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巨人・菅野智之が完全復活、「最多勝+MVP」で諦めかけたメジャー挑戦の可能性が再浮上

巨人・菅野智之が完全復活、「最多勝+MVP」で諦めかけたメジャー挑戦の可能性が再浮上の画像1
菅野智之(写真/Getty Imagesより)

 プロ野球はいよいよ終盤戦。パ・リーグはソフトバンクの優勝がほぼ確定とされているが、セ・リーグでは優勝争い、両リーグではタイトル争いも佳境。今シーズンは顕著な傾向がある。首位打者争いはセ・パともに3割台が1人。一方、セ・リーグの防御率ランキングでは1点台の投手がずらり。両リーグとも極端な投高打低なのだ。

「解説者たちは、投手の技術や球速が上がったことを理由にあげていますが、ここまで数字が落ちるのはいくらなんでも不自然。NPBやボールメーカーは頑なに否定していますが、やはりボールが飛ばなくなったと考えるのが自然でしょう。多くのバッターも証言していますし。また、外国人選手のレベルが落ちていることのも事実です。ここ数年、円安が一気に進み、給料がドル建ての助っ人は獲りにくくなっていますし、NPBのレベルが上がったことで、日本で活躍してメジャーに行くというルートが難しくなった。メジャーの待遇がどんどん良くなり、日本に魅力を感じなくなったことも大きいでしょう」(フリーの野球ライター)

 それに乗じて、一度は完全に消えたかと思われた夢の舞台への挑戦が、再び現実味を帯びてきたのが巨人の菅野智之だ。ここ数年、ピリッとしない成績が続いていたものの、今シーズンは完全に復活。メジャー再挑戦の可能性が出てきた。

「菅野はこれまで最優秀防御率4回、最多勝3回、MVPと沢村賞を2回獲得。本人のメジャー志向は強く、球団の許可が出るのを待つだけでしたが、GOサインが出た時期が悪すぎました。2020年は主要タイトルを総なめにしてチームもリーグ優勝し、メジャー挑戦のタイミングとしては完璧でしたが、その時期はコロナ禍の真っ最中。FA市場は冷え切り、条件面で合意に至らず、巨人残留を決めました」(週刊誌スポーツ担当記者)

 するとモチベーションが下がったのか、2021年以降は6勝7敗、10勝7敗、4勝8敗と、成績は今ひとつ。今季開幕前にはリリーフ転向の噂も上がるなど、すっかり落ち目だったが、今季はここまで14勝2敗、防御率も1点台と完璧な成績で、チームも優勝争いに頭一つ抜けた状態。

「菅野は来月35歳で、一番良い時期の移籍とは言い難いですが、過去の日本人選手を見ると、斎藤隆は36歳でメジャーデビューして40代まで活躍しました。また、上原浩治や黒田博樹が渡米したのも30代半ば。38歳のダルビッシュは昨年、新たに6年契約を結ぶなど、投手の選手寿命はどんどん延びており、35歳なら十分チャンスはあります。菅野は甲子園で酷使された経験もなければ、プロ入り以降も先発はほぼ中6日。2019年以降は年間140イニング程度しか投げていません。また、今シーズン、最多勝と最優秀勝率の2冠が取れそうで、巨人が優勝すればMVPは菅野でしょう。日本シリーズでも活躍してチームが日本一になれば、誰も彼のメジャー挑戦を止めることはできません。年俸は現時点で4億円(推定)ですが、メジャーなら最低でも倍にはなることが予想されます」(同上)

 ただ、菅野には特殊な事情もある。プロ野球ファンには周知の事実だが、彼は原辰徳氏の甥っ子。巨人にとっては特別な存在だ。

「菅野は大学卒業時、ドラフトの抽選で日本ハムが指名権を獲得し、1年の浪人を経て相思相愛で巨人に入った経歴の持ち主。さらに選手として立派な成績を残し、“伯父が原辰徳”というスペシャルな肩書もある彼は、超有力な球団の幹部候補です。原辰徳は現在『特別球団顧問』というポジションに収まっていますが、彼も将来、同等かそれ以上のポジションが与えられるのは間違いないでしょう。しかし、メジャーに行けばその権利は失われます。わかりやすく言えば、巨人に一生、面倒を見てもらえる権利を捨てるということ。読売グループは新聞やテレビを抱え、メディアで絶大な権力を持ちますが、万全の後ろ盾を失うということです。菅野の実力ならメジャーでも2ケタは勝てるはずですが、ボール、球場、移動、言葉、食事など、向こうでプレーする際の不安要素はいくらでもある。安定を取るか、夢を選ぶか、究極の選択でしょう」(週刊誌スポーツ担当記者)

“やらない後悔よりやる後悔”とは言うが、球界を代表するエースの結論やいかに。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2024/09/16 14:00
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