修にも入っている。
書いていて思ったが、私はABEMAに足を向けて寝られないではないか。何だったら、このまま正社員として雇用してもらえないだろうか……すまない。忙しくて疲れているのだ。気にしないでくれ。
常々、映像業界の人々が口にしていることがある。それは「韓国を超えよう」という言葉だ。業界の最果てに生息している私も、それを意識していた。それほど韓国が生み出す作品は力強いのだ。だけど『インフォーマ』の続編を撮り終え、編集作業を見直しているときには、もう全く意識していない自分自身がいたのである。
超えなければならないのは、はっきりしていたのだ。他ではない。過去の自分だと理解していたのである。
そして、続編でしっかり超えていけたことを認識できた。同時に、今後もさらに続編をつくることになれば、すまない。まだ誰にも言っていないが、誰もが腰を抜かすストーリーを漠然と考えている。それは、世の中の流れやさまざまな分析結果を踏まえて考え抜いたものだ。まだ宝刀は抜くかどうかはわからない。だが、やるとなれば再び大きな山を動かすつもりた。
前置きが長くなってしまった。『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』である。ネタの宝庫の私である。ネタが尽きるなんてことがあるはずがない。その中から、今回はサブタイトル「闇を生きる獣た」について述べていきたい。
サブタイトル案は、藤井道人監督と考えた。藤井監督のオーダーがあり、私がそこから具体化させていったのだが、言ってもいいだろうか私の苦労を。承諾されるまでに150案は出さされた。日本でもバンコクでも寝ても覚めてもサブタイトルを考えていた。もうね、そのレベルになると夢にまで出てくんだよ! 藤井監督が鬼に見えたもん!……失敬。またまた冷静さを失ってしまった。
「ふ~ん。そうなんですね~」
バカなのだろうか。150案出した事を伝えたときのジョニーの感想は興味なさげにたった一言、「ふ~ん。そうなんですね~」だけであったのだ。ワナワナと震える拳を抑えるのに、どれだけの忍耐が必要とされたことか。
ただ、藤井監督、ジョニー、ゲンさん、フクとは、『ヤクザと家族 The Family』で出会い、その後もずっと一緒にやってきた間柄であった。
まだまだ予算だって少なくて、私自身、初めてのことばかりでそれはそれは過酷な現場だった。
だが、みんなで共に乗り越えるという経験を経て、それが絆となり、その後の私の人生を大きく変えていくことになった。
この出会いがなければ、『ムショぼけ』も『インフォーマ』も誕生していない。それは功績としては偉大だったと思っている。すまないが、すぐ自分を褒めてしまうのは許してやってほしい。だって『ムショぼけ』を観て、『インフォーマ』を観て、どれだけの人たちが影響を受けたのか。楽しみにしてくれたのか。それを功績と言わずして何を讃えろというのだ、バカモン!である。
私は器用な人間ではないかもしれない。自分の欲を捨て、さまざまなものを犠牲にしなければ作品を生み出せない。ただしである。それを人前で見せるのが大嫌いなのだ。人前では涼しい顔して、冗談を言っていたい。そして人知れずに努力していたいのである。
人知れずと言いながら、ここで言ってしまっているのは、ほんのご愛嬌だ。
先日、フクから「相談がありますー」と言ってきたときにはピンときていた。寂しい相談であった。だけど私はフクに言った。
「若い間にしかできへん経験て言うのが確かにあって、世間は広い。その広い世の中を見てくるのは、将来必ず役に立つ。がんばれ」
3年前に同じような相談があったときは引き留めたが、今度は新たなる門出にエールを送ったのだ。
撮影が終わり、日頃の忙しさにかまけてフクと話せていない。フクを『ムショぼけ』のスピンオフの監督に推薦し、実現させたのは私である。フクと一緒にバンコクで食中毒に遭い、のたうち回ったのも私だ。
どんな仕事をしていても、フクならばがんばることを私たちは知っている。
スクリーンやテレビに映るものだけがすべてではない。その裏側にもいろいろな物語があって、人間模様がある。だからこそ『インフォーマ』という作品は魅力的な作品になっていくのだろう。
最後まで自画自賛ですまないが、事実なので許してやってほしい。
追記として、フクは現在、沖縄でパチンコ断ちをしていることをそっと添えておこう。
(文=沖田臥竜/作家・小説家・クリエイター)
ドラマ『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』
11月7日(木)23時より「ABEMA」にて放送スタート
週刊タイムズの記者・三島(佐野玲於)は、世間を騒がせている〈闇バイト殺人事件〉の黒幕を調べるために、編集長の命でタイ・バンコクへ飛ぶことに。そこで三島を待ち受けていた人物は……2年前の〈火だるま殺人事件〉で三島に地獄を味わわせた、“インフォーマ”の木原(桐谷健太)だった。木原に翻弄されながらも取材を進める三島。そして2人の前に、インフォーマを名乗る謎の男・鬼塚(池内博之)が立ちはだかる。木原と三島は、〈闇バイト殺人事件〉で盗み出された”謎のブツ”をめぐり、鬼塚・そして現地マフィアと壮大な情報戦に巻き込まれていく——。
原作小説『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』
沖田臥竜・作/サイゾー文芸・刊/1400円+税
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