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誕生から24年、マンガ界にまで継れた『ムショぼけ』の可能性

『ムショぼけ ~懲役たちのレクイエム~』2巻
『ムショぼけ ~懲役たちのレクイエム~』2巻

24年前に書いた小説は、内容を変え、表現形態を変え、いまだにその世界観が広がっている。その小説はドラマとなり、ドラマをもとにした小説の続編が生まれ、そして、コミック化もされた。そのコミックも好評を得て、2冊目が出ようとしている。ここまでの作品に育った『ムショぼけ』に込めた思いとは? 作者・沖田臥竜が語る。

3年たった今でも寄せられる声の力を信じたい

 25歳のとき初めて書いた小説のタイトルが『ムショぼけ』であった。今から24年前のことだ。その後、2021年に出版された小説『ムショぼけ』(小学館文庫)とは、タイトルが同じだけで内容はまったく違う。あの頃、こんな形で、今日まで継(つなが)れていくことになるとは思いもしなかった。

 物語を生み出すことも言葉を紡ぐことも、苦悩の度合いにおいては、24年前も今も何一つ変わりはしない。楽にスラスラと書けるのは、他人への文句くらいだろう。見てみろ。SNSなんて、そんな他人の文句が溢れたプラットフォームとなってしまっているではないか。つまり文句や悪口は誰にでも書けるのだ。

 そこでは、誹謗中傷までもが時に賛美されたり同調されたり、さらにそれが歪んだ正義として闊歩してしまう世の中になってしまっている。私は逆に、そんなSNS社会の光と影にフィーチャーして、コミカルなヒューマンドラマにしたかった。それが2021に書いた小説『ムショぼけ』であり、ドラマ『ムショぼけ』であった。

 3年経った今でも、「ムショぼけ、めちゃくちゃ面白かったですよ!」と言われることがある。それは世の中から見ると、ほんの一部の層かもしれない。

 だが、それだけで私の中では、間違っていなかった作品だという手応えを保てている。誰にでも生み出せるような作品なんて見飽きただろう。ドラマ、小説でインパクトを残せたからこそ、マンガ『ムショぼけ』の話が秋田書店から来たのだ。もっともっと爆発させて、携わってくれた人に喜んでほしいし、すまん、楽だってしたい。

 そうこぼしたくなるほど、ずっと仕事をしている。休みなどほぼ皆無なのだ。そのためにたくさんのことを犠牲にだってしてきた。それはもはや苦行だ。だからこそ、私は負けることができない。私にしか生み出せない作品を作っていかないと意味がないと思っている。

 だから、どんなに忙しくても、不幸だなんて思った事はない。胸を張ってやれている仕事を、私は誇りに思っている。『ムショぼけ』が展開できる世界観はまだまだこんなものではない。だから、どんな形でもよい。ずっと『ムショぼけ』を続けて、その世界を拡大していこうと思っている。

 小説には小説の世界観があり、ドラマにはドラマの世界観をみんなで作ってきた。そしてマンガでは、それらには描かれていない世界観を作り出している。

 尼崎から生まれた作品である。そのマンガ『ムショぼけ』も、8月20日には2巻が発売される。ここでも私たちマンガ『ムショぼけ』チームは負けるつもりはない。

 唯一無二の作品。私たちはマンガ『ムショぼけ』でそれを証明してみせたい。

(文=沖田臥竜/作家)


■マンガ『ムショぼけ ~懲役たちのレクイエム~』2巻

8月20日より、amazonなどで発売

TVドラマ化もされた人気小説『ムショぼけ』を原案に描かれる任侠炎上ロマン! 自称元ヤクザのアウトロー系YouTuber・ヒロは、14年の服役を経て大阪刑務所より出所したある男に会いに行く。その男の名は陣内宗介。時は遡り平成9年。そこには徳島組の組員として熱く奔走する彼らの姿があった…。舞台は兵庫・尼崎。懲役を終えた一人の男の青春と懺悔。

■小説『ムショぼけ』(小学館文庫)
amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4094070613/

■小説『ムショぼけ2 ~陣内宗介まだボケてます~ 』(サイゾー)
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https://www.amazon.co.jp/dp/4866251557/

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2024/08/13 15:51
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