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『笑うマトリョーシカ』政務秘書官・鈴木に“殺人”の過去? 清家が元恋人の家で見たものとは

『笑うマトリョーシカ』政務秘書官・鈴木に殺人の過去? 清家が元恋人の家で見たものとはの画像1
清家一郎を演じる櫻井翔

 7月26日、金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系)の第5話が放送された。いまだ本性が見えない人気政治家とその母、そして政務秘書官。今回はこの3名の隠された過去がひもとかれる内容となった。

 本作品は早見和真氏の同名小説(文春文庫)をドラマ化したヒューマン政治サスペンス。物語の中心にいるのが、43歳で厚生労働大臣に就任した”清家(櫻井翔)。所属政党の支持率アップにも貢献する“国民期待の星”である清家だが、彼を支配しようとする政務秘書官・鈴木(玉山鉄二)がストーリー展開のカギを握る。清家と高校時代からの親友である鈴木は、父が日本を騒がせた不正事件を起こしたことにより、政治家になる夢を断念した。そこで、清家を裏で意のままに操り“理想の政治家”を演じさせ、総理大臣にまでのし上がらせようと企む。そんな利己的な鈴木には“禁断の過去”があった。鈴木は学生時代に、清家の母・浩子(高岡早紀)に魅了され恋をしてしまったのだ。程なく二人は一線を越え、浩子はピロートークで、清家を尻に敷く彼女・美和子(田辺桃子)を“排除”するよう鈴木をそそのかす。20年前、清家・浩子・美和子の3名のあいだに一体なにがあったのか……。

 20年前に突如消息不明となった美和子。いまだに所在がわからない美和子だが、第5話の展開を見ると“死亡説”が濃厚となった。第5話の回想で美和子は、“金の成る木”とみた清家をかたくなに手放そうとせず、どうしても2人を引き離したい鈴木は彼女のアパートまで追いかけていた。その後のシーンは描かれなかったが、当時の鈴木は浩子の期待に応えようと興奮状態にあったことから美和子を殺めてしまった可能性も浮上している。

 そこで気になったのが、当時の清家の“豹変ぶり”である。美和子と連絡がとれなくなった直後、清家は鈴木の仕業だと思い激高したが、美和子のアパートを訪れて“何か”を目の当たりにしてから態度を急変。あれほど鈴木に怒っていたはずの清家が、鈴木に頭を下げて27歳までに政治家にしてほしいと頼み込んだのだ。清家を別人に変えた大学時代の出来事。仮に鈴木が美和子をアパートで殺したのであれば、その場に遺体を放置するとは考えにくい。清家は美和子のアパートで一体なにを見たのか。

 本作品の構図は、鈴木・浩子・美和子が“支配者”で、清家は彼らの“操り人形”だと思われていた。しかし、清家には幼少期から強烈な自我があった。清家は小学校の卒業文集で弱者に手を差し伸べたいとつづっており、30年の月日を経たいま、外国籍の子どもへの支援拡充を実現しようとしている。まさに有言実行の男だが、その外国籍の弱者までも救おうとする思想が浩子に植え付けられたものだとしたら……。清家は生まれつきの“浩子の操り人形”となる。浩子は類まれなる“美貌”と資産家と結婚したことで“財産”を手にしている。浩子の人生はこれ以上ない順風満帆なものに見えるだけに、息子を利用してまで叶えたい“悲願”ががぜん気になってきた。

 新聞社を辞めてまで清家と鈴木を調べる道上香苗(水川あさみ、以下、道上)が、2人の“隠された過去”に近づいているのは間違いない。鈴木父の不正事件を調べていた道上の父・兼髙(渡辺いっけい)を居眠り運転で殺した男性は、運転時の状況を道上の上司・山中(丸山智己)に話したあと、不慮の死を遂げている。これは“黒幕”による居眠り事故に見せかけた計画殺人の口封じか、それとも「これ以上調べるな」という道上へのメッセージか……。

 次回第6話では清家が官房長官に就任する。第3話で清家は政治家として成し遂げたい“悲願”があると口にしていた。清家はその“悲願”の内容を長年の相棒・鈴木にも伝えていないが、“内閣の要”である官房長官に就くタイミングで口外するかもしれない。そして、清家の出世に合わせて鈴木と浩子も自らの“悲願”を実現しようと暗躍するはずだ。清家と鈴木と浩子、3人の謎多いキャラクターが政界を支配してまで達成したい“悲願”とは。第6話では物語が大きく動きだすことを期待したい。

■番組情報
金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』
TBS系毎週金曜22時~

出演:水川あさみ、玉山鉄二、櫻井翔、丸山智己、和田正人、渡辺大、曽田陵介、渡辺いっけい、高岡早紀、ほか

プロデューサー:橋本芙美
演出:岩田和行、城宝秀則、小林義則
原作:早見和真「笑うマトリョーシカ」(文春文庫)
脚本:いずみ吉紘、神田優
音楽:大間々昂
主題歌:由薫「Sunshade」(Polydor Records)
政治監修:須山義正、武田一顕
法律監修:岡本直也
児童福祉監修:永野咲
警察監修:石坂隆昌
医療監修:中澤暁雄
編成:杉田彩佳
製作:共同テレビ、TBS

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/waraumatryoshka_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2024/08/02 12:00
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