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高校野球よりハードなプロ野球2軍戦「試合は真っ昼間」「ほぼ屋外」あまりに過酷なその実態

高校野球よりハードなプロ野球2軍戦「試合は真っ昼間」「ほぼ屋外」あまりに過酷なその実態の画像1
(写真/Getty Imagesより)

 京都国際の初優勝となった今夏の甲子園は、“飛ばないバット”の影響でなかなか点が入らず、1点差の好ゲームが相次いだが、球児の奮闘と同じぐらい話題になったのが酷暑問題だ。異常な暑さが続いたことで、猛暑の中で試合を行うことに対する批判が殺到。大会のあり方に疑問を呈する声が多く寄せられた。

「これまでもしばしば甲子園の暑さ対策は議論の的になってきましたが、今年の夏はハッキリ言って異常。今大会は8月7日から23日まで行われましたが、雨天順延は1度もなく、全ての日で最高気温が30度を超え、熱帯夜にならなかった日も1日だけでした。もちろん高野連が決して事態を傍観しているわけではなく、ベンチにクーラーを入れたり、クーリングタイムを設けたり、いろいろな対策を講じており、今年はついに一部の日程で朝夕2部制を導入。大会前には7回制導入案も浮上し、これから本格的な検討に入る予定です」(週刊誌スポーツ担当記者)

 野球は攻守交代があり、止まっている時間も多いスポーツだが、いかんせん試合時間が長く、熱中症対策は避けて通れない。ただ、広く野球界を見渡せば、高校球児よりさらにハードな環境でプレーしている人たちもいる。

「プロ野球の2軍戦は基本的に年間を通してデーゲーム。8月も例外はなく、球場もほぼ屋外です。ヤクルトの2軍を例にすると、8月は23試合が予定されており、全試合デーゲームで室内球場はゼロ。さいたま市で37.5度を記録した8月11日も隣の戸田市で試合をやっており、試合開始時間は12時半だったので、相当にキツかったでしょう。2軍戦が昼間に試合をやるのは、ナイターだと照明代が掛かるから。ドーム球場はクーラーを入れる必要がありますし、そもそもナイター設備がない球場もある。さらに移動の都合もあります。要するに“これがイヤなら1軍に上がれ”ということですが、いくら体を鍛えまくっているプロ野球選手とはいえ、猛暑日の炎天下で毎日のように試合をやるのはさすがに危ないですよね」(フリーのスポーツライター)

 華やかに見えるプロ野球だが、主力選手か注目の新人が出場する時ぐらいしかメディアで報じられないのが2軍戦。余程の野球ファンでなければ足を運ばないであろうファームの試合は、なかなか過酷だ。

「2軍の試合は球場がいろいろな意味でスゴい。カープの2軍球場の由宇はとんでもない山奥にありますし、ヤクルトの戸田は河川敷で、台風が来る度に水没しています。ロッテの浦和は、親会社のロッテのお菓子工場の横にあり、雰囲気はほぼ草野球場。入場料は無料で出入り自由です。

 こうなると高校野球の強豪校の方が、よほど良い環境で野球をしているかもしれません。ドサ回りのように地方で試合をすることもありますが、これがまたハードなんです。着替える場所がなくて通路で着替えたり、シャワーがなくて試合後に汗を流せないことはザラ。かつて埼玉県の町村部で行われたイースタンの試合を見たことがありますが、地元はお祭り騒ぎで、グラウンドの横でBBQをやっており、選手はもうもうと煙が立ち上がって肉を焼く香りがプンプン漂う中でプレーしていました。

 2軍戦は選手との距離がとにかく近く、サインをもらったり、写真を撮ったり、声を掛けたりするのは簡単。未来の主力選手を探す楽しみもありますが、球場によっては日差しを避けるものが一切ないので、真夏の試合観戦は周到な準備が必要です。選手たちに目を向ければ、2軍で真っ黒に日焼けするのは勲章ですが、“万が一”が起きてからでは遅い。高校野球が猛暑対策に乗り出すなら、年に100試合以上をこなすファームも真剣に対策を考える時期だと思います」(同上)

 いっそ高校野球のように、早朝から試合をやるのもアリか。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2024/08/25 11:00
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