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【夏ドラマ】『ブラックペアン2』最終回で描かれた“2人の悪魔”の訃報と吉報、そして続編の可能性

【夏ドラマ】『ブラックペアン シーズン2』最終回で描かれた2人の悪魔の訃報と吉報、そして続編の可能性の画像1
二宮和也

 日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)の最終回が9月15日に放送された。“神に愛された悪魔”と呼ばれる天才医師の波乱万丈な物語がついにクライマックスを迎えた。天城(二宮和也)が挑む過去最高難易度の手術の結末、天城と佐伯(内野聖陽)の間にある遺恨の清算、天城の思い描いた理想の新病院「スリジエハートセンター」のその後など、視聴者の関心事が凝縮された最終回となった。

 心臓冠動脈バイパス術「ダイレクト・アナストモーシス」の申し子である“神に愛された悪魔”天城の活躍を描いた本作品。世界的心臓外科医の天城は、東城大学医学部付属病院の院長・佐伯からスカウトを受け、東城大の新病院「スリジエハートセンター」のセンター長に任命される。新病院の開院に必要な資金を集めるため、天城は心臓に病気を抱える手術依頼者に運試しを持ちかけ、運試しに勝った手術依頼者から財産の半分を報酬としてもらうやり方で着実に資金を稼いでいく。“運”と“金”がなければ手術を行わない天城のやり方は院内外で波紋を呼ぶ。ダークヒーローとして扱われる天城には悲しい過去があった。

 天城には幼くして離れ離れになった双子の弟がおり、その弟はシリーズ前作品『ブラックペアン』の主人公・渡海(二宮和也)だった。天城は3歳の頃、心臓に病を抱える渡海に内胸動脈を提供した影響で冠動脈疾患を患い、新病院開院の目前にして生死の淵をさまようことになる。さらに、天城の父であり医師の司(大和田伸也)は、若き日の佐伯に医療過誤の責任をなすりつけられ、天城は司の無念を晴らすために佐伯がいる東城大にやってきたのだった。佐伯への憎悪に支配された天城に待っているのはハッピーエンドか、それとも……。

 天城が強行手術に踏み切った徳永(井上肇)は、司の元同僚の医師であり、8年前に司が「ダイレクト・アナストモーシス」を試みた患者だった。しかし、司の手術はうまくいかず、後から来た佐伯が応急処置をしたのだった。つまり、天城が恨んでいた佐伯は“シロ”だったのだ。佐伯との遺恨が清算された天城は、迷いなく徳永に「ダイレクト・アナストモーシス」を3箇所同時に施し、手術は無事成功した。司と天城、親子二代にわたる挑戦は時を経て達成されたのだ。

 しかし、天城は東城大を去り、帰らぬ人となってしまった。冠動脈疾患の影響によるものなのか、父と佐伯の遺恨が清算されて燃え尽きてしまったのか、原因は定かではないが、天城は幻のように人知れず消えてしまったのだ。弟子のように厳しく指導していた世良(竹内涼真)に宛てた手紙からは、温かみに満ちた人間性が伝わってきた。天城は病や悪にとっては“悪魔”であり、その素顔は“正義の医師”だった。

 ただ、エンディングは次回作『ブラックペアン シーズン3(仮)』への期待が高まるものだった。天城が植樹した桜の木が美しい花を咲かせる「スリジエハートセンター」を訪れたのは渡海とその愛弟子・猫田(趣里)。渡海が新病院にやってきたのは天城への追悼かと思いきや、渡海は猫田から手渡されたドクターコートに腕を通す。ドクターコートの腕部には、なんと東城大のロゴが入っていた。渡海は東城大に戻ってきたということだろう。エンディング時点で「スリジエハートセンター」のセンター長の椅子に座るのは高階(小泉孝太郎)だけに、次回作があるとすれば渡海の破天荒な振る舞いに、高階が困惑する姿が目に浮かぶ。

 さらに、天城の意志を受け継いで「スリジエハートセンター」に赴任した世良は、海の見えるオペ室でクラシック音楽を流しながら華麗な手さばきで手術を行い、手術を終えた患者の心臓に優しく手を添えるなど、まるで天城の生き写しのようだった。天城が思い描いた通りの新病院に渡海と世良の二枚看板がいればどんな難手術でも軽々対応してしまいそうだが、『シーズン3』があるとすれば“天才医師vs進化した医療AIロボット”など相当な難問が用意されることだろう。

 主人公が悲運の死を遂げるかたちとなった『ブラックペアン シーズン2』。悲しいながらも次回作への希望を抱かせる結末になったのは視聴者ファンにとって救いだ。次回作があるとすれば、主演・二宮和也の演技は一流から円熟の域にレベルアップしていることだろう。渡海がどのような姿で、どのような難手術に挑むのか……。『シーズン3』制作決定の吉報を楽しみに待ちたい。

■番組情報

日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』
TBS系毎週日曜21時~

出演:二宮和也、竹内涼真、葵わかな、キム・ムジュン、田中みな実、石坂浩二、趣里、段田安則、小泉孝太郎、内野聖陽 ほか

原作:海堂尊「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」(講談社文庫)
脚本:槌谷健、守口悠介 ほか
音楽:木村秀彬
主題歌:小田和正「その先にあるもの」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
監修:山岸俊介(イムス東京葛飾総合病院)
プロデュース:伊與田英徳、武藤淳、佐久間晃嗣
演出:西浦正記、加藤亜季子、伊東祥宏
製作著作:TBS

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/blackpean_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2024/09/17 17:00
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