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橋本環奈 『おむすび』第2回 演技経験のないホンモノのギャルと、本業俳優・橋本環奈の芝居力

橋本環奈

 福岡・糸島を舞台に始まったNHKテレビ小説『おむすび』の第2回。ギャルが栄養士になるお話と聞いていますが、今のところ主人公の結ちゃん(橋本環奈)は黒髪ポニテの清楚系。そんな結ちゃんの目の前にギャル4人組が現れ、立ちはだかったところからスタートです。

 振り返りましょう。

■「ウケる」んだけど

 結ちゃんの前に現れたのは、「ハギャレン」こと博多ギャル連合の4人組。聞けば、結ちゃんの姉である歩(仲里依紗)が初代総代表を務めており、メンバー集めのためにカリスマギャルだった「あゆ」こと歩の妹である結ちゃんを総代に担ぎたいとのことでした。

「ねえ、あゆの妹ちゃんだよねえ。超かわいい、ウケる~」

「ウケる」とは、物事を最大限、肯定的にとらえた瞬間にギャルの口から発せられる呪文ですが、結ちゃんは「ウケる……?」と戸惑い気味。どうやら、ギャル文化との接点はあまりなかった様子です。ちなみに平成期に「ウケる」が使われた場面、最近では「しぬ」が使われたりしますね。「ねえ、しぬんだけど」とか。しぬなよ。生きてほしい。

 リーダー格のルーリー(みりちゃむ)から総代表への就任を要請された結ちゃんでしたが、ダサいヘルメットをかぶってチャリンコをまたぐと、スタコラサッサと逃げ出すのでした。

 やっかいなのは、4人組の中にクラスメートのリサポン(田村芽実)もいたこと。クラスではおとなしくしているリサポンでしたが、この日から結ちゃんをハギャレンに勧誘し始めることになり、結ちゃんの学校生活は穏やかではなくなってしまいます。

 そんな結ちゃんでしたが、先日この学校で初めてお友だちになった恵美(中村守里)が重そうな荷物を抱えて廊下を歩いているのを見かけると、スタスタと近寄って「手伝う」と、その荷物の半分を引き受けて恵美の後ろをついていきます。帽子が海に飛ばされている小学生がいたら、ためらいなく飛び込むし、重そうな荷物を持っている恵美がいたら、手伝う。そういう女の子のようです。

 恵美の行先は、書道部でした。マジメに書道をしている部員の後ろで、床に大きな半紙を敷いて、たいへん見事な「青春」という文字をしたためている男がいます。顔を上げると、これはもう誰が見てもスーパーイケメン。きれいなジャイアンならぬ、きれいな武田双雲といった趣の風見先輩(松本怜生)に見つめられ「俺と一緒に書道せん?」と迫られると、結ちゃん「もしかして、うちの青春、始まった?」とポヤーンとしてしまうのでした。

■まずは『おむすび』のギャル観

 おそらくは、このドラマにおける「ギャル」と対照的な存在として登場したのが、「書道部のカリスマ」ということなのでしょう。トレンディとトラディショナル。アイライナーと毛筆。キラキラリップと墨汁。カラフルとモノクローム。ギャル文化と正反対の男に心を惹かれる結ちゃんを描くことで、まずは主人公をギャルから引き離しにかかっているように見えます。

 そして『おむすび』のギャル観とまず提示してきたのは、ルーリー役のみりちゃむという新人でした。朝ドラを見る人たちにとっては馴染みがない俳優さんだと思いますが、主にお笑い好きの間では超のつく有名人です。登録者200万人を超えるYouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』でテレビプロデューサーの佐久間宣行氏が発掘した同チャンネルのエースで、アンジャッシュ・渡部建やダイアン・津田篤宏、TKO・木下隆行といった面倒な先輩お笑い芸人たちを相手に堂々としたエチュードを披露し、その演技力と豊富な語彙でぐいぐいと評価を上げているギャルタレント。朝ドラへの抜擢はまさにシンデレラストーリーそのものですが、それにしても重責を与えられたものです。

 で、そのみりちゃむなんですが、基本的にはYouTubeとおんなじ感じでお芝居をしています。そりゃ固さはありますけれども、特に演出が入っている感じがしない。

 つまりは、20年前のギャル役を、20年後の本物のギャルがそのまま演じているわけです。ギャルの物語を作る上で「ギャルってどんな人なの?」という定義付けが必要になるはずですが、そこらへんをみりちゃむの仕草とセリフ回しに全部頼ることになっている。

 今後いろいろあって結ちゃんはギャルになっていくのでしょうから、それはそのまま橋本環奈がみりちゃむになっていくということでもある。

 映画監督の三池崇史が『漂流街 THE HAZARD CITY』(00)という映画を撮ったとき、「本業の役者にゃ(主人公の)マーリオは演れませんよ」と言って、どこの誰だかわからないTEAHという若者を連れてきて、主役に据えてしまったことがありました。結果、『漂流街』はTEAHという若者の映画になった。そのことを思い出したんです。

 演技経験のないホンモノのギャル・みりちゃむに、本業の俳優である橋本環奈が芝居を寄せていくことになる。橋本環奈って顔面ばっかり評価されてるけど、お芝居上手ですからね。どんな感じのギャルに仕上がるか、楽しみにしたいところです。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

最終更新:2024/10/01 16:00
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