『南くんが恋人!?』第6話 『HEAVEN CAN WAIT』に込められた脚本家・岡田惠和の本気度
#南くんが恋人!?
ちっちゃくなった南くん(八木勇征)と、かわゆい女子高生・ちよみ(飯沼愛)の穏やかでコミカルな日常を描きつつ、クール中盤で早くも「南くんはもう死んでいる」という、まったく穏やかじゃない展開を示唆してきたドラマ『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)も第6話。
南くんは前回、同じようにちっちゃくなった大人の女の人(国仲涼子)と出会い、その女の人が自分と同じように交通事故に遭いそうになってちっちゃくなり、「ちっちゃくなった人はもう死んでいるから、もうすぐ消えてしまう」という現実を目の当たりにしました。
今回は、そんな南くんが愛するちよみに「自分はもう死んでいる」と伝えるまでのお話。振り返りましょう。
■真夏のピークが去った
夏祭りも終わり、南くんをポケットに入れて連れ歩く生活にもすっかり慣れてきたちよみ。そのうち大きい南くんに戻ると信じて疑わないちよみは、このひと夏の不思議な体験を楽しんじゃう気が満々です。何しろ、ちっちゃくなっちゃったおかげで四六時中、大好きな南くんと一緒にいられるわけですからね。これはこれで、楽しいに決まってる。
ふと周りを見渡してみると、いろいろ複雑な家族構成にもかかわらずパパ(武田真治)とママ(木村佳乃)はラブラブだし、弟やおばあちゃんともいい感じ。親友の奈美(大和奈央)も年下彼氏とよろしくやってますし、南くんとはカラオケボックスに行けば心置きなく遊べることにも気づきました。いいねー、楽しいねー。
南くんのことを「男として好き」だと言った大学バスケ部のコーチも、ちよみに「恋愛で勝てると思ってない」と言ってくれました。あくまでコーチと選手という関係で「南くんに帰ってきてほしいと伝えて」と。もちろん、ちよみだってずっと南くんを独り占めしたいわけではありません。バスケしてる南くんが好きだし、将来は結婚だってしたい。これは、南くんがちっちゃくなってる間だけの、神様がくれた特別な時間。
ところで南くんは中学のときにお母さん(八木亜希子)を病気で亡くしていますが、そのお母さんは最後に入院するときに「幸せだ」と言っていたそうです。ちゃんとみんなとお別れができるから、病気で死ぬ自分は幸せだ。ちよみと南くんは、カキ氷を食べながらその話を思い出したりしていました。
ちゃんとお別れ、南くんもすることにしました。夜、2人きりになった部屋で、ウキウキのちよみを前に「俺を好きになりすぎるな」と告げます。
「俺はもう、死んでるんだ」
ひー。次回へ。
■HEAVEN CAN WAIT(天国は待ってくれる)
ちよみのことを好きな手芸部の部長(今井柊斗)が、ちよみと南くんのためにTシャツを縫ってプレゼントしてくれました。「ちよみさんに恋してる身としては複雑ですが」と言いながら、大小2着の鮮やかなオレンジ色。その胸には「HEAVEN CAN WAIT」と、おそろいの文字が刺繍されています。部長が好きな映画のタイトルだそうです。
『HEAVEN CAN WAIT(天国は待ってくれる)』
1943年にエルンスト・ルビッチが監督した映画で、数々の女性と浮名を流しながら、結局は理想の女の人と添い遂げた男が死後、その経験を回想するコメディでした。
そしてもうひとつ、07年に同じ『天国は待ってくれる』という映画が公開されています。イノッチこと井ノ原快彦主演の日本映画で、男子2女子1の仲良し3人組が大人になって男子Aが女子にプロポーズした後に事故に遭い、いろいろ葛藤を抱えながら男子Bと女子が一緒になるお話でした。この映画の原作と脚本を書いたのが、今回『南くん』を書いている岡田惠和先生。04年の『いま、会いにゆきます』と09年の『おっぱいバレー』という有名作品の間に発表された映画で、あんまり知られてないけれど、自分の原作だし思い入れがあるんだろうな。
このへんもやっぱ、だいぶ岡田先生の本気を感じさせますな。いよいよこっから、どんな感じで持っていくのか楽しみです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事