『おむすび』第11回 ギャルに対する最低の裏切り「本気」というセリフの耐えられない軽さ
#おむすび
NHK朝の連続テレビ小説『おむすび』は第11回。先週は「ギャルって何なん?」というサブタイトルでしたが、結局のところ「ギャルって何なん」だかは全然わからず。むしろ目下のリーダーだったはずのルーリー(みりちゃむ)が不規則行動を起こしたことで、このドラマにおけるギャル観にも大きなブレが生じたように見えました。
そして3週目となる今週は「夢って何なん?」だそうです。そのスタートとなる今日はけっこうキツかった。
振り返りましょう。
■思い上がりもほどほどにしましょう
ルーリーが深夜徘徊で警察に補導され、その家庭環境があんまりよろしくないことに同情したのかなんなのか、ハギャレンのみんなに「パラパラ教えて」と申し出た結ちゃん(橋本環奈)。ダンサーを目指しているタマッチ(谷藤海咲)に「本気なの?」と詰められてうなずいていましたが、ろくに練習もしていません。
そして練習不足をタマッチに指摘されると、特に申し開きをするわけでもなく門限を理由に緊急帰宅。さらに翌日、学校でクラスメートギャルのリサポン(田村芽実)から「昼休みに体育館裏で練習しよう」と誘われると、こともあろうか「学校で話しかけるな」と言い放ちます。
ここ、すんごく嫌なシーンでした。リサポンのこともバカにしてるし、「本気なの?」ってちゃんと念を押してたタマッチのこともバカにしてるし、ハギャレンのこともギャルのことも、パラパラのこともバカにしてるんです。
自分がパラパラに参加することがルーリーに対する「人助け」だと思ってるんでしょうか。本気でもないのに「本気か?」と聞かれて、「本気だ」と答えたのに練習しない。それどころか、当のメンバーに「学校で話しかけるな」です。
自分はギャルを軽蔑しているし、ギャルと同類だと思われたくない。でもまあ、ルーリーってああ見えて弱い子だから、一丁助けてやるか。適当に話し合わせて、踊りも適当に合わせておけば満足するんだろ? 結ちゃんは、そう言ってる。とんでもない思い上がりですよ。
そして天神で結ちゃんがパラパラの練習をしているところを見かけた幼なじみの陽太(菅生新樹)、こいつがまた意味不明で、自分は休日にはチャラい服着て首からグラサン下げて天神で遊んでるくせに、ハギャレンの中に結ちゃんとリサポンを見つけると「なんやあのかっこう」とか言ってる。休日のおまえは、どう見ても“そっち憧れ”じゃん。なんで上から目線なのよ。
もうね、ドラマ自体がギャルを異物として扱ってしまっているんです。単に「違う生き方を選んだ人たち」ではなく「哀れな蔑みの対象」として配置している。そして結ちゃんを、その哀れな者どもに救いの手を差し伸べるメシアとして扱ってる。嫌々でも翌週もカラオケに“付き合ってやってる優しい子”だと言っている。きんもー。
そして極めつけが、門限に間に合わなかった結ちゃんに同行した陽太の「全部俺のせいなんです」「実は俺たち、付き合っとるんです!」という土下座です。その、自分の“そっち憧れ”を棚に上げ、選民思想に塗れた迷惑行為を「不器用だが純粋な恋心」として描いている。汚らしい。
■言い過ぎです
いや、あのね。ちょっと悪辣に言い過ぎてはいるんですけど、「本気」って言葉を軽々しく使ってほしくないんですよ。「本気だ」と言った友達が実は本気じゃなかったとき、周囲はものすごく傷つくんですよ。裏切りである上に、相手を全否定することになるんですよ。
おそらく作っている人たちも、そんなふうに映っているとは思ってないのでしょう。いろいろな事情があって、結果、なんだかアンバランスなものになってしまっているということだと思う。でも、たぶん本気で作ってるんだと思うから、「こう見えちゃってるよ」「なんかひどいことになってるよ」と、本気で書いておかなきゃいけないと思うんです。本気じゃないことを「本気だ」とは言いたくないし、本気じゃないならこんなレビュー書く意味もないもんね。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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