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【夏ドラマ】『GO HOME』第8話 いよいよ死んだ人を「家族に帰さない」という不遜の極みをやってきた

小芝風花

 どこの誰だかわからない変死体の身元を調べ、遺族のもとに帰してあげる仕事をしているサクラ(小芝風花)とマコト(大島優子)の活躍を描いたドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)も第8話。今回は、Snow Manの阿部亮平が演じる捜査一課・手嶋刑事にフォーカスを当てた回となりました。

 そしていよいよ、ドラマの根本がダメになっちゃいました。振り返りましょう。

■「拳銃は2丁あった」って

 夜中に通報を受けて現場に向かった手嶋刑事が、2人組の男に襲われて拳銃を奪われてしまいました。そんな折、管内で拳銃を使った射殺事件が発生し、若い男性が死亡。奪われた拳銃が使われたかどうかは不明ですが、とにかく撃たれて死んだ人の身元がわからないということで、サクラとマコトが働く身元不明相談室も捜査に加わることになります。

 落ち込む手嶋刑事の部屋を訪れたサクラとマコトは、死んだ男の身元を割り出して拳銃を取り戻すことを決意。男はどうやら地場のヤクザの構成員らしいのですが、サクラが組を訪れると組長(泉谷しげる)たちは「知らない」の一点張り。ところが、組長付きの若いヤクザ(脇智弘)がお菓子の中にプロテインバーを紛れ込ませたり、「SK」というイニシャルの入った野球のグローブを見やすい場所に置いてくれたりと、頼まれもしないのにサクラにどんどんヒントを与えてくれます。

 そのヒントをもとにサクラはもう一度ヤクザ事務所を訪れ、何か言います。すると、ヤクザ稼業50年の組長はサクラにすっかりほだされてしまい、組の解散を決意。手嶋刑事を襲った2人が構成員であることをあっさり白状し、あげくサクラに頭を下げるのでした。このドラマの特徴である「サクラが願えば、すべてが叶う」という魔力の発動です。

 一方、手嶋刑事は拳銃を奪った2人組のうちの1人が高校のときの野球部の同級生だったことに気づきました。その同級生(落合トモキ)は弟分と2人で拳銃を奪い、現金輸送車を襲う計画を立てていましたが寸前で躊躇し、計画通りに実行しようとする弟分を誤って撃ち殺してしまったとのこと。

 なんやかんやで母校の室内練習場で再会した手嶋刑事と犯人の同級生。いろいろ説得して、同級生は自首することにしました。

 犯人が手嶋を襲ったのは偶然だったそうです。拳銃を奪おうとした際、相手が手嶋であることに気づいた犯人は手に持っていた鉄パイプを材木に持ち替えたこと、現金輸送車を襲おうとした際に、手嶋の拳銃を使うと迷惑がかかると思い、躊躇したことなどが語られました。

 そして最後に犯人は「拳銃は2丁あった」と言い出したのです。弟分を撃った拳銃はすでに川に捨てていて、手嶋の拳銃は一発も撃ってない。となると、いろいろ全部のつじつまが合わないんですが、まあなんかみんな感動してるし別にいいのかな。ミステリーの根本を美談めいたセリフの応酬で圧し潰す。これもまた、このドラマの特徴です。

■遺族に帰せよ

 さて、身元不明の遺体だった弟分についてですが、いよいよ扱いがぞんざいになってしまいました。今回、阿部亮平についてのエピソードをたくさん描きたかったのでしょう。身元不明の遺体を調べるというドラマの本懐が邪魔になっちゃったようで、遺体はヤクザの組長が引き取るということで処理してしまいました。しかも、その組は解散するわけで、もう組長は亡くなった構成員とは関係のない老人です。しかも反社です。

 これまでのサクラなら、反社に引き取らせるわけにはいかない、本当に待っている家族がいるはずだとか言って執拗に故人の身元を詮索しようとしていたはずです。そのやり方がすごく乱暴で不遜だということをこのレビューではずっと言ってきたのですが、それをやらないという回がくるとは思ってなかったので、超びっくりしました。やらないんかい。

 死んだ人を扱うドラマで、回によって死んだ人の人生に「重い/軽い」が出ちゃったわけです。これはけっこう、この手のドラマで最低限守らなきゃいけないモラルを踏み越えたと思うよ。

 その死んだ人の名前を書類に書き込んで「一件落着」って顔でニッコリ笑ってるサクラ、すごい性格だねこの子。小芝風花、こんな役やらされてかわいそうだわ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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最終更新:2024/09/15 15:00
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