日刊サイゾー トップ > エンタメ > スポーツ  > パリ五輪「世界ランキング」の“落とし穴”

柔道、バレー…パリ五輪実力とは違う「世界ランキング」の“落とし穴”

柔道、バレー…パリ五輪実力とは違う「世界ランキング」の落とし穴の画像1
パリ五輪(写真/Getty Imagesより)

 熱戦が繰り広げられたパリ五輪だが、競技に詳しくない人たちが勝敗予想の指標にしているのが「世界ランキング」だろう。しかし、いくつかの競技ではこれが“落とし穴”となったようで……。

 メダルラッシュが期待された“日本のお家芸”柔道だが、日本選手たちの世界ランキングがそれほど高くないことに疑問を感じた人も多かったのではないか。

「男子66キロ級で下馬評どおり金メダルを獲得した阿部一二三は、東京五輪の覇者でありながら世界ランクは6位。同じく東京五輪金メダリストの妹・阿部詩にいたっては9位でした。これにはカラクリがあり、阿部兄妹をはじめメダルが有力視される数人の選手は、本番1年以上も前に五輪代表内定が発表されていた。選手たちは国際大会に出場して世界の強豪に手の内を見せることを避け、いいコンディションで五輪に臨めるよう調整に専念することとなった。その弊害として、詩はシード権を得られずに2回戦で『世界ランク1位』と当たり、号泣敗戦となってしまいました」(スポーツライター)

 一方、柔道とは真逆で五輪前に全力を出しすぎてしまったように見えるのがバレーボールだ。五輪出場権をかけて6月30日まで開かれた国際大会『ネーションズリーグ』では、男女共に準優勝。とりわけ、男子は世界ランク2位でパリに出陣し、組み合わせでは堂々の第1ポット入りした。

「ネーションズリーグで本気を出していない海外勢相手に勝ちまくり、実力以上の期待値が上がっていた印象です。しかし、女子は一次リーグで敗退。予選をギリギリで突破した男子も11位のドイツに競り負け、6位の“格下”アメリカにまったく歯が立たなかった。ネーションズリーグを“調整”と考えている国も少なくなく、日本だけ全力を出し切って相手国にデータを取られ、本番で丸裸にされてしまった印象です。バレーの世界ランクの算出は非常に複雑で、下位国が上位国を倒すと大きくポイントが加点される仕組みとなっているため、日本はランキングが上がりやすかった面もあり、すでに最新版では6位に後退しています」(前出・スポーツライター)

 本番にピークを持って来られなかったのは卓球も同じ。

「卓球に関しては、これまで過酷すぎる選考方法が批判を浴び続けてきましたが、激闘の末、女子では世界ランクで平野美宇より上位だった伊藤美誠が出場を逃すことに。しかし、代表争いで満身創痍となってしまったのか張本智和が試合後に足をつりそうだったことを告白したり、平野は膝にサポーター、早田ひなは利き手にテーピングを巻くなど、皆がボロボロ。シングルスで銅メダルをもぎ取った早田は、痛み止めを射ってどうにかプレーができる状態になったと涙ながらに明かしていました」(スポーツ紙記者)

 海外に目を向ければ、世界ランク353位ながらパラグアイで五輪代表に選ばれたのはプロゴルファーのファブリシオ・サノッティだ。

「PGAツアーは通算23試合の出場で実績はゼロに等しい。それでも、五輪には3大会連続で出場し、開会式では旗手の大役まで勤めています。逆に層が厚すぎるアメリカは、世界ランク8位でも五輪に出場することができませんでした」(前出・スポーツ紙記者)

 五輪はまもなく終盤だが、「世界ランク」は参考程度にして、競技を楽しむのが良さそうだ。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2024/08/12 11:00
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed