『おむすび』第9回 何もしない主人公に男子たちが寄せる「薄い好意」がちょっとグロい
#おむすび
NHK朝のテレビ小説『おむすび』も第9回。番組公式Xによると、おばあちゃんが混ぜているぬか床は2013年の『ごちそうさん』のときからずっと朝ドラで使われているんだそうですよ。宮崎美子さんも感激だって!
振り返りましょう。
■男たちの薄い好意
書道部のみんなで作った横断幕をスタンドに設置して、野球部の試合を眺める結ちゃん(橋本環奈)たち。となりには憧れのイケメン風見先輩(松本怜生)もいますし、昨日は幼なじみの陽太(菅生新樹)が新鮮なヤリイカを持参して「ホームラン打つから見とけ」とか言ってたし、相手ブルペンにはいつか見た鬼怒川のカッパ(佐野勇斗)もいるし、球場にはほのかな恋愛模様が漂っています。
同点で迎えた9回裏、ノーアウト満塁のチャンスをつかんだ結ちゃんたちの高校でしたが、ここで相手ベンチが動きます。ピッチャー交代、1年のカッパ。カッパは中学時代に何度もノーヒットノーランをやってると、実は野球オタクの風見先輩が教えてくれました。
目の覚めるような速球(145km/h!)を投げ込むカッパがあっという間にツーアウトを取ると、結ちゃん高校は代打に陽太を送ります。簡単にツーストライクに追い込まれますが、結ちゃんの「がんばれ!」の声が届いた陽太は3球目をフルスイング。高く舞い上がった打球は、あえなくピッチャーカッパのグラブに収まるのでした。
翌朝、新聞にはカッパが掲載されていました。「福西のヨン様」と紹介されて、早くも地元の花形スターです。そのヨン様、ランニング中に結ちゃんを見かけると、わざわざ寮に戻って、とちおとめを3箱も持ってきます。栃木から越境入学してきただけに、イチゴには事欠きません。
家では、あいかわらずパパが不機嫌ですし、結ちゃんは特に何もしませんし、何も言いませんでした。ただ、陽太とかカッパとか、男たちが薄い好意を寄せているさまが描かれています。
一方、ハギャレンのルーリー(みりちゃむ)の家庭事情が明らかになります。両親の仲は冷え切っていて、ママは仕事に忙しくて会話もままならない。ひとり寂しく夕食を食べながらみんなで撮ったプリを眺めたりしていましたが、やっぱりつまんないのでオシャレして夜の天神に繰り出しました。そこに、怪しい男たちが声をかけてきて……次回へ。
■何か提示してくれ
「結ちゃんは特に何もしませんし、何も言いませんでした。」と書いてて、むなしくなるんですよねえ。おもしろいとかおもしろくない以前に、『おむすび』というドラマが見ている人に何をおもしろがってほしいかが、まったく提示されない。ただただ、毎回少しずつ登場人物の説明をされているだけ。
何より、主人公の結ちゃんという人が、何が楽しくて生きてんのかがわかんないのがつらいんです。ギャルに誘われるのが嫌だ。ギャルだった姉と比較されるのが嫌だ。嫌なことはわかるけど、じゃあ何が好きなのよ、というのが全然わからない。書道部で書道の楽しみを見出したりもしていますが、それまでマジで、何が楽しくて生きてきたんでしょう、この人。
結ちゃんの人間性がわからないもんだから、薄い好意を寄せてくる陽太やカッパがなぜ結ちゃんをかまってるのかもわからない。そりゃ顔面はどちゃくそにかわいい女の子だけど、屈強な野球部たちがヤリイカやらイチゴやら貢物を持参してくる様子は、ちょっとグロいなとすら感じてしまいます。
誰かがギャルになる話なんだから、誰がギャルになるのか、その「誰」を教えてほしいし、もしできるなら、その「誰」を好きになりたいわけですよ。ずっと不機嫌で、たまにイケメンと物理的距離が詰まったらポヤーンとしてるだけの女の子なんて、これだけ顔面がかわいくても全然好きになれないんです。
もう9話、135分も使ってますからね。普通の民放1時間モノだったら3話分です。そろそろ何かアクションを提示してくれないと、どんどん結ちゃんのこと嫌いになっちゃいますよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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