戦隊ヒーローを題材にした『ベイマックス』 ポリコレに縛られたディズニーの行方
#金ロー #ベイマックス
今週の『金ロー』こと、9月6日(金)放映の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)は3DCGアニメ『ベイマックス』(2014年)です。『アナと雪の女王』(2013年)を大ヒットさせたディズニーアニメが放ったSFアドベンチャーもので、ケア・ロボット「ベイマックス」の健気さにほろりとさせられる感動作です。日本だけで興収91億8000万円というメガヒットを記録しています。
主人公は14歳の少年ヒロ・ハマダ。ロボット工学の天才で、兄のタダシから勧められ、タダシの通う工科大学へ飛び級入学しようと考えます。キャラハン教授に認めてもらうために、ヒロはマイクロボットという画期的な発明を完成させます。そんな矢先、大学内で火災が起き、キャラハン教授を救おうとしたタダシは炎にのみ込まれ、亡くなってしまいます。
落ち込むヒロの前に現れたのが、ベイマックスです。タダシが開発したケア・ロボットで、ヒロが元気になるのをサポートするために起動したのです。ケア・ロボットなんて必要ないと思っていたヒロでしたが、ふわふわとした触り心地のベイマックスに、優しかった兄・タダシの面影を感じ、行動を共にするようになります。
兄が亡くなった火災の真相を、ヒロは調べ始めます。兄の大学での研究仲間だった四人組、ゴー・ゴー、ワサビ、ハニー・レモン、フレッドも、これに協力します。やがて、ヒロたちは仮面姿の怪しい人物・ヨウカイと対峙するのですがその正体は……。
製作総指揮は『トイ・ストーリー』のジョン・ラセター
本作の面白さは、何と言ってもベイマックスというキャラクターの魅力に尽きるでしょう。マシュマロのようにふんわりしたビジュアルで、CGアニメながら見ているだけで癒されるものがあります。ヒロならずとも、ベイマックスにハグされたいと思う人は少なくないはずです。悩みを打ち明ける相手のいない孤独な現代人にとって、静かに抱きしめてくれるベイマックスは最高のセラピストであり、理想の友達像でもあります。
また、本作の原題は『Big Hero 6』となっており、日本の「戦隊ヒーロー」にインスパイアされています。1990年代には『パワーレンジャー』が大ブームになるなど、日本発の戦隊ヒーローは米国でも大人気です。戦闘用にバージョンアップされたベイマックスの放つロケットパンチが、クライマックスの鍵を握るなど、日本の特撮&アニメファンには堪らない内容となっています。
ディズニーアニメは、この時期は絶好調でした。2006年にスティーブ・ジョブズが経営するアニメ工房「ピクサー・アニメーション・スタジオ」を、ディズニーは74億ドルで買収。以降、「ピクサー」で『トイ・ストーリー』(1995年)などの革新的なアニメを手掛けていたジョン・ラセターが、ピクサーとディズニーアニメのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を兼任します。CGアニメの開発にお金を使いすぎたことからディズニーをクビになった過去のあるジョン・ラセターが古巣にカムバックし、それまで低迷していたディズニーアニメは息を吹き返します。
9月20日(金)の『金ロー』で放映される『トイ・ストーリー3』(2010年)も、ジョン・ラセターが製作総指揮を務めた彼の代表作です。ディズニーアニメ『アナと雪の女王』は、世界興収1280億円という記録的な大ヒット作となりました。『ベイマックス』は、そんな勢いに乗るディズニーアニメのパワーを感じさせる快作となっています。
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