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高校野球、酷暑問題で7回制導入案浮上…それよりはるかに過酷なインターハイ高校サッカーの実状

高校野球、酷暑問題で7回制導入案浮上…それよりはるかに過酷なインターハイ高校サッカーの実状の画像1

 全国各地で猛暑日が続き、炎天下で行われる夏の甲子園の安全を憂慮する声が大きくなっている。そこで高野連(日本高校野球連盟)は、7イニング制の導入を検討するワーキンググループの設置を決定。しかし、強豪校の監督は否定的な見解を述べ、『スポーツ報知』が甲子園出場校の選手50人に行ったアンケートでは9割が反対と回答しており、7回制への移行がすんなり進むかどうかは微妙だ。

「試合が短くなれば、番狂わせが起きる確率は上がります。試合に出られる選手の数も減りますし、強豪校の監督や選手に話を聞けば、大多数が反対と答えるのは当然でしょう。しかし、普段からハードな練習をしている強豪校はともかく、弱小校の野球部が猛暑日に9イニングやるのは正直言って危ない。サッカーやラグビーなど、大人よりも短い試合時間を採用している競技はあり、例えば予選限定で7イニング制にするのは1つのやり方ではある」(週刊誌スポーツ担当記者)

 現状、7回制はまだ検討段階だが、このような議論が盛り上がるのは、高校野球の関心度の高さの表れだ。ネットにはこれ以外にもいろいろな改革案が寄せられているが、現実的には、一朝一夕に問題を解決するような案はなかなか見当たらない。

「現場の人間も、猛暑の中で試合をやるのが良いと思っているわけではありません。しかし、夏の甲子園が今のやり方で行われているのは、それなりの理由がある。まず、真夏にやるのはまとまった休みが夏しかないからですし、ドームでやれば球場使用料がかかる。野球振興の観点から、甲子園の使用料はタダです。無論、これまでも甲子園をドームにという声もありますが、莫大な建設費用や維持費はどうするのか。他の場所でやるなら、宿泊場所や裏方は確保できるのか。多くはお金で解決できる問題ですが、他のスポーツをやっている高校生は山ほどいる。野球ばかりそこまで厚遇する必要があるのか。そもそも甲子園に出場する選手にとって、酷暑問題は“余計なお世話”とも言える。強豪校の選手は、夏休みは毎日7~8時間は練習しているので、試合当日は休息日みたいなもの。練習はずっと体を動かしていますが、試合中の半分はベンチで座っているだけですし、甲子園のベンチはクーラーまで付いていますしね。甲子園という場所は、高校球児にとって一生の晴れ舞台。夢のような時間を7イニング制で削られるのは、身を切られるようにつらいことでしょう」(スポーツジャーナリスト)

 他方ではこんな現実もある。夏休みにはインターハイが行われるが、サッカーのスケジュールは甲子園以上のハードさだ。

「今年度のインターハイのサッカーは先日終わりましたが、優勝チームは8日間で6試合やりました。暑さを考慮して会場は福島県になり、試合も35分ハーフでしたが、気温が35℃近くに達した日もあり、あまり意味はなかったかと……。過去には7日間で6試合をこなしたケースもあり、“いつか死人が出る”なんていう人もいます。そもそもサッカーの運動強度は野球より上ですし、連続でやるような競技でもありませんから。乱暴な言い方になりますが、スポーツをやっている限り、熱中症を100%防ぐのは無理です。昨年のインターハイは北海道でしたが、それでも各競技で救急車が出動するケースがありました。それでも甲子園の酷暑問題ばかりが取り沙汰される状況に、高校スポーツ関係者は歯ぎしりしています」(同上)

 安全にスポーツを楽しめる環境づくりは大切だが、それが間違った方向に進み、「夏はスポーツは禁止」ということにならなければ良いが……。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2024/08/13 09:00
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