『おむすび』第5回 『タクシードライバー』のトラヴィスのように
#おむすび
NHK連続テレビ小説『おむすび』も第5回。「おむすびとギャル」というサブタイトルが付けられた1週目が終わりました。
ここでいう「おむすび」とは、橋本環奈演じる主人公・米田結のこと。「米を結ぶ」から「おむすび」と幼なじみに呼ばれていました。その「おむすび」と「ギャル」との出会いから対立、そして友達になるまでのお話が手際よくまとめられています。
振り返りましょう。
■友達になろうよ
書道部のイケメン風見先輩(松本怜生)に誘われて、再び天神を訪れた結ちゃん。先日の全然おもしろくなかった展覧会を見て書道に対する興味を失っていた結ちゃんでしたが、風見先輩から「楽しい展覧会に連れていく」と言われてポヤーン。さらに当日、一緒にくるはずだったクラスメートの恵美ちゃん(中村守里)が発熱で来られなくなったため、完全なるデート状態に。舞い上がってしまう結ちゃんでしたが、待ち合わせ場所の橋の上では、あのいまわしきハギャレン(博多ギャル連合)の一員であるスズリン(岡本夏美)がティッシュ配りをしています。
なんとかスズリンに見つからないように身を潜めて通り過ぎようとした結ちゃんでしたが、どうやらスズリンは体調がよくない様子。そういえば先週末のゲーセンでもフラフラしてたし、いつもお菓子ばっかり食べてる姿が印象に残っています。
困っている人がいると、助けずにはいられない。おじいちゃん(松平健)から受け継いだ米田家の血が騒ぎだした結ちゃん、イケメン先輩をほったらかして、スズリンのもとへ駆け付けます。
欄干に座り込んでいたスズリンを病院に連れていくと、明らかに栄養が足りないとのこと。スズリンは父を亡くし、母は借金返済のために仕事を掛け持ち中。しかも自分はネイリストの資格を取るため貯金しているので、とことん食費を切り詰めていました。2日でスナック菓子1袋。見かねた結ちゃんは、おばあちゃんに持たせてもらったおむすびをスズリンに差し出し、一緒に食べることにしました。
その味に父との思い出が蘇ってしまい、思わず涙するスズリン。そこにルーリー(みりちゃむ)たちハギャレンの3人がやってきて、仲間を助けてくれた結ちゃんに感謝を述べるのでした。
「やっぱ妹ちゃんは総代の器やね」と、しつこいルーリーの勧誘を断ると、結ちゃんに助けられたスズリンがニッコリ笑って、別の提案をしてきます。
「やったら、友達は? 友達ならいいやろ」
その笑顔にほだされ、めでたく結ちゃんのハギャレン加入が決定。「おむすび」にちなんで「ムスビン」というギャルネームが与えられ、赤外線交換からプリへと流れるのでした。
帰宅後、「立ち入り禁止 勝手に入るな」と張り紙がしてある姉・歩(仲里依紗)の暮らした部屋のドアを開ける結ちゃん。そこはギャルデコ満載のギャルギャルしいギャル空間なのでした。
鏡の前で、ポニーテールを解いた髪にひまわりをデコってみたりして、あわてて外してみたりして、次週へ。
■「真剣にギャルやってる」の一端
映画『タクシードライバー』(76)で、大統領候補を襲撃することを決意したトラヴィスが、鏡の前で自らの髪の毛をモヒカンに剃り上げる有名なシーンがあります。鏡の中で、ひまわりを髪に飾った自分に笑いかける結ちゃんは、確かに自分の中の変化を感じていたでしょう。
前回、ギャルたち「真剣にギャルやってる」という言葉が少しも理解できなかった結ちゃん。スズリンが、ろくにご飯も食べられないのに、夢に向かってちゃんと貯金をしていること。好きなネイルの話をしているときのキラキラと輝く表情。なんのてらいもなく「友達ならいいやろ」と問いかけてくる素直さ。
「真剣にギャルやってる」とは、自分の「好き」に人生を全振りしているということでした。
歩の部屋で、結ちゃんは少なくとも、あれだけ忌み嫌っていた姉も「真剣にギャルやってた」ことだけは理解したはずです。
ひまわりを髪に飾ることで、確かにスイッチは入った。あのトラヴィスのように。そんな朝ドラ『おむすび』の第1週でした。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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