トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 日中関係改善を願う“父親の手紙”に涙
週刊誌スクープ大賞

中国・深圳の10歳男児殺害事件、日中関係改善を願う“父親の手紙”に涙

中国・深圳『日本人男児』惨殺の暗部

 今週の最後の記事は、中国深圳で10歳の子どもが、中国人に刺殺されたという痛ましい事件についてである。文春と新潮がともに巻頭で特集しているが、新潮の取材の方がよくできていると思う。

 よって、新潮の記事を中心に見てみよう。

 以下はデイリー新潮(09月25日)からの引用である。

《「偶発的な事件」。9月18日に中国南部・広東省深セン市で起きた日本人学校に通う男児の刺殺事件について、中国側はこう説明し、それ以上の詳細を明かそうとせず「ふた」をしようとしている。無論、日本人は誰一人として納得していない。果たして中国の当局には、次に紹介する声がどう響くのだろうか――。以下は、被害男児と同じ日本人学校に子供を通わせている保護者の貴重な証言である。
 その保護者、水野さん(仮名)が事件について知ったのは18日午前8時ごろのことだった。
「あの日は7時半くらいに出社し、しばらくたった8時ごろ、学校の保護者が入っているWeChatの緊急連絡網で『通学中に児童が刺されました』との連絡が来たのです。われわれ保護者はそれで初めて事件が発生したことを知りました」
水野さんは中国人の妻にすぐ連絡を入れた。すると、
「妻は『今日はたまたま早く子供を学校に送り届けたから事件に巻き込まれずに済んだ』と。あの朝、妻は『悪い夢を見た』と言っていて、妙な胸騒ぎがするということでいつもより早く子供を学校に送り届けていたのです。普段の家を出る時間はもっと遅いので、本当にちょっとした差で事件に遭わなくて済んだといえるのかもしれません」

 中国共産党深セン市委員会の機関紙、深セン特区報などの記事によると、事件が発生したのは午前7時55分。母親と一緒に登校していた10歳の男児が男に腹部などを刺された。

 現場は、日本人学校の校門まであと約200メートルの場所だった。シンガポールのメディア「聯合早報」は学校の近所の住民による次のような目撃証言を伝えている。

〈現場には電動自転車が倒れていた。幼い男の子が血だまりの中で目を見開いて横たわっていた。母と思われる女性が近くで泣いており数人の通行人が少年に心肺蘇生処置を行っていた〉

 母親と思しき女性は中国語で「私の子に何をするの」「助けて」と叫んでいたという。現場に救急車が到着したのは8時5分。

「被害に遭った子の20~30メートル後ろを歩いていて“助けて”という声を聞いて駆け寄り、救急車にも一緒に乗り込むことになった保護者の方がいます。その方は同じ学校に子供を通わせている中国人のママで、被害に遭った子のママの友達でもあります」

 そう明かすのは、水野さんの妻である。

「そのママは被害に遭った子が救急車から病院に運ばれるのを見届けた後、その足で学校に自分の子供を引き取りに来た。私も事件後、自分の子供を迎えに学校に行きました。それでそのママとエレベーターで鉢合わせになったのですが、彼女の服は元の色が分からないくらい血まみれでした。現場で救命活動を手伝った時に自分も血だらけになってしまったのでしょう」

 しかし被害男児が腹部や脚に負った傷はあまりにも深く、翌19日午前1時36分、死亡が確認されたという。

 水野さんが言う。

「刺された子が救急車で運ばれたというのは妻から聞いていたので、何とか助かってほしいと思っていたのですが……。犯人は現場ですぐに取り押さえられたようです」

 被害男児と同じ日本人学校に子供を通わせている別の保護者は言う。

「9月23日、亡くなった児童のお別れ会があり、日本人学校の児童および保護者、合わせて100人くらいが参加しました。亡くなった児童の母親と母方の祖母が声を出して泣いている一方、父親は涙をこらえてわが子を送り出していました。ひつぎの中のご遺体は安らかな顔をしていましたが、どれだけ痛かったのかと思うと……」

 残忍で、むごたらしく、卑劣極まりない刺殺事件。これが「偶発的な事件」の一言で片付けられていいはずがない。改めて、中国の当局は「現実」を直視すべきであろう》

 子どもが殺された9月18日という日は、満州事変の発端となった「柳条湖事件」が起きた日である。

「毎年9月18日は防空サイレンが鳴らされます。防災訓練の一環だと中国側は言いますが、そこには『あの戦争を忘れるな』という明確なメッセージが含まれています」(深圳市に住むさる日本人)

 新潮も文春も、中国で起きている日本人に対する悪意と誤解に基づいたSNS上での誹謗中傷が激しくなっており、これまでも各地の日本人学校への投石や盗撮は頻発していたと報じている。

 中国側の「偶発的な事件」だといういい分を素直に聞くわけにはいかない。

 日本側も、すぐに外務大臣クラスを中国へ送って、向こうの要人たちと直談判すべきなのに、上川大臣の動きも鈍かった。

 犯人は漢族で無職。これまでも公共通信施設を破壊したり、虚偽情報を流した公共秩序騒乱容疑で身柄を拘束されたことがあるというが、子どもを襲った動機は発表されていないという。

 この子どもの父親は日本人で、母親は中国人だという。父親は中国が好きで、上海師範大学に留学し、そこで知り合った中国の女性と結婚したという。

 就職先は大阪市内にある貿易会社で、今年初め、深圳にオフィスができ、駐在員として赴任したというのである。

 彼にとってみれば、大好きな中国で仕事ができるという夢がかなったのに、このような悲劇に見舞われるとは……、複雑な思いでいるのに違いない。

 新潮は、父親がSNSに上げたのではないかとみられる「手紙」があると報じている。

 そこには、最愛の子どもを失った悲しみが綴られているが、こんな記述もあるという。

〈私は中国を憎んでいません。同様に、日本も憎んでいません。国籍に関係なく、私たち両国を自分たちの国だと考えています。(中略)私は、歪んだ思想をもつ一握りの卑劣な人々の犯罪によって両国関係が損なわれるのを望んでいません。私の唯一の願いは、このような悲劇が二度と繰り返されないことです〉

 さらにこうある。

〈今私にできることは、彼(息子)に誇れる人間になれるよう全力を尽くし、日中相互理解に微力ながら貢献し続けることだけです。これは最愛の息子への償いでもあり、犯人への復讐でもあります〉

 息子を殺した犯人の動機が、日中関係を壊すことだったとしたら、息子の死の悲しみを乗り越え、よりよい日中関係を築いていくことが、犯人への復讐だというのである。

 これがもし、息子を無残に奪われた父親が書いたものだとすれば、彼の日中に対する思いは誰よりも強いのであろう。涙もろい私は、これを読みながら泣いた。

 こういう人が日中の懸け橋としていてくれたら、無能な政治家や役人が何万にいるよりも、日中関係はもっとより良いものになっていくに違いない。

 10歳の子どもが無残に殺されたことを絶対許すわけにはいかない。中国側も、真摯にこのことと向き合い、習近平は彼の墓に花を手向けるべきである。(文中一部敬称略)

【巻末付録】

 まずは現代から。

「榎原依那 神も羨む黄金比」「相沢菜々子 逝きし夏の思い出」

 お次はポスト。

「人気グラドル7人の私生活が見える『これが私たちの勝負下着です!』」
「独占公開 ときちゃん そこまで見せちゃうの」「霧島聖子 ハイレグがまぶしいね」

 今週はポストもおとなしめ。夏の暑さ疲れかな?

元木昌彦(編集者)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

サイト:記事一覧

もときまさひこ

最終更新:2024/09/30 15:00
1234
ページ上部へ戻る

配給映画