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『水曜日のダウンタウン』で「やりがい搾取問題」勃発……仕掛け人・コジマジックが炎上中

TBS

 14日に放送された『水曜日のダウンタウン』(TBS系)が、思わぬ形で炎上している。

 この日の説は「昔、不義理をした人に謝りに行く系のロケ、少し売れたことで先方も大目に見てくれると思ったら大間違い説」の第2弾。先月10日に放送された第1弾では、偽番組の企画としてパンプキンポテトフライの山名大貴がかつてのアルバイト先である居酒屋の女性店長に、ちゃんぴおんずの日本一おもしろい大崎が先輩芸人の街裏ぴんくに、それぞれ謝罪に赴き、当時の温度感そのままに激怒されるという展開でお茶の間を楽しませた。

 今回の第2弾の収録は、企画バレを防ぐために第1弾の放送前に収録が行われており、ぱーてぃーちゃんのすがちゃん最高No.1と、お見送り芸人しんいちがターゲットに。この中で、番組後半に放送されたしんいちのパートが物議をかもしているのだ。

 しんいちが謝罪したいと申し出たのは、2010年前後に片づけ術でブレークした収納王子・コジマジック。実はコジマジックは漫才コンビ・オーケイとして95年にデビュー。しんいちがかつて所属していた松竹芸能の先輩後輩にあたる関係である。

 コジマジックは後輩の中でも特にしんいちをかわいがっており、頻繁に自宅に招いて妻の手料理を振る舞うなど厚遇していたが、ここ8年ほど、その関係は疎遠になっているという。8年前に行った不義理を、しんいちが謝りたいというのが今回の主旨となっている。

 その原因は、コジマジックが片づけをテーマにした楽曲の作成をしんいちに依頼。しんいちは徹夜を繰り返しながらなんとか楽曲を完成させたが、CD化に際してコジマジックから「3万円」の報酬を提示されたのだという。

 この金額に納得いかないしんいちは自ら連絡を絶ち、以降8年間にわたって親交が途絶えているというエピソードが紹介された。これをしんいちが謝罪し、許してもらえると思っているところ、コジマジックが激怒するというのが今回、『水ダウ』が仕掛けたドッキリだった。

 互いに8年ぶりの再会に感慨を隠せないコジマジックとしんいち。しんいちは率直に謝罪を述べるものの、コジマジックは台本通り「怒りモード」を遂行していく。

「あの時に俺が何であそこまでお前に対してキレたかわかる? ホンマにみんな少ない予算の中で動いてて、そこで3万円という提示を俺がしたじゃない。しんいちからしたら『たかが3万? こんだけ動いて?』って思うかもしれんけど、そのお金を作り出すことがどんだけ大変やったことかも知らないじゃない、お前は」

 コジマジックは、ずっとかわいがってきた後輩に熱意が伝わってないことに腹を立てていたという。ドッキリとはいえ、8年間にわたって2人が疎遠だったことは事実だ。このコジマジックの訴えは本心だろう。

 その後、しんいちが21年の『R-1グランプリ』(フジテレビ系)で優勝したことに話題が及ぶと、涙がこらえきれなくなるコジマジック。そんなコジマジックの姿に、しんいちも言えなかった言葉を吐き出すことになる。

「3万以外で引っかかってる部分があったんです。CDを発売するっていうので、作詞(の名義)をコジマジックさんで出来ひんのかな? って言われたときに、引いてもうたんです。で、『ヤバい人や』ってなっちゃいました。すごい怖い提案してくるなって思ったんです、当時」

 実際には、サビ部分のフレーズを考えたコジマジックとの共同名義を提案したということだったというが、しんいちの言動にコジマジックは激怒。ペットボトルを投げつけて怒鳴りつけるに至った。

 最終的には、スタジオも含めて「お金に汚いしんいちがクズ」「それを許した優しい先輩コジマジック」という形で丸く収まったかのように見えたが、放送後にはSNSなどではコジマジックの対応に違和感を覚える視聴者が続出。楽曲の作詞作曲というしんいちのクリエイティブに対して「報酬が3万円」「作詞は共同名義」という提案が完成後になされたことについて「やりがい搾取」であるという意見が相次いでいるのだ。

 当時、まったくの無名だったしんいち。一方のコジマジックは収納王子としてブレークを果たした後である。

 そうした時期における「3万円」という報酬については、2人のそれまでの関係性も踏まえなければならないが、一般論として、納得しなかったしんいちの主張のほうに妥当性を感じる視聴者が多かったようだ。

 コジマジック自身はずっと謝罪の意思を持っており、しんいちの『R-1』優勝後には「あの時はホンマにゴメンな」というLINEも送っている。ペットボトルを投げつけて怒鳴りつけたのも、あくまで「台本に戻ってブチ切れなければならない」という仕掛け人としての責務を全うしたにすぎない。

 だが、「やりがい搾取」が社会問題となり、フリーランスに正当な報酬を与えるべきという考え方が熟成されてきたこの時代に、受け入れがたいテーマであり、ブチ切れモードに戻るタイミングが「作詞の名義」という話題になってしまったことも不運だっただろう。しんいちは放送後にYouTubeでライブ配信を行い「自分が叩かれてるから、コジマジックさんを叩いてくれ」などと悪態をつき「金が欲しいねん」と露悪キャラで騒動の矢面に立とうとしていたが、今回に限ってはしんいちに同情が集まっているようだ。

 いずれにしろ、まったく売れてない時期でも自分の作品にプライドを持ち、納得できない条件で提供することを拒んだしんいちの判断は恥ずべきものではないだろう。そして、その信念こそが今日のしんいちの成功につながっているにちがいない。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2024/08/15 12:00
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