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デコトラにパラパラに頭文字D !? 日本カルチャーと世界的トレンドをLDH流に昇華したf5ve「Underground」の先進性

デコトラに『頭文字D』…「海外ウケする日本カルチャー」の巧みな引用

 f5ve「Underground」でもっとも印象に残るのは、ミュージックビデオに登場するデコトラと、振り付けの一部として取り入れられているパラパラダンスだろう。

 華美に飾られた「デコレーショントラック」の略称であるデコトラは、警察の取り締まり強化などにより国内では衰退の一途をたどっているが、ここ10年でその独自のカルチャーが国内外で(再)注目を集めており、米CNN放送や英ガーディアン紙など海外メディアがたびたび取り上げているほか、今年3月末に緊急来日したビヨンセがデコトラをバックに写真を撮ったことも話題に。2021年の東京パラリンピックでも、その開会式を彩ったことが記憶に新しい。

 日本独自の統一性のないカラフルさとギラギラした装飾という景観は“海外ウケ”する要素であり、それはブルーノ・マーズが最近手がけたドン・キホーテの宣伝CMからも見て取れる。デコトラはその個性的なイルミネーションが「芸術」として捉えられはじめており、写真集が発売されるなど“注目の日本カルチャー”のひとつなのだ。

 ちなみに「車」というキーワードでは、ビジュアライザーの映像の終盤 は、日産・フェアレディZ風のデザインのCGカーがドリフトする様子がループするものになっており、名作マンガ&アニメ『頭文字(イニシャル)D』を想起させる。こちらもまた、アジアや欧米で人気のある日本コンテンツだ。

令和の「木村拓哉がパラパラを踊る動画」バズと、「Y2K」トレンド

 パラパラもたびたびリバイバルの波が起こるが、2021年の初め、あるパラパラ映像が海外でバズっている。木村拓哉が『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で「バッキー木村」というギャル男ふうのキャラクターに扮してパラパラを踊っていた過去映像が英語圏ユーザーと思しきアカウントから投稿され、5万リポスト、17万いいねを稼ぐ反響を起こしたのだ。激しいユーロビートサウンドに反し、無表情で踊るシュールな光景がウケたとみられる。このバズの件を意識したかは定かではないが、この振り付けを取り入れた背景には、パラパラが日本発祥のダンスであることが影響しているのは間違いないだろう。

 パラパラは90年代末に隆盛を極め、バッキー木村のコントも00年代初頭。まさに近年のトレンドである「Y2K」カルチャーのひとつだ。ミュージックビデオに登場するファッションも、(セクシーなのオフィスファッションを経て)Y2K的なストリートスタイル。当時のギャルファッションもミックスされており、Y2Kトレンドにうまくアプローチしている。

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