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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『GO HOME』LGBTQへの理解度は……?

【夏ドラマ】『GO HOME』第7話 今回もお得意のトンデモ推理→強引着地 LGBTQへの理解度は……?

大島優子(GettyImages)

 身元のわからない故人を調べ、その遺骨を家族のもとに返す仕事をしているサクラ(小芝風花)とマコト(大島優子)の活躍を描いたドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)も第7話。

 これまで、ここのレビューでは主にサクラが勝手に故人のプライバシーを暴いて周囲を巻き込み、自分の妄想の裏付けをとってご満悦な感じがすごく嫌だと書き続けてきましたが、今回はサクラの上司である室長の利根川さん(吉田鋼太郎)が「自分たちの仕事はあくまで行旅死亡人の身元を調べて帰るべき場所にお帰しすることだけだ」とか「故人のことを知ろうとして周りの誰かを傷つけたり、故人が丸裸にされることを望んでいるとは限らない」とか言い出してびっくりしました。いや、ずっとやってたやん、それ。ずっと許してきたやん、あんた。

 なんで急にそんなことを言い出したのか。振り返りましょう。

■その前にインスタの件

 今回の故人は、路上で急に大動脈解離を起こして亡くなった若い女性でした。倒れた直後に現場から逃亡する怪しい男の目撃証言があり、どうやらその男が倒れた女性から財布とスマホを奪って逃げたようです。

 女性の遺留品は「MAKOTO」というネームの入った首輪をつけた柴犬と、あとは犬の散歩に必要なものだけ。相談室の面々は「MAKOTO」のネームから「柴犬のマコト」というインスタのアカウントを割り出しました。これでアカ主のIPアドレスを辿れば、警察なら住所・氏名は簡単に割り出せるはずですので一件落着。かと思ったら、なぜか相談室は開示請求を行わず、コメントしている人にコンタクトを取って会いに行くという回り道をしてきます。

 このあたりで、ああ今回もダメそうだなという印象が強くなってしまいます。仮にもミステリーなわけですから、仕組みのわからないものは登場させないでほしいんです。気が散るんだ。

 で、なんだかんだでその女性がチアキという名前だと判明。相談室のサクラが柴犬を連れてチアキが通っていたらしいトリマーを訪れると、柴犬がスタッフの女性によく懐いている。あと、例によってサクラが何の根拠も令状もなく侵入したチアキの部屋のクローゼットが、そういえば半分スペースが空いていた。

 クローゼットのスペースが半分空いていたことと、犬が懐いていたこと。この2つの事実をもってサクラは、このトリマー女性とチアキが恋人関係であり、同棲していたという推理にたどり着きます。あとは『GO HOME』が得意とする「根拠のない推測」が「あり得ないくらいバカ当たりする」という定番のご都合主義に着地して、今回もお涙を頂きました。頂くよねえ、お涙。

 さて、冒頭の利根川さんがなぜそんなことを言ったかという話ですが、女性同士が恋人関係だったからなんですね。そこは暴いちゃいけない。という、今回だけ見てればまっとうなご意見です。

 しかし、第6話までに登場した故人たちはさんざん見せたくなかったであろう腹を暴かれ、知られたくないことも全部知られてきました。故人がLGBTQなら気を遣う、LGBTQじゃない奴は好き放題に暴きまくる。そういうことをやるドラマだということを白状しているにすぎません。相変わらず乱暴なんです、こういうとこ。

■で、LGBTQへの解像度はどうなのよ

 クローゼットと犬の仕草だけで恋人同士と決めつけた推理は暴論そのものでしたが、ほかにもけっこうヤバめな描写がいくつかありました。

 特にヤバいと思ったのは、亡くなったチアキが恋人だったトリマーを本気で思っていたということを証明するエピソードとして「人工授精についてゲイの人に相談していた」という事実を切り札にしてきたことです。

 表向きレズビアンに理解を示しつつ、その幸せは「2人で子どもを育てることしかない」と決めつけている感じがしたんだよな。当然、子どもがほしいカップルもいれば、そうじゃない人もいるわけで、そういうの全部ひっくるめて社会全体として理解していこうよという昨今の風潮があって、その風潮に理解を示す(というか、媚びる)形でレズビアンを登場人物に設定したはずなのに、「子どもを持つ」ことが幸せになる切り札として使われたところに、すごく時代錯誤というか、無理解を感じたんです。

 とにかく、作り手としてあんまりよくわからないものは登場させないでほしいんです。気が散るんだ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

最終更新:2024/09/09 11:38
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