『ビリオン×スクール』第8話 AIの静かなる暴走と「ドラマは人を幸せにするか」という問い
#ビリオン×スクール
スタンダードな熱血学園作品でありつつ、AIを扱うSFとしての思想もちょいちょい挟み込んでくるドラマ『ビリオン×スクール』も第8話。主役の加賀美センセを演じる山田涼介は「俺のような国宝級の美顔」とか言ってました。
異存ありません。振り返りましょう。
■今回は難敵・城島くん
これまで、落ちこぼれクラス3年0組のどうしようもない面々と対峙しながら、ひとりずつ着実に懐柔してきた加賀美センセ。明らかにクラスの雰囲気も良くなり、もともと1軍として幅を利かせていた校長の娘・雪美ちゃん(大原梓)とイケメン城島くん(奥野壮)の居心地は悪くなるばかり。仲間だったリナ(倉沢杏菜)と紺野(松田元太)も加賀美側に寝返ってしまったし、どうにも孤立を深めています。
そんな中、学校では体育大会が開かれることに。例によって加賀美センセには「全種目最下位だったらクビ」という試練が与えられますが「俺の組織が負けるわけない」と強気です。何しろ世界的なコングロマリットのCEOですからね。
ところで、城島くんは元陸上部なのでした。スポーツ推薦で入学したものの脚のケガで退部を余儀なくされ、それこそ学校に居場所を失っていたのでした。
何もかもがダメになり、松葉杖のままトラックに飛び込もうとした城島くんに声をかけたのが、雪美でした。車いすで転倒してしまったおじいさんを一緒に助けてほしい。まあしょうがなく手伝った城島くんに、雪美は「さすがスポーツマン、力あるね」と笑顔を向けます。その笑顔はキラキラとしていて、城島くんの世界に再び彩りをもたらすのでした。
そうして雪美に命を救われた城島くん。今度は雪美が困っていたら助ける番です。「校長の娘だってさー」なんて陰口を叩いているクラスメイトを見つけると、ドーンとブン殴ってみせます。
「さすがスポーツマン、力あるね」
雪美はそう、悲しそうに笑うのでした。
というのが、城島くんが雪美とつるんで不良をやりはじめたきっかけ。いつも雪美のそばにいてにらみを利かせることで、雪美を傷つけるすべてから雪美を守ることにした城島くん。クソ美人の校長の娘と、ケンカ最強の元陸上部エース。そのコンビは、加賀美がこのクラスに現れるまで、1軍の頂点として君臨していました。
■力を持つ者は
いろいろあって体育大会当日、城島くんは教室に灯油をまき、火をつけることで何もかもを終わらせようとしました。そこに現れた加賀美は、護身用AIスーツの電源を切って、城島くんに自らを殴らせます。その力を実感したうえで、こう諭すのです。
「力を持っている者は、その力で人を幸せにしなければならない。その義務がある」
城島くんは、そんなことはわかっています。だから、その腕力を使って雪美を守ってきた。できる限り幸せにしてきたつもりだった。
しかし、加賀美が開発した立体プロジェクターによって教室中に映し出された、いくつもの雪美の笑顔の写真に囲まれて気づくのです。この笑顔を守りたかったはずなのに、その笑顔を奪っていたのは自分だった。自分がそばにいて周囲を威嚇することで、雪美は守られながら笑顔を失っていた。
城島くんは、雪美のことを加賀美に託すことにしたのでした。
■静かにAIが暴走を始める
今回、「心を持って暴走を始めるAI」という事態が描かれました。本来なら人間が起動しなければ動くことのないAI教師「TEACH」(安達祐実)が勝手に立ち上がり、加賀美に介入してきたのです。
また、正解を導き出すことと加賀美をほめそやすことだけがプログラムされていたはずの「TEACH」が、加賀美に知られてはならない不都合な真実を語り始める場面もありました。
加賀美の脳になんらかの電子デバイスが埋め込まれていることも明らかになっていますし、SFとしてもだいぶ佳境に差し掛かってきた印象です。今回の表情認証システムと立体プロジェクターの使い方も、SF的に理にかなっていてよかったですね。
話は戻りますが、このセリフ。
「力を持っている者は、その力で人を幸せにしなければならない。その義務がある」
これを主人公に言わせたところに、けっこうちゃんと感動したんですよ。
ドラマを撮る人、脚本を書く人、役を演じる人、みんな特別な力を持っている人たちです。その力で人を幸せにしなければならない。その義務がある。
そう言い切った人たちのドラマを、これから最終回に向けてちゃんと見たいと思います。そしてできるなら、多くの人を幸せにしてほしいです。幸せにしてほしいよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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