『GO HOME』第4話 福島復興を錦の御旗に重犯罪を正当化する困った警察たち
#GO HOME
どこかで死んで誰だかわからない人の身元を特定し、遺族のもとに帰してあげることを生業としている警視庁身元不明人相談室のサクラ(小芝風花)とマコト(大島優子)の大冒険を描いたドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)も第4話。
身元だけ特定して、ただ帰してあげればいいのに毎回毎回死んだ人のプライバシーに深入りしてその人の情報の断片だけをかき集め、自分の勝手な想像と強引につじつまを合わせて、さも人生のすべてを知ったような顔をしてご満悦なサクラさんが実に不快です。
回を追うごとに小芝風花のイメージが悪くなっていって、とっても不憫なんですが、まあ俳優ってそういう仕事ですからね。いやー嫌いだわ、このサクラって役。
では、振り返りましょう。
■なんだこのトンチキな話は
今回の死人は、山奥の道でバイクの単独事故を起こして亡くなった男性の大学生・葉山聡(濱田龍臣)。免許は持っていなかったようですが、すぐに身元は判明し、実家のご両親のもとにご遺体は届けられました。
母親は「あの子はバイクなんて……」と、亡くなった葉山聡がバイクに乗っていたことや、そのバイクが盗難車だったことから白を切りますが、どう見ても息子なので父親は「息子です」と認め、なぜかサクラとマコトに1週間前に葉山聡から届いたという封筒を見せます。
中に入っていたのは、マコトが後生大切に持っているお守りとお揃いでした。それでスイッチが入ったサクラは、今回も葉山聡を「きっと悪い人じゃない」「何か事情があるはず」と勝手に決めつけ、勝手に素性を調べ始めます。怖いよ。
サクラとマコトが調べた結果、葉山聡はホストとして働きつつ、幼なじみに誘われた闇バイトに勤しんでいました。
最初は運び屋程度の軽い仕事でしたが、そのうち強盗に手を染めるように。葉山聡を誘った幼なじみは取り調べで「ヤバイこともやらされるようになって」と被害者のような顔をしていましたが、葉山聡が隠し持っていたコインロッカーの鍵をたどると、冷却スプレーやバーナー、大量のスマホとSIMカードなど、明らかに実行犯、しかも主犯格だったことを示す証拠が山ほど出てきます。スマホとSIMから見て、強盗だけじゃなく詐欺もやってたな、これは。
強盗団として各地のホテルを行脚しながら強盗を繰り返していた葉山聡でしたが、ある日、強盗団を抜けたいと思うようになりました。当然、そう簡単に抜けられるわけはありませんが、葉山聡は強盗団のパソコンから強盗団名簿を抜き取り、メモリーカードにコピーして実家に送付。その後、ホテルの外にキーが刺さったままのバイクがあったので、そのバイクを奪って逃亡中に事故に遭ったのでした。
強盗団が自分たちの身元が記された名簿をパソコンに保管していた意味もわからないし、それを葉山聡が実家に送った意味もわからない。バイクに乗ったことがないはずの葉山聡がMTのバイクをいきなり動かせるのも意味不明です。なんの迷いもなく1速にギア入れて発進してたからな。免許持ってないなら無免許運転も常習だぞ、あいつ。
そうして犯罪を積み重ねた上に、改心したかなんか知らんが自首もしないで逃亡しようとして死んだ葉山聡。そのことを両親に知らせに行ったサクラとマコトは「お手柄ですよ」と報告。両親も「自慢の息子です」と涙を流すのでした。
お手柄じゃねえよ、バカ。連続強盗という重犯罪の実行犯なんだから、被疑者死亡のまま書類送検されるケースだろ。タタキは初犯1発で実刑だぞ。おまえらも何が「自慢の息子」だ、バカ親。
なんなんだ、このトンチキな話は。
■福島復興で正当化できると思うな
葉山聡は地元・福島の復興のために金が必要だということでした。これをもって、ドラマは葉山聡の犯罪を正当化し、改心した後も出頭せず変なデータを実家に送っただけの人物を「お手柄」扱いします。
全国に、葉山聡たちに財産を奪われた強盗被害者がいます。
大切なバイクを盗まれ、葉山聡によって廃車にさせられたライダーがいます。
その事実関係から視聴者の注意をそらすために、ドラマは小芝風花に、むやみに何の根拠もなく「葉山聡は善人だ」と言わせ続け、イメージ操作をして“いい話”風にまとめ上げています。しかも、仮にも警察官が主人公のドラマで、です。
何より、死んだ人にはいい人もいれば悪い人もいるし、いいことを考えながら悪いことをしている人もいる。その人が何を考えていたかなんて、誰にもわからないわけじゃないですか。それをサクラという人が毎回、調べる前から「わかったような顔」をしていることが本当に気味が悪いんです。こんな傲慢で不遜な人間に、死後、自分の人生を探られるなんて絶対に嫌だね。
総じて「泣けるドラマ」を目指して失敗してると思うし、シリアスとおちゃらけのバランスも悪くてサクラという人の言動が全部ウソに見えてくる瞬間が定期的に訪れます。やっぱさ、シナリオがヘタなんだと思いますよ、これ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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