長澤まさみが“薄味のダー子”に見える…『スオミの話をしよう』が物足りないワケ
#長澤まさみ #スオミの話をしよう
三谷幸喜監督による映画『スオミの話をしよう』が9月13日に公開された。
同作は俳優・長澤まさみ演じるスオミが突如失踪。彼女を愛する現夫(坂東彌十郎)と4人の元夫(遠藤憲一、松坂桃李、小林隆、西島秀俊)の5人が繰り広げるミステリーコメディーだ。「舞台のような映画を作りたい」という三谷監督の発案で、約1カ月の稽古を経てクランクインしたという。
初日の興行収入は1億円を超え、三谷監督の前作『記憶にございません!』(2019年)とほぼ同等の出足となり、土日の座席予約数から興収30億円も視野に入るなど、好スタートを切っている。
芸能ジャーナリストの平田昇二氏は語る。
「三谷さんといえば、06年公開の『THE 有頂天ホテル』が興収60億円を突破。11年公開の『ステキな金縛り』も40億円を超え、08年公開の『ザ・マジックアワー』も40億円に迫るなど、テレビドラマのみならず、映画に関してもヒットメーカーとして知られています。今作に関しては主演が今や日本を代表する俳優の一人となった長澤さんということもあり、公開前からかなり注目を集めていました。三谷さんも相当気合が入っているようで、映画の宣伝のために多くのバラエティー番組に出演。フジテレビが三谷さんの本格的なドラマデビュー作である『振り返れば奴がいる』を映画公開のタイミングにあわせて放送して話題になるなど、周囲のバックアップも追い風になりそうです」
もっとも、上々の出足となった興収とは裏腹に今作に対しては大手映画サイトのレビュー欄などを見ると辛らつな感想も目につく。映画ライターが自身の感想も交えつつこう話す。
「無駄なやりとりが多い割に“スオミが何者なのか”や“なぜ失踪したのか”といったミステリー要素に乏しく、かといって上質なコメディーとも言い切れない。要所では笑いどころもあるのですが、『もっと面白くできそうなのに……』というのが正直なところです。オジサンばかりの絵が続き、長澤が終盤まで回想シーンでしか登場しないのでファンムービーとしても中途半端。作品全体を通じて三谷監督が意識していたように場面展開が少なく演劇的な空気をあちこちで感じたので、映画ではなく舞台のほうが映えるのかもしれないですよね」
そうした中、劇中で長澤が男たちに合わせてさまざまなキャラクターを演じていたことから「長澤まさみがダー子ちゃんにしか見えない呪いにかかっている」や「スオミの正体はダー子にしか思えない」といった声もインターネット上では飛び交っている。
「今作のスオミに、長澤が自身の代表作『コンフィデンスマンJP』で演じた詐欺師のダー子を重ね合わせた人も多いようです。ただ、スオミの方は長澤のキャラがバリエーション不足で“薄味のダー子”といった印象。ストーリーの方も失踪理由に特段の驚きもなく、最後にダマした相手から“お宝”をゲットする爽快感もなく、コンフィデンスマンJPの劣化版のような内容も物足りなさの要因になっているように思います。長澤もダー子という当たり役に出会ったことで得るものも大きかった反面、その役のイメージが強烈過ぎることで今後コメディーがやりにくくなる部分もあるかもしれません」(前出の映画ライター)
映画好きや長澤ファンの間ではスオミの話というよりも“ダー子とスオミの話”が盛り上がっている観もあるが、ともあれ、『スオミの話をしよう』はヒットしそうである。
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