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平本蓮はおとがめなし…日本の格闘技イベントで厳格なドーピング検査が実施できない切実な事情

平本蓮はおとがめなし…日本の格闘技イベントで厳格なドーピング検査が実施できない切実な事情の画像1
平本蓮(写真/Getty Imagesより)

 7月28日にさいたまスーパーアリーナで行われた格闘技イベント『超RIZIN.3』で、朝倉未来に1回KO勝ちして引退に追い込んだ平本蓮の“ドーピング疑惑”騒動だが、とりあえず収束したようだ。

 平本は9月2日に都内で会見を行い、疑惑を真っ向から否定。そして、RIZINは5日に都内で記者会見。榊原信行CEOが、朝倉と平本の試合当日の尿によるドーピング検査の結果を「両選手ともに陰性でした」と発表した。

 そもそもの発端は、平本らしき人物が「臀部に注射した」などと何者かと話している電話音声が流出。平本のセコンドを務めたこともある格闘家の赤沢幸典が「平本はドーピングに手を染めた」と告発したことだった。事実、平本は赤沢よりサプリを購入したことは認めるも、使用はしていなかったという。

 こうした騒動を受け、榊原氏は平本に対し、「猛省してほしい」「意図していたかにかかわらず、ドーピングに引っかかる薬物を入手していた時点で、ルールによってはアウト」などと苦言を呈していた。

 当事者の平本は同日、自身のXで騒動を謝罪したものの、自身のインスタグラムのストーリーズを更新し、鏡に向かって中指を立てる自撮り写真を投稿。反省の色がないことをうかがわせた。

「陰性の結果が出たことで、『(薬物を)購入はしたものの、使ってはいない』という平本の主張が裏付けられたが、格闘技ファンや関係者の心象は“グレー”に違いない。一方、平本に『売った』と暴露した格闘家の赤沢はもう日本のリングに上がることはできないだろう」(格闘技ライター)

 RIZINの会見には、薬物検査に関わっている医師2名が出席。検査の対象となった選手から、立ち合った上で尿を採取し、それを2つの検体に分けて密封した上で、検査機関に送ることを説明したが、その検査方法では厳格なチェックを実施することは難しいようだ。

「今やドーピングの方法も進化しているので、抜き打ちで検査を行わない限り、検査結果を陰性にすることはそれほど難しくはない。とはいえ、日本トップの格闘技団体であるRIZINでさえ、現行の検査方法が限界。そもそも、RIZINのドーピング検査で元K-1王者の木村“フィリップ”ミノルが昨年から2度陽性の結果が出たが、2試合の裁定を無効試合に変更し、罰金処分と半年間の出場停止処分というかなり甘い処分。今年3月に陰性の結果が出るや、何事もなかったかのようにRIZINのリングに上がり、本人はすでにそれをネタにして開き直っている」(格闘技業界関係者)

 朝倉未来の弟で、世界最大の格闘技団体・UFCへの参戦を表明した朝倉海は、抜き打ちでUFCの検査が行われることや、事前に行き先をUFCに報告しなければけないことなど、かなり厳格な体制で事前の検査が行われていることを明かしている。言い換えればUFCレベルの資金力がなければ、そんな検査態勢を敷くのは不可能な話だというのだ。

「RIZINはチケット代、スポンサー料、グッズの売り上げ、PPVの放映権料・視聴料金などを、会場費や選手たちのギャラなどの運営資金に充てているが、決して資金は潤沢ではなく、毎回“自転車操業”のような状態。それに対して、UFCは各スポンサー料がRIZINの協賛企業とはケタ違いで、米国の多くの州では合法なスポーツベットによる収益もかなりデカい。薬物検査を厳格にすればするほど、検査員を雇ったり、1回ごとの検査でとにかく金がかかってしまう。仮にRIZINがもっと厳格に薬物検査をしようとしたら、チケット代やPPVの視聴料金を値上げしなければならない。しかし、違法にネット上にアップされた試合の動画への対策にRIZINも頭を悩ませているのが現状。ファンたちの“協力”が得られないとより厳格な薬物検査は難しい」(同)

 たまたま平本は疑惑が浮上し騒動になったが、名前が出ずに胸をなで下ろすファイターは少なからずいるはずだ。

大山ユースケ(ライター)

1990年、千葉県生まれ。某大手メディアに勤務中の複業ライター。得意ジャンルはお笑いと酒。

おおやまゆーすけ

最終更新:2024/09/10 12:00
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