トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 『ヒロアカ』尾田栄一郎の粋なはからい

『ヒロアカ』最終回だけじゃない!『ONE PIECE』尾田栄一郎の“粋なはからい”

『ヒロアカ』最終回だけじゃない!『ONE PIECE』尾田栄一郎の粋なはからいの画像1
(写真/Getty Imagesより)

 2014年より「週刊少年ジャンプ」(集英社)誌上で連載されていた堀越耕平氏の漫画『僕のヒーローアカデミア』(通称ヒロアカ)が、8月5日発売号にて最終回を迎えた。

 同作は超常能力“個性”を持つようになった世界を舞台に、“無個性”の主人公・緑谷出久(デク)が憧れのヒーローの“個性”ワン・フォー・オールの後継者に指名され、成長していく物語だ。

 連載10年、アニメ・映画化もされた看板作品の終了に「ジャンプ」巻末の作者コメントでは連載陣全員からねぎらいの言葉が贈られていたが、そんななか同誌で連載中の『ONE PIECE』作者・尾田栄一郎氏の“粋なはからい”がネットで話題を呼んでいる。

『ONE PIECE』では現在、『鬼の子ヤマトの金稲荷代参』という短期集中扉絵連載が描かれていたが、1122話では扉絵リクエストとして「22年前に愛知県の少年が描いてくれたスモーカーの絵をマネしてみて」のお題でイラストが差し込まれていた。

「『愛知県の少年』というのは堀越氏のことで、リクエストしたのはもちろん尾田氏本人でしょう。堀越氏は“自身のヒーロー”を聞かれた際に『尾田栄一郎』と答えているほど。『ONE PIECE』単行本の最後にはウソップギャラリー海賊団(UGK)という読者投稿のイラストコーナーがあるのですが、23巻では当時15歳だった堀越氏が描いたスモーカーのイラストが採用されています。今回はそれを尾田氏がオマージュしたわけですが、『23UGK』『HERO ACA』という文字がさりげなく散りばめられています」(サブカルライター)

 さらに、ただのオマージュでは済ませていないところが、尾田氏が「天才」と呼ばれるゆえん。

「1122話のタイトルは『イザッテトキ』で、本編では“人を救う時”という意味合いで使われているのですが、これはまさに『ヒロアカ』のテーマそのもの。さらに『ヒロアカ』の主人公・デクの個性『ワン・フォー・オール』(一人は皆のために)ですが、本編で海賊王を目指すことを宣言したバギーが『俺の世界じゃねえ』『俺たちの世界だよな』と部下たちを鼓舞した台詞は、『俺たちの世界』に傍点が打たれていることからも『ヒロアカ』とのリンクを意識して作中に落とし込んだことが想像できます」(前出・サブカルライター)

 尾田氏はこれまでも思い入れのある作品の最終回では、その号の扉絵で連載終了をねぎらうメッセージを込めてきた。

「『NARUTO -ナルト-』の最終回を記念した766話では、『ONE PIECE』の主人公ルフィが肉を食うその後ろで、ナルトらしき人物がラーメンを食べており、店に貼られたメニューの頭文字をとると、『ナルトおつかれさんでした』というメッセージが浮かび上がってきます。また、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』最終回を記念した839話では、両津勘吉の手配書が描かれ、懸賞金やルフィの書いた数字を組み合わせると、警察を表す“110番”と“ご苦労さん”と取れる『1105963』。『トリコ』の最終回を記念した846話では、“ペンネーム尾田栄一郎”の扉絵リクエストとして、縞々の豚が描かれていましたが、これは作者・島袋光年氏のあだ名“しまぶー”からきています。5羽の鳥と『3』『9』の文字で“トリコサンキュー”と表現していたのもおしゃれでした」(前出・サブカルライター)

 長らく漫画誌の頂点に君臨している「週刊少年ジャンプ」だが、“尾田氏にねぎらわれたい”というのが作家たちのモチベーションになっているのかもしれない。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2024/08/15 09:00
ページ上部へ戻る

配給映画