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『新宿野戦病院』第6話 明確でアナクロな性差の話「男はバカで、女はそれを許すもの」

小池栄子

 毎回、歌舞伎町を根城にしているワケアリな急患が運ばれてくる「聖まごころ病院」を舞台に、無免許医・ヨウコ(小池栄子)の活躍を描いたドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)も第6話。

 今回、ワケアリな急患としては特殊浴場で転倒したというおじさん1人だけでしたが、物語にはあんまり関係ありませんでした。あのへんの特殊浴場でいえば、むかし「ドンファン」にバリー・ボンズが来たらしいというウワサがありましたね。ホントだったのかな。

 振り返りましょう。

■今回はお家騒動一色

 さて、ヨウコさんが実は「まごころ」の院長(柄本明)の“妾の娘”であることが発覚し、いつもの面々は大騒ぎ。何しろ本家の娘であるはずきさん(平岩紙)にとっては父である院長がヨウコさんを「まごころ」に迎え入れていることが許せないし、自分は医者になれなかったのにヨウコさんが医者になっていることも許せないし、それでも「まごころ」の跡取りを作るために必死に婿探ししてきたのにヨウコさんがあっさり次期院長になりそうな雰囲気も許せない。

 もう何もかもが許せないはずだったんですけど、今回わりとあっさり和解しました。はっきり明言されたわけではありませんが、前回あれだけ理不尽にブチ切れていたのに、もう大丈夫になったようです。

 その後、ヨウコさん自身にも院長が実の父であることが告げられますが、それもまあオッケーのようです。

 一方、院長の弟である不動産屋の啓三(生瀬勝久)とその息子の美容皮膚科医・亨(仲野太賀)はSM遊びに興じていました。NPOの代表・舞ちゃん(橋本愛)のボンデージ姿はもちろんいいものですし、ヨウコ女王様も当然、すごくいい。ボランティアスタッフ・あかねちゃん(中井千聖)も、むしろいいですね。

 なんだかんだで、たびたび性別について取りざたされてきた看護師・堀井しのぶ(塚地武雅)が普段とはちがうおっさん姿で母ちゃんと花火を見上げているところが映し出されて、次回へ。

 今回は、平和な回でした。

■男はバカね、女は許すわ

 ヨウコさんとはずきさんの“姉妹”問題は、院長の性欲と医者一家の長男としての責任感と、つまりは男性が男性であるがゆえに起こった極めて面倒な問題だったはずです。

 この問題によってはずきさんが負った傷というのを、前回、嫌というほど見せつけられました。はずきさんは、子どもを産んだばかりの16歳の女の子を「母親の資格がないバカ」と面罵してしまうほどに気持ちを乱していた。

 だから今回、あっさりヨウコさんと和解したのが意外だったんですよね。面倒な事態を引き起こした男性がいて、それを知らない間に勝手に解決してくれる女性たちがいる。

 後半、院長の元妻(松金よね子)が暮らしている老人ホームで、院長とその娘、浮気相手とその娘が対面したシーンでも、女性同士が勝手に打ち解けてすべてを受け入れてくれている。

 SMのシーンはその象徴だと思うんですが、今回はすごく性差というものを明確に描いた回になりました。男はバカで、性欲まみれで、後先考えない。女はそれを「かわいいね」「しょうがないね」と許してくれる。そういうアナクロな男女間の価値観を描いている。

 たぶん前振りなんでしょうね。次回、堀井しのぶのジェンダーについての話になるようですので、改めて「男と女ってこうだったよね」という、復習の回だったのでしょう。

 女装おじさんだった堀井しのぶを、どんな感じで掘り下げるのか、興味津々です。もう茶化せるような時代じゃないしな。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

最終更新:2024/08/08 14:00
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