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『笑うマトリョーシカ』浩子の復讐は最終局面へ、彼女の前に立ちはだかるのは清家の元恋人か、それとも…

『笑うマトリョーシカ』浩子の復讐は最終局面へ、彼女の前に立ちはだかるのは清家の元恋人か、それとも…の画像1
清家一郎を演じる櫻井翔

 8月23日、金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系)の第9話が放送された。愛媛県から上京してきた若手政治家の立身出世のシナリオは最終局面に突入。ドラマ最終話が間近に迫るなか、若手政治家とその母が目指す“天下取り”は予想不可能な展開となった。

 本作品は、民和党の新しい顔として国民から絶大な支持を集める官房長官・清家(櫻井翔)と、清家の思想に大きな影響を与える母・浩子(高岡早紀)の2人が内に秘めた“悲願”の成就をめぐって暗躍する真の黒幕に迫ったヒューマン政治サスペンスだ。清家は高校時代から新人政治家、そして厚生労働大臣に至るまで二人三脚で歩んできた政務秘書官・鈴木(玉山鉄二)を突如クビにして心機一転を印象付け、若き官房長官として政界により強い影響力を持ち始めた。清家はヘイトスピーチの厳罰化や在留外国人をはじめとしたマイノリティへの支援を国民に訴えかけるが、その政策は母・浩子の思想に基づくものだった。ジャーナリストの道上香苗(水川あさみ、以下、道上)は清家と浩子の関係者や過去を調べるうちに、浩子の母は劉英華という中国人であることを突きとめる。この母子のルーツを思うと、清家がヘイトスピーチの厳罰化や在留外国人への支援を推し進めるのも納得だ。道上と鈴木が、清家と浩子が掲げる“悲願”の一端に触れたのもつかの間、清家は国民を驚かせる提案を打ち出すのだった……。

 第9話で清家は、国民の直接投票で総理大臣を選ぶ『首相公選制』を提案した。この提案から、清家の狙いは首相の座であることがわかる。爽やかなルックスと誠実な人柄で国民から高い支持を得る清家にとって『首相公選制』は有利な制度だが、現在の民和党総裁・羽生(大鷹明良)や民和党ナンバー2の外務大臣・諸橋(矢島健一)たち目上の議員には“謀反”と見なされる可能性がある。

 そんな羽生と諸橋に対する抑止力となるのが、この2人が絡む不正事件『BG株事件』の物的証拠だ。浩子は『BG株事件』の証拠が記録されたテープを所持しており、清家と浩子がテープをちらつかせれば同事件に絡んでいる羽生と諸橋は従うしかほかない。第9話で諸橋は、道上の父であり新聞記者・兼髙(渡辺いっけい)をはじめとした不審死事件の首謀者として報じられたことで、与党の中枢からフェードアウト。残された障壁は羽生ただ一人。清家が国のトップになる道筋は整ったといえる。

 だが、清家と浩子の計画はスムーズにはいかなそうだ。清家や鈴木の身のまわりで起きた不審死や事故などは浩子主導によるものだと思われてきたが、鈴木に清家が学生時代に書いた論文を送りつけた件について浩子は完全に否定。ここにきて新たな謎が浮上したが、送付した“謎の人物”の最有力は、清家の元恋人・美和子(亜里沙、田辺桃子)だろう。浩子、鈴木、美和子の3人は、かつて清家の思想を掌握する試みを取り合った因縁の関係であり、美和子は清家が大学を卒業する前に突如失踪している。生死不明の美和子が生きているとすれば、美和子から清家を切り離した浩子と鈴木を恨んでいるのは間違いなく、自身が存命であることを匂わせるために清家の論文を鈴木に送ったのかもしれない。清家が総理大臣まであと一歩のところまで来たいま、美和子が浩子の計画を無に帰す大きな一手を繰り出す展開もありそうだ。

“謎の人物”として考えられるのはもう一人、浩子の現在の夫・小松(堀内正美)のヘルパー・田所(和田光沙)だ。田所は時折浩子の動きを探るような視線を送り、道上が小松宅を訪問した際には、玄関で会話する道上と浩子を“無の表情”で見つめていた。小松と接するときの田所は“優しいヘルパーさん”そのものだからこそ、浩子に向けるネガティブな視線は怪しさが残る。それ以外に田所には気になる要素がなく“謎の人物”候補としては大穴だが、彼女の動向は注視しておいて無駄はないだろう。

 浩子は在留中国人である母を苦しめてきた日本に復讐するべく、幼少期からいままで精力的に行動してきたが、第9話の道上との対話シーンで、浩子が胸を押さえて苦しみをかみ殺すようなしぐさをしたように見えた。浩子はもしかすると大病を患っているのかもしれない。浩子が余命わずかだとしたら“悲願”を成し遂げるために急いで策を打ち出すだろう。次回第10話は清家と浩子の“悲願”をめぐる怒涛の展開がありそうだ。

■番組情報
金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』
TBS系毎週金曜22時~

出演:水川あさみ、玉山鉄二、櫻井翔、丸山智己、和田正人、渡辺大、曽田陵介、渡辺いっけい、高岡早紀、ほか

プロデューサー:橋本芙美
演出:岩田和行、城宝秀則、小林義則、朝比奈陽子
原作:早見和真「笑うマトリョーシカ」(文春文庫)
脚本:いずみ吉紘、神田優、福田昌平
音楽:大間々昂
主題歌:由薫「Sunshade」(Polydor Records)
政治監修:須山義正、武田一顕
法律監修:岡本直也
児童福祉監修:永野咲
警察監修:石坂隆昌
医療監修:中澤暁雄
編成:杉田彩佳
製作:共同テレビ、TBS

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/waraumatryoshka_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2024/08/30 09:00
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