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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 『トトロ』実は興行収入は微妙だった

『となりのトトロ』公開当時、東宝が宣伝をさぼった? 実は興行収入は微妙だった

興収は微妙でも…オタクはカリオストロ、子供はトトロ

 そんな自身の子供時代を象徴する作品『となりのトトロ』は公開当時、興行的な評価を得られなかった。当初、中編として製作されたため高畑監督の『火垂るの墓』との同時公開作品となり、最終的には『トトロ』が長編になったため、スタジオジブリは同時に二本の長編作品を製作することになった(しかも宮崎、高畑両監督の要求するクオリティに達している作画スタッフが限られているので、両者で人材の取り合いになる事態に)

 今考えれば宮崎・高畑両巨匠の作品を同時上映するなんて贅沢極まりない話だが、当時はアニメオタクの間でしかネームバリューがなかった二人な上に、配給を『ラピュタ』に代わって担当した東宝(当時ジブリの配給は東映と東宝が交代で担当していた)は、それほど宣伝に熱心でなかったという。そして興業成績が伸び悩んだ一因は、作品自体にもあるのではないだろうか。

 メイの行方を捜すサツキは一縷の望みをかけて、トトロの元を訪れる。トトロはネコバスを呼びよせる。凄まじい勢いで走ったネコバスはメイを見つける。ネコバスがメイを見つけられた理由はまったくわからず、二人は病院まで連れて行ってもらえるが、風邪をひいていただけなのを病院が気を遣って電報を打ったせいで話が大きくなっただけで、母はぴんぴんしていた!

 なんだそりゃ! というオチで、起承転結が完璧に仕立て上げられた『ラピュタ』に比べると『トトロ』は説明不足というか、全体的にふわっとしすぎだ。

 興行的な評価は得られなかった『トトロ』だが、キャラクターグッズは飛ぶように売れた。トトロやネコバスといったキャラクターは、作品以上に人気を集めた。『となりのトトロ』は宮崎駿のキャラクター造形やイマジネーション能力が非凡であることを世に知らしめた第一歩といえなくもない。

 ひねくれたオタクが「やっぱり宮崎駿はカリオストロ、ラピュタですよぉ!」とか言ってる横で子供たちは、トトロやネコバスにときめいていた。そんな子供たちにしか見えない『トトロ』への支持がスタジオジブリの評価を確立していったのだから、ひねくれオタクよりも子供たちの方が間違ってなかった。うそじゃないもん! トトロいたもん!

しばりやトーマス(映画ライター)

関西を中心に活動するフリーの映画面白コメンテイター。どうでもいい時事ネタを収集する企画「地下ニュースグランプリ」主催。

Twitter:@sivariyathomas

しばりやとーます

最終更新:2024/08/22 21:00
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