『降り積もれ孤独な死よ』第5話 「重厚なのにスピード感がある」不思議な感触の正体
#降り積もれ孤独な死よ
人気コミックを大幅改編するという、このご時世になかなかスリリングなことをやりながら、わりと好評なドラマ『降り積もれ孤独な死よ』(日本テレビ系)も第5話。やっぱり、ちゃんと原作に敬意を持って作ってれば大丈夫ですし、そういうのって伝わるんですよね。
振り返りましょう。
■謎が謎を呼んでるぜ
今回は、謎の屋敷で19人の子どもと共同生活を送った末、そのうち13人を地下室に閉じ込めて餓死させた罪で逮捕され、留置所で自殺した灰川十三(小日向文世)の過去を紐解くお話。
灰川の葬式に集まったのは、灰川邸事件の生き残り6人のうち、蓮水(吉川愛)ら4人の元・子どもたち。刑事・冴木(成田凌)の弟・蒼佑(萩原利久)は父の親戚に会いに行き、神代健流(杢代和人)はいまだに行方不明です。
葬儀場から灰川の遺骨を盗み出した蓮水たちは、灰川との約束通り遺骨をすりつぶし、灰にして邸宅の庭に散骨しました。
その庭で、蓮水が見つけたのは灰川が長年にわたって記してきた日記帳でした。冴木から、捜査から距離を取るようにいわれていた蓮水でしたが、この日記帳を冴木に届けます。
灰川には実の子どもがいました。その子は、夫のDVから逃げてきた人妻女性との間にできた子でした。若き灰川は、女性の居所を夫に知られることを恐れて、その子どもの出生届を出しませんでした。
自分の子どもがいるのに、家族と離れてほかの家の子をたくさん集めて暮らしていた灰川。その実子が灰川邸事件の真犯人なのではないか、という疑いが捜査線上に浮上しました。
同じころ、灰川邸に飾られていた絵画を事件発覚直前に差し替えた人物を重要参考人として追っていた冴木の先輩刑事・五味が、その人物の特定に成功。
その人物は闇夜にまぎれて冴木の弟・蒼佑を拉致。監禁していました。
灰川の実子、絵を差し替えた人物、蒼佑を拉致した犯人、それは冴木たちの後輩で元気はつらつ新人刑事だったはずの鈴木潤(佐藤大樹)だったのです。
なんだってー!?
モブかと思われていた鈴木の重大な秘密が明らかになった今回。じゃあなんで灰川は鈴木を捨ててよその子たちを集めたのか。蒼佑を拉致した鈴木の動機は。冴木、蓮水、鈴木を襲った顔に傷がある男の正体とは。あと現代パートでは記者さんが「生き残りの5人」と言ってたけど、もう1人は? 謎が謎を呼んでいます。すごい呼んでる。
■毎回山場がきますねえ
まあよくも、毎回毎回こうやって山場を持ってくるもんだと感心してしまいます。
今回は「鈴木、おまえだったのか」でしたし、前回は顔に傷のある男が冴木たちを襲ってきたし、前々回は冴木が連続暴行犯だったことが明らかになって「おまえだったのか」が発生していた。
だいたい、第2話で灰川を自殺させてますからね。冴木が暴行犯だったことが明らかになったあたりで、こんなにどんどん展開させていって最後まで持つのかなと心配になっていたんですが、前述の通り謎が謎を呼びまくっているので、全然勢いが衰えない。
連ドラにおける原作の改変って、物語を1クールサイズに収まるように組み替えるだけでなく、1話ずつにちゃんと山場を作ることも必要なんですよね。『降り積もれ孤独な死よ』では毎回ひと山しっかり訪れています。ひと山というか、平均1.5山くらい何かが起こってる。
これにより、重厚なのにスピード感があるという、なかなか珍しい味わいになっていることも興味深い。今後も楽しみです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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