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『ギークス』第8話 ミステリーとしての迷走と「変人たち」というタイトルに込められた意味

松岡茉優(写真/Getty Imagesより)

 中盤でイケメン隣人の安達さん(白洲迅)がキャラ変したあたりから、何がやりたいのか全然しっくりこなくなっているドラマ『ギークス~警察署の変人たち~』(フジテレビ系)も第8話。

 主人公の西条(松岡茉優)に与えられた瞬間記憶能力という特性がめちゃくちゃ活かされて事件解決する回もあれば、まったく役に立たない回もあったりと、なんだか毎回このドラマの「見方」がリセットされている感じがするんですよね。今回は、まったく役に立ちませんでした。振り返りましょう。

■ネット炎上と不正告発の話

 今回は、銀行に「ジャッジマン」を名乗る人物からの手紙が届いたところからスタート。その手紙には「謝罪せよ」と書かれており、どうやらこの手紙が届くと謝罪するしないにかかわらず不正が暴かれてネットで炎上するのだそうです。

 銀行の支店長は、ネット対策専門の弁護士さんに説得されて、顧客に接待を強要していたことなどをテレビカメラの前で謝罪。すると今度は、この弁護士さんのもとにも「ジャッジマン」から手紙が届きました。

 ところが、弁護士さんへの手紙は本物のジャッジマンからのものではなく、この弁護士さんのもとで働くパラリーガルのおじさん(モロ師岡)による自作自演でした。なんでも、パラおじさんは行きつけのマッサージ店で「不満をためこむな」的なことを言われて感化され、弁護士さんの不正を暴くことにしたんだそうです。

 本物のジャッジマンは、このマッサージ店で働くアシスタントの京子ちゃん(道上珠妃)でした。このマッサージ店を訪れる客はみんなセラピストのエミリさん(乙葉)に愚痴をこぼしがてら、自分の職場の不正をしゃべっていくそうで、それを聞いた京子ちゃんが義憤にかられて「ジャッジマン」行為をしていたんだそうです。

 ちなみにジャッジマンから手紙が送られてきたのは、このマッサージ店から10キロ圏内のみ。手紙が届いた企業や団体を交通課の基山(滝沢カレン)が地図にシールを貼って調べていましたが、数えたら33軒ありました。10キロ圏内に33軒の「不正をやってる企業や団体」があって、そこで働いている人たちが次から次へとマッサージ店にやってきて、内部機密を漏らしていく。そこに京子ちゃんが次々に脅迫状を入れていて、次々にネットで炎上させてその企業や団体を「終わらせて」いく。そんな事件が起こっている。

 うーん、リアリティとは?

 で、なんだかんだでマッサージ店を訪れていた西条が京子ちゃんに拘束されて、ナイフで脅されて、危機一髪助かって、ハッピーエンド。このドラマ、謎解きがおもしろい回もあったんですけど、今回はもう、今回はもうね。どうにも御し難い。

■「変人たち」というタイトル

 けっこう最初から、ドラマタイトルの「警察署の変人たち」という部分に違和感はあったんです。なんか、主人公たち3人を突き放している印象があるな、と思ってたの。

 で、前々回あたりで西条を容疑者にしてみたり、今回は拘束される被害者にしてみたりと、その「ギーク」っぷりを活躍につなげることよりも、本人を揺さぶることが多くなってきているんですよね。

 それで今回、西条に対して「(ひとりが大好きとか言って)本当は愚痴を言える人が必要なんじゃない?」みたいなことを言う人が出てきた。西条も、安達さんに愚痴を言ってスッキリしている様子が描かれた。

 これ、ギークな西条が他人に心を開いていけるようになっていく、ということをやろうとしているドラマなのかもしれないと、今回気づいたんです。ひとりでジグソーパズルなんかやってる性格の暗い陰キャ女が、心を開いてイケメンと恋愛できるようになっていく。それって素晴らしいことだよね、みたいなことを言いたいのかもしれない。

 そう考えると「変人たち」というワードに込められたニュアンスも理解できるんです。要するに、西条的な生き方を否定してるんじゃないのか。西条を矯正しようとしてるんじゃないのか。

 まだちょっとそう断言する段階ではないけど、そうだとすると、だいぶ人に優しくないドラマだよなあ。優しくないよ、そういうの。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

最終更新:2024/08/30 13:00
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