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メダルラッシュの影で不発に終わったYOASOBIの五輪テーマ曲 ネガティブな反応を招いた要因

メダルラッシュの影で不発に終わったYOASOBIの五輪テーマ曲 ネガティブな反応を招いた敗因の画像1
YOASOBI(写真/Getty Imagesより)

 金メダルが20個、総メダル数が45個と、見事なメダルラッシュに終わったパリ五輪。日本人アスリートの笑顔があふれる大会となったが、盛り上がった割に今ひとつ話題にならなかったのがYOASOBIのNHK五輪テーマ曲「舞台に立って」だ。五輪テーマ曲といえば、ゆずの「栄光の架橋」、安室奈美恵の「Hero」、いきものがかりの「風が吹いている」など、時代を超えて親しまれる名曲の宝庫だが、今回のYOASOBIに関しては、

〈めっちゃ良い曲!〉
〈聴けば聴くほどすごく好きな曲になっていった〉
〈閉会式から毎日何回も聴いて余韻に浸っています〉

と、好意的な感想が寄せられる一方で、SNSには、

〈シンプルにYOASOBIのテーマ曲は全く印象に残らない〉
〈2週間聞いてたはずなのにワンフレーズも覚えられなかった〉
〈NHKのオリンピックテーマ曲ってなんだっけってなるくらい印象に残らないと思ってるのは私だけ?〉

といったコメントが続出。一方で、

〈五輪テーマソングがウザ過ぎる。あの高音ボイスが耳障り〉
〈ずっとキンキン声で歌詞も聞き取れずにだいぶしんどかった〉
〈YOASOBIのテーマソング キンキンキャンキャンうるさい〉

と、曲調が苦手という声も多く、好みが分かれる結果になっている。

「五輪に限らず、スポーツ中継にテーマ曲は付き物。世界水泳(テレビ朝日系)の『ultra soul』(B’z)やWBC(TBS系)の『Separate Ways』(Journey)など、テンポが速くボーカルの音程が高いのはテーマ曲の王道で、今回のYOASOBIもその路線から少しも外れていません。曲を細かく見れば、曲調はメジャーで、アップテンポでノリも良く、サビで一気にキーが上がるのはヒット曲の常とう手段。歌詞もポジティブで、スポーツテーマ曲の教科書のような曲です。しかし、歌詞は詰め込みすぎの感があり、声量も乏しいので、一聴して歌詞を聞き取るのは至難の業。一緒に口ずさむことを想定した曲ではありません。また、サビのパートの音程はカラオケで一般人が歌えるレベルの高さではなく、耳障りに感じる人が現れても不思議ではないでしょう」(音楽ライター)

 今が旬という点でYOASOBIは申し分のないチョイスだったが、SNSを見ると、若者からもネガティブな反応が上がったのは気になるところ。五輪中継の性質を考えると、万人受けを考える必要もあったはずだが、YOASOBIにとっては少々の批判など痛くもかゆくもないはずだという。

「こういった超ハイトーンをとにかく多用したのが、安室奈美恵、globe、華原朋美など、一連の小室サウンドです。サビを高音にすると、突き抜けるような爽快感や解放感が曲に生まれ、聞いている人間はカタルシスを得られる。ハードロックやヘビーメタルでよく使われるやり方ですが、好き嫌いが激しく分かれるのも事実です。五輪中継は視聴者層があまりに広いので、拒否反応が出るのは仕方ない。YOASOBIとしても一定のネガティブな反応は想定の範囲内だったでしょう。

 スポーツ中継のテーマ曲は流れる回数が多いので、アーティスト的には非常に美味しい仕事ですが、制約も多い。歌詞がポジティブなのはもちろんですし、決められた秒数内に“決めフレーズ”を収めたり、民放ならスポンサーに絡めた縛りがあったり、特定のフレーズを織り込む必要があったり、手足を縛られたような状態での創作活動を求められます。

 結果的に「舞台に立って」は好き嫌いが分かれましたが、日本選手団が好成績を収め、年末の振り返り番組や紅白で五輪が大きくピックアップされるのは確実。その時はYOASOBIのテーマ曲がセットで付いてくるわけで、たとえ一部に批判があってもYOASOBIとしては五輪様々といった感覚のはずです」(前出・音楽ライター)

 この後にはパラ五輪も控えており、YOASOBIの舞台はまだまだ続くことになりそうだ。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2024/08/18 09:00
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